メルセデス・ベンツ 新型Gクラス「G350d」 試乗|新しい“G”にはディーゼルこそが相応しい
MōTA / 2020年5月11日 10時58分
2018年に刷新されたメルセデス・ベンツの人気クロカン四駆「Gクラス」。今回は従来型でも人気の高かったディーゼルモデル「G350d」に試乗した。全てを一新してもなお“Gクラスらしさ”は健在なのか。その乗り味について、モータージャーナリストの山田 弘樹氏がレポートする。 >>
“G”はただのオシャレアイテムにあらず
そんなGクラスの魅力を、今回はお伝えしてみようと思う。
伝統的な味わいと個性を色濃く残しつつ現代化
Gクラスのルーツが軍用のクロスカントリー4WD車だというのは語り尽くされた話。1979年に登場して以来、その姿を大きく変えることなく4代目まで延命し、「いくらなんでもそろそろ終了だろう」と誰もが思ったそのとき、メルセデスがこの5代目を登場させて話題をさらった。それも、Gクラスが持つ伝統的な味わいと個性を、色濃く残す形で現代化したのである。
古めかしいドアノブのプッシュボタンを押して、Aピラーの取っ手を握りながらコクピットへ潜り込む。ドアを閉めると“ガシーン!”とドアがストライカーに咬み込む音が響いて、まず嬉しくなる。そして走り出すと、それより大きな“ガシャンッ!!”という音でドアロックが掛かり、一瞬ビクッとする。最新式でも、ゲレバは賑やかだ。
最高出力を41psアップさせた最新のクリーンディーゼルを搭載
その排気量は3リッターで、最高出力は286PS/3400~4600rpm。最大トルクは600Nm/1200~3200rpmとなっている。
この数値は先代の350d(245PS/3600rpm、600Nm/1600~2400rpm)に対して最高出力にして41馬力もの向上を果たしているが、その高出力化は酸化触媒やマルチウェイ排出ガス再循環装置(EGR)の採用、二段構えのアドブルー噴射を用いること等で実現されている。
ディーゼルユニットは燃料を吹く(パワーを出す)ほどに煤(すす)を出し、燃焼効率を上げる(燃費を良くする)ほどに窒素酸化物(Nox)を出す面倒なユニット。それでも市場がモア・パワーを望むなら、高額な浄化装置を付けてでもクリーン・ディーゼル化への対処をする。これがプレミアムブランドの流儀である。
非常にパワフルだが荒々しさは微塵も感じさせない
1200rpmという低い回転で600Nmもの最大トルクを発揮するエンジン特性には粗雑さがまったくなく、9速となったATのスマートなシフト制御によって、素早く速度を乗せて行く。それは実にしつけが行き届いた、上質な加速である。
出足におけるマナーの良さに感心しながらアクセルを踏み込むと、パワー感が着実に盛り上がって行った。
ただパンチ力という点においては、S400dほどの圧倒感はなかった。もちろんこれは、Sクラスに対しおよそ300kg以上の車重の違い(4WDモデル比)が大きく影響しているのだろう。
単純に速さを求めるならばやはり、先行発売された「G63」(585PS)や、「G550」(422PS)の4リッターV8ツインターボを選ぶべきである。
しかしこの、トルクで走らせる実用的な粘り腰こそ、Gクラスのキャラクターには合っていると私は思う。
新型Gクラスのキャラクターにディーゼルがマッチする理由とは
さらに足回りはフロントサスペンションがリジッドアクスルからダブルウィッシュボーン化され、ラダーフレームながらも快適な乗り心地と素直な回頭性を得た。またステアリングもラック・アンド・ピニオン式へと改められ、コーナーで切ったハンドルを自ら戻すような、ウォーム・アンド・ローラー式の独特な操作を強いられなくなった。
そんな本格クロカン4WDの性能と見た目を維持しながらも、その操作性をSUVの域にまで高めたGクラスには、今回のディーゼルエンジンがベストマッチだ。
ある意味“味わい”として乗り手が受け入れていた先代の、やや緩慢な操縦性とディーゼルユニットの組み合わせは、より冗長さを上乗せするようなところがあった。
しかしより現代的な扱いやすさを得たシャシーにディーゼルユニットを組み合わせることで、真の意味でG350dは穏やかなキャラクターを得たと思うのだ。
とはいえそのハイポジションな着座位置が織りなす運転は未だにアドベンチャー感が強く、これがなまくらに乗用車化されたのではないことは保証する。
