投資家を失望させてきた「メルカリ」の株価が急騰! 反転の序章は始まったばかり?
MONEYPLUS / 2025年2月13日 7時30分
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投資家を失望させてきた「メルカリ」の株価が急騰! 反転の序章は始まったばかり?
フリマアプリとして国内では圧倒的な知名度を誇るメルカリ。2018年に当時のマザース市場に上場した際の注目度は高かったものの、赤字経営が続いていたため株価は低迷。その後、スマホ決済サービス「メルペイ」をローンチし、キャッシュレス決済市場へ参入、メルカリの売上金をそのまま使える利便性でユーザーを拡大しました。
コロナによって自宅を整理する人が増えたことも追い風となり、2021年には黒字転換、株価も上場来高値の7,390円をつけました。
ところがその後、米国事業(Mercari US)の赤字が拡大し、収益面での課題が浮き彫りに。株価は7ヶ月間で、高値7,390円から1,850円まで-75%も下落し、投資家の失望を招きました。その後の株価は、”浮上しては沈み”をくりかえし、2025年1月には、ほぼ上場来安値に近い1,631円をつけています。
株価急騰をもたらした決算の内容とは
ところが、2025年2月の決算発表翌日、株価はストップ高を記録! これは単なる一時的な上昇か、それとも反転の始まりなのか、非常に気になります。
株価急騰をもたらした2025年6月期第2四半期決算を確認します。
画像:メルカリ「2025年6月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)」
①売上収益94,161(百万円)、②前年比+1.9%、③コア営業利益11,183(百万円)、④前年比+28.9%。コア営業利益率(※)が14.4%と直近の3ヶ月の9.7%から大きく改善されました。そのほか、赤字を垂れ流していたUS事業が12月単月で黒字化達成というサプライズと、フィンテック事業が、3四半期連続黒字化というのも好材料です。
(※)コア営業利益…営業利益からその他の収益・その他の費用などを控除したもので、日本の会計基準で計上される営業利益を指す
利益率が大きく改善された理由は、コスト構造の変化で、具体的には以下の3つになります。
1.US事業のコスト構造改善
マーケティング費用の効率化と、固定費の徹底的な見直しを実行。組織規模の縮小ではなく、収益性の高いプロダクトへのリソース再配分で効率化をはかりました。
2.広告宣伝費の最適化
一部のポイント費用(広告宣伝費)を売上収益および販管費から控除する会計基準の変更により、販管費の透明性が向上 。これにより、広告投資の効果が改善され、利益率が上昇しました。
3.US事業における新手数料モデルの導入
購入者負担の手数料モデルが高価格帯商品の取引減少を招いたため、再度出品者負担にシフト。これにより取引数が増加し、収益基盤が安定しました。
そのほか不正利用対策を強化したことにより、取引の健全性が向上し、取引単価がアップしたのも利益率の改善に寄与していると思います。
メルカリハロへの期待
ここ最近、急激に成長しているスキマバイト市場に、メルカリが「メルカリ ハロ」という名前で参入したのは2024年3月です。スキマバイトの代名詞となっている”タイミー”が先頭を走る中、参入のメリットがあるかどうかは問われるところでした。
以前、この連載でも紹介しましたが、スキマバイトをする人のことを”タイミーさん”と呼ぶ文化ができつつあり、メルカリ ハロは不利とも言われていました。
参考記事:5年で売上が194倍! スキマバイトアプリ「タイミー」、上場後の株価はどうなる?
しかし、ここにきて、メルカリ ハロが急成長しつつあります。そもそも2,000万人以上のユーザーを抱えるメルカリ経済圏を活用できるという優位性をもち、また、メルペイにて報酬を即時入金という利便性も利用者にとってはかなりうれしい仕組みです。
また、過去の勤務経験者に直接アプローチできる独自機能「OBOGコネクト®」により、企業側が即戦力を再雇用しやすく、再現性が高いマッチングが可能になっています。
こんな風に、メルカリの資金力による力技で、一気に全国展開が加速中。国内ナンバー1のスキマバイトプラットフォームを目指し、今後、メルカリの中核事業へと成長する道筋が見えています。
現在行われている手数料無料キャンペーンは、2025年3月末で終了予定なので、今後は収益化フェーズに移行し、利益への貢献が期待されます。
AI活用による事業の進化
メルカリ再浮上のフックになっているのは、AI活用のうまさにあるのではないかと感じています。
フリマアプリ「メルカリ」内では、AIを活用して不正行為の検知システムを導入し、不正利用者の排除や疑わしい取引のリアルタイム監視を行なっています。これにより、利用者は安心して取引を行うことができ、再利用の確率が高まります。
メルペイでは、与信管理にAIを活用しており、個々のユーザーに対して最適な与信枠を自動的に設定。ユーザーの取引履歴や行動データを基に与信判断を行うことで、延滞リスクの低減と貸倒率の最適化を実現。債券回収率は、なんと99.3%超!です。
メルカリ ハロでは、大規模言語モデルを活用した求人作成支援機能を提供しており、企業は必要な情報を入力するだけで、自動的に求人内容が生成され、手間なく効率的に求人出稿を行うことができます。
このように、AI技術を最大限に活用して、利用者のストレスを最小限にしています。まさにこれこそ、AI活用の醍醐味ではないでしょうか?
株価反転でトレンドは変わる?
画像:TradingViewより
株価は、決算発表翌日にストップ高となり、底打ち反転した兆しを見せています。この上昇がこのまま持続するのか、ふたたび下落に転じるのか、投資家にとってはいちばん気になるところです。
決算発表翌日の出来高は1,769万株、その翌日は2,110万株と、通常の1日の出来高の5倍以上に膨らんでいます。それだけ買いの圧力が強いことを表しており、とてもよい傾向です。
テクニカル的にみると、日足チャートで、5日移動平均線が、25日移動平均線、75日移動平均線とゴールデンクロスを形成し、いちばん上にあります。これは上昇トレンドスタートのサインと読むことができます。
今回の決算発表で、投資家からのメルカリに対する心理は前向きに変化しました。これを維持するための注目ポイントは、
- US事業の収益改善が継続し、ふたたび赤字に戻らないか
- メルカリ ハロの手数料収入が、どれだけ利益に貢献できるか
- フィンテック事業が、引き続き安定した債権回収を実現できるか
となります。
これまで決算のたびに投資家を失望させてきたメルカリが、ついにその期待に応える時が来た――そう信じたいと思います。
※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。
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(藤川 里絵)
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