“DeepSeekショック”や“トランプ関税”で揺れる市場 値動きの激しさをチャンスに変える行動
MONEYPLUS / 2025年2月8日 7時30分
“DeepSeekショック”や“トランプ関税”で揺れる市場 値動きの激しさをチャンスに変える行動
今年も1カ月が経過しましたね。1月のダウ平均は月間で約2000ドル高と大きく上昇しました。トランプ氏が第47代アメリカ大統領に就任したことがやはり大きなトピックでした。就任演説で米国の「黄金時代」が始まるとしており、貿易関税を含めて自国の利益を優先させる考えを示しました。
また1月21日にトランプ米大統領は、「スターゲート」プロジェクトへの支援を発表。このプロジェクトは、オラクルとオープンAI、ソフトバンクグループ(9984)提携してAI開発を行うというもの。最大5000億ドル規模(初期投資は1000億ドル)というう巨額の投資計画が発表され、関連銘柄も活況でした。
“DeepSeekショック”や“トランプ関税”で揺れる株価
ただその後すぐに“DeepSeekショック”が。中国企業が開発した生成AIであるDeepSeekは従来に比べて少ない数の半導体で開発を成し遂げたと述べており、コスト面や反応速度や論理性の高さで米国の競合を上回るのではと推察されています。アメリカの株高を牽引する要因となっている米大型ハイテク株の脅威となり、競争激化につながるとの懸念から関連銘柄が急落。NVIDIA株は約17%の下落で時価総額が1日で90兆円減ったこともニュースとなりました。
また2月1日にトランプ米大統領がカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を、中国からの輸入品に10%の追加関税を課す大統領令に署名したこともニュースになりましたね。アメリカに流入する不法移民や薬物流入への対抗措置だとしていますが、メキシコに対する関税を1カ月延期、カナダのトルドー首相も米関税の発動が少なくとも30日間延期されると発表した一方で中国への関税は発動するなど、アメリカの関税政策の変更で市場は動きました。
貿易関税の懸念を受けて2月3日の東京株式市場で日経平均株価は週明けから急落。一時1000円以上と大幅に値下がりし、節目の3万9000円を割り込みました。その後も今週は貿易関税のニュースに右往左往させられています。
このように、2024年に続き2025年の株式市場はこれまで以上に値動きの激しい展開が予想されます。主な要因としてトランプ大統領の影響、米国の金融政策の変化、また世界の分断や世界経済の不確実性、地政学リスク、テクノロジーの進化などが挙げられます。
リスクとチャンスがある環境
このような状況下で株式投資を行う際に理解しておくべき重要な概念の一つが「ボラティリティ(Volatility)」です。ボラティリティとは、株価の変動率を示す指標であり、ボラティリティが高いと値動きが大きく、低いと値動きが小さいことを意味します。なお、ボラティリティが高いことを「ボラタイル」と言います。
値動きが激しい市場環境では、「大きな利益を得るチャンスがある一方で、大きな損失を被るリスクも高まる」という特徴があります。したがって、投資初心者にとっては、単に「ボラティリティが高い=危険」と考えるのではなく、適切な知識と戦略を持って市場に臨むことが重要です。
ここからは、ボラティリティの基本概念、値動きが激しい市場で気をつけるべきポイント、短期売買や押し目買いのチャンス、キャッシュポジション(現金比率)の重要性、そして精神的なマインドセットについてお伝えしていきます。
ボラティリティが高いとどうなるか
まずボラティリティは一定期間内の価格変動の度合いを示す指標です。例えば、日経平均株価が1週間で5%動く場合と、1週間で0.5%しか動かない場合では、前者の方がボラティリティが高いといえます。
VIX指数(恐怖指数)が市場のボラティリティを示す代表的な指標として知られています。VIX指数が高いと、市場参加者の不安が高まり、相場が荒れる傾向にあります。日本では日経VIというボラティリティを示すインデックスがあります。個別株などのボラティリティの計測にはテクニカル指標のATR(Average True Range)も活用できます。これらの指標を使って市場の変動リスクを測定できます。
ボラティリティが高いと、市場の特徴としてまず価格の振れ幅が大きくなることが挙げられます。1日で大きく上昇することもあれば、大きく下落することもある、ということです。ポジティブに捉えればうまく売買できれば短期間で大きな利益を得るチャンスが増えることにもなりますが、短期トレンドが変わりやすくなりがちで売買タイミングの見極めがより必要となり投資判断の難易度が上がるとも考えられます。加えて、急騰急落があると精神的に不安になり、売買判断を取りにくくなることも考えられます。つまり心理的な負担が増えるわけです。
ボラティリティが高い時の心得
そのためボラティリティの高い市場では、冷静な判断を保つことや、あらかじめルールを決めたり適切なリスク管理を行うことが重要です。具体的には経験が浅いうちは無理な売買をしすぎないことが重要です。短期売買というルールで売買するのは良いと思いますが、長期で保有しようと決めたはずなのに、短期的な急騰急落に振り回されるのは避けましょう。
また事前に利食い(利益確定売り)やロスカット(損切り)のルールを明確に決めておくことも重要です。
長期投資であれば1つの銘柄に集中投資すると大きな損失を被るリスクがあります。複数の銘柄や異なる資産クラスに分散投資することで、リスクを抑えることができます。
リスクをチャンスに変える行動
ここで改めてお伝えしたいのは、値動きが激しい相場はチャンスでもあるということです。
ボラティリティが高いと、1日の値幅が大きくなり、短期的な売買チャンスが増えます。そのため日経平均先物やFXなどしっかり学んだ上で小額から練習をするには、経験値や利益を得やすい良い市場環境とも言えると思います。
また長期投資では大きな下落時は押し目買いのチャンスでもあります。2024年の急落のように、一時的な急落の際は結果的に絶好の買い場となりましたが、急落の真っ最中はどこまで落ちるかわからないと不安になって慌てて損切りをしてしまったり、怖くなって買う事は意外とできないものです。急落に備えて事前に「下がったら買いたい銘柄リスト」などを用意しておくこと、また押し目を買うためにも「投資資金をすべて株に投入しない」ことが重要です。市場が大きく下落した際に買い増しを行うためにも、すべての資金を投資していると下落時に強いストレスを感じやすいのでメンタル保全のためにも十分なキャッシュポジション(現金比率)を確保しておく必要があります。
市場環境や投資スタイルによりますが、個人的にはポートフォリオの2割〜3割程度はキャッシュで持っています。またボラティリティが高まっていると感じたら一時的にキャッシュ比率を高めるのも有効な戦略だといえそうです。
冷静なマインドを維持し、感情に流されない投資判断をするためにも、ボラティリティが高くても、それを利益に変えられるような投資戦略を立てておきましょう。
この記事が少しでも皆様の投資の参考になれば幸いです。
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(三井 智映子)
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