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「借金してること会社にバラすぞ」と脅される日々… 解決策を弁護士に聞いた

マネーポストWEB / 2021年4月22日 19時0分

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借金をしたことで脅され続ける現状をどう打開する?(イラスト/大野文彰)

 金銭トラブルにおいて、弱い立場にある人が返済や利子などの負担以外にさまざまな圧力を受けることがある。もしも、そういった理不尽な状況に置かれた場合、どう対応したらいいのか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。

【相談】
 夫は以前勤めていた会社の同僚だったAさんといまもつきあいがあります。夫はAさんから50万円を借りていて返済中なのですが、何かにつけて呼び出され、いいように使われています。仕事などを理由に誘いを断ると、「おれから借金していることを会社にバラすぞ」などと言われるため断れません。このままでは返済し終わった後も脅されかねません。どうしたらよいでしょうか。(神奈川県・43才女性)

【回答】
 借金を返すのは当然です。しかし、返せないからといって意に反した行為を強制される理由はありません。

 金銭消費貸借契約に基づいて授受されるのが借金です。契約によって借主に借金を返す法的義務が課され、貸主には返還請求できる権利が生じます。しかし、どの契約でもそうなのですが、契約違反した相手に何らかの行為を直接強制することはできません。Aさんには借金のカタにご主人を「いいように使う」権利などもともとないのです。ご主人が断れば、Aさんはご主人ではなく裁判所を使って、返金を受ける権利を行使できるだけです。その結果、ご主人に財産があれば失うことにはなりますが、借金したのですからやむをえません。そのことを覚悟すれば、Aさんの理不尽と思える要求を拒否すればよいのです。

 とはいえ、実際には財産は惜しいし、裁判を起こされるのを避けたいのが人情です。そのため借金の弱みもあって、貸主の言うことを聞きがちになります。しかし、仮にAさんがご主人を借金漬けにして、奴隷のようにこき使っているということであれば、別の問題があります。人間をお金で縛って自由を奪うことはできません。

 例えば、労働基準法では暴行、脅迫などで精神的・身体的な自由を奪う強制労働を禁じていますが、お金を前貸しして精神的に労働者の意思を縛って働かせることも厳禁です。

 そこで、Aさんが最初からご主人を奴隷扱いすることを目的にお金を貸していたとすれば、公序良俗違反で契約は無効になります。無効でも受け取ったお金は返すべきですが、強制目的という不法な原因によって渡された場合は、返却義務なしとの理屈が立つ可能性もあります。

 いまはご主人の会社に「借金の通知をするぞ」と言って従わせようとしているそうですが、借金は知られると不安を感じたり、困惑する私生活上の秘密ですから、会社への通知は、プライバシー侵害に当たるだけでなく、社会的評価を貶めて名誉を毀損することにもなります。ご主人を自分の思うようにさせるために通知するのですから、こうした民事上の不法行為にとどまらず、名誉に害を加えることを伝えて義務のないことを行わせようとするものとして刑法の強要罪に問われることもあります。Aさんが本気なら警察に相談してください。

 しかし、Aさんは、返済が終わらないご主人にしびれを切らしているのかもしれません。しっかりした返済計画を立てて安心させ、違法な行為をしないよう納得してもらうことが先決のように思います。

【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。

※女性セブン2021年4月29日号

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