正社員と非正規の待遇格差に違法判決、人材サービス業界のマージン率・営業利益率を探る

MONEYzine / 2017年9月22日 15時0分

 9月14日、東京地裁は正社員と非正規社員(契約社員)との間の待遇格差について、「一部違法」の判決を下した。その影響はまだ読めないが、人材派遣などを手がける人材サービス企業の従業員給与や派遣社員の収入などに迫ってみた。

■人材サービスのマージン率は?

 派遣社員に対する給与は、人材サービス企業が派遣先から受け取る派遣料金から、一定の手数料を差し引いて支払うことになる。この手数料の割合(マージン率)については、明らかにしている企業も出ているようだが、マージン率公開企業は少数派というのが現実である。

 ただし、派遣社員に支払う給与などは、「売上原価」として計上するのが会計の基本であり、その原価の内訳に「労務費」を開示してあれば、マージン率の推定は可能である。人材サービス企業の場合、「労務費=派遣社員に支払われる給与」と見ていいからだ。

●アウト―ソーシング(2427)

 たとえば、技術系・製造系の請負や派遣業務を中心に、米軍基地への人材派遣も手がけるアウトソーシング(2427)である。

 親会社1社(単体ベース)の売上高は276億7600万円。それに対して売上原価は、労務費196億3500万円を含めて、合計では204億7400万円である。

 これを時給1000円に換算してみると、原価全体は740円、そのうち労務費に限れば709円相当ということになる。労務費には法定福利費などが含まれることも多く、全額が派遣社員の手取りとはいかないだろうが、「派遣社員700円」「人材サービス企業300円」がおおよその配分。マージン率3割が目安ということだ。

 アウトソーシングはまた、内勤社員と外勤社員の年間給与を別々に開示している。顧客メーカーにおける現場作業従事者を外勤社員としているようだが、平均年間給与314万円は、派遣契約社員を含めてものである。

 大手を中心に持株会社体制に移行する人材サービス会社が相次ぎ、労務費の開示は少なくなっているといっていいだろう。

●nmsホールディングス(2162)

 中国やマレーシアなどの自社工場での受託や製造ラインの管理請負などを手がけているnmsホールディングス(HD/2162)もそうした1社で、日本マニファクチャリングサービスがグループ全体の商号だった時代は労務費を開示していた。それによれば、1000円につき710~720円に相当。同社の場合も、マージン率はおよそ3割、残りの7割が派遣社員の取り分と見ていいだろう。

 nmsHDは、平均年間給与268万円の「現場社員は原価部門の社員」としていることから、派遣社員の平均給与と推定される。

 ちなみに、転職や派遣の情報サイトなどを運営しているエン・ジャパン(4849)や、人材派遣国内最大手のリクルートHD(6098)の子会社は、派遣社員の募集時平均時給を調査・発表しており、3大都市圏における8月の平均時給は、1500円台から1600円台だった。

 正社員や取締役の人件費関連は、販売費及び一般管理費(経費)に計上される。

 nmsHDは、「一般社員は経費部門の社員」としていることから、501万円は正社員などの平均年間給与と見るのが妥当だろう。派遣社員より約230万円、率にすれば86%ほど高い水準だ。

ビジネスリサーチ・ジャパン[著]

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