“昔のクルマ”を現代の技術で復活させた稀有な実例
スクエアなルックスはレトロ感たっぷりだが、LED化したヘッドライトがその印象を現代的に引き締める。さらに室内へと乗り込めば、現行メルセデスの標準様式である12.3インチモニターの二丁掛けが、フルデジタルな近未来感を演出する。
レトロな乗りものを未来的に仕上げる様は、ジブリやアキラの世界観である。一見するとその組み合わせはミスマッチに思えるが、だからこそ極端なギャップが最高にかっこいい。
こうした現代化がスポーツカーなどよりすんなりできたのも、Gクラスがクロスカントリー4WDだからだろう。サイズアップしても違和感がなく、駐車場問題以外ではこれが歓迎されるからだと思う。
そして何よりメルセデスが、長らくGクラスのキャラクターを守り抜いてきたからこそ、これが可能となったのである。
そんなGクラスにとって今回のクリーン・ディーゼルは、価格のバランスと共にベストマッチする。先代は7割以上のユーザーがG350dを選んだというが、新型でもそれは変わらないはずである。
[筆者:山田 弘樹/撮影:MOTA編集部]
メルセデス・ベンツ Gクラス G350d 主要スペック比較表 | |
---|---|
車種名 | Gクラス |
グレード名 | G350d |
価格(消費税込み) | 1192万円 |
全長×全幅×全高 | 4660mm×1930mm×1975mm |
ホイールベース | 2890mm |
駆動方式 | 4WD |
車両重量 | 2460kg |
乗車定員 | 5名 |
エンジン種類 | 直列 6気筒 DOHC ディーゼルターボ |
総排気量 | 2925cc |
エンジン最高出力 | 210kW(286PS)/4600rpm |
エンジン最大トルク | 600Nm(61.2kg・m)/1200rpm |
トランスミッション | 9速AT |
使用燃料 | 軽油 |
燃料消費率(JC08モード燃費) | --km/L |
燃料消費率(WLTCモード燃費) | 9.9km/L |
燃料消費率(WLTC:市街地/郊外/高速道路モード) | 7.9km/L/9.8km/L/11.2km/L |
タイヤサイズ | 265/60R18[標準仕様] |
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
メルセデス・ベンツ、ブランド唯一の4人乗り「CLE 200 カブリオレ スポーツ」
マイナビニュース / 2024年6月26日 19時17分
-
メルセデス・ベンツが新型「EQB」を発売 - 航続距離は557kmに!
マイナビニュース / 2024年6月20日 16時30分
-
乗用車とは一線を画す洗練されたデザインと“味”のあるエンジンの「ジープ・コマンダー・リミテッド」
&GP / 2024年6月15日 21時0分
-
【解説】スバル「インプレッサ」ってどんなクルマ?サイズやエクステリア&インテリアの特徴は? グレード・価格はどうなっている?
くるまのニュース / 2024年6月13日 17時30分
-
300万円台! 新型「すごいクロカンSUV」が発表! ゴツゴツ精悍ボディ&5速MTの”悪路強者” 「グルカ5ドア」印に登場で反響アリ
くるまのニュース / 2024年6月7日 13時10分
ランキング
-
1すき家、7月から“大人気商品”の復活が話題に 「この時期が来たか」「年中食いたい」
Sirabee / 2024年6月29日 4時0分
-
2若々しい人・老け込む人「休日の過ごし方」の違い 不安定な社会、「休養」が注目される納得理由
東洋経済オンライン / 2024年6月30日 9時0分
-
3忙しい現代人が“おにぎり”で野菜不足を解消する方法。野菜たっぷりおにぎりレシピ3選
日刊SPA! / 2024年6月30日 15時53分
-
41年切った「大阪・関西万博」現地で感じた温度差 街中では賛否両論の声、産業界の受け止め方
東洋経済オンライン / 2024年6月30日 14時0分
-
5水分補給は昼コーヒー、夜ビール… 「熱中症になりやすい人」の特徴と対策
ananweb / 2024年6月29日 20時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)