【国産派vs外車派】ランクルプラドとジープ グランドチェロキーをくらべてみた|外車のススメ Vol.15
MōTA / 2020年5月12日 13時50分
あえて選ぶ外車のススメ。この企画では「国産車、じゃなくて輸入車」をテーマに、様々なカテゴリーの車種を比較検討します。第15回のテーマは、高級SUV対決。ランドクルーザーシリーズの弟分「プラド」と、伝統のアメリカン4WD・ジープブランドの旗艦SUV「グランドチェロキー」をご紹介します。
乗りやすい“小さなランクル”「ランドクルーザー プラド」
日本を代表する高級SUV、ランドクルーザー。1954年から続く伝統あるビッグネームで、V8エンジン搭載で車体が大きな“兄貴分”「大きなランクル」200系と、 “弟分”の「小さなランクル」プラド・150系が販売されています。プラドの成り立ちを説明するには、「大きいランクル」と「小さいランクル」が生まれた背景から説明が必要です。ランドクルーザーを代表する「40系(1960〜1984年)」の4ドア・ロングホイールベース版の流れは、「大きなランクル」の55・56系、60系、80系、200系につながりました。
一方、40系ショートホイールベースの後継モデルが「小さいランクル」の70系で、1990年になって4ドアを追加すると同時に「プラド」の名を冠しています。現行型は2009年から発売の4代目です。
都市部で使いやすいプラド
プラドのボディは全長約4.8m、全幅1.9m以内で、全長5m×全幅2m近い200系に比べると、乗りやすいサイズです。もちろん、ランドクルーザーというブランドにふさわしい高級感や悪路走破性も健在。直4のガソリンとクリーンディーゼルエンジンを搭載し、燃費と動力性能を高い次元でバランスがとれています。
都市部での使用にも映える洗練さも、プラドが売れている要素です。
悪路走破性と高級感を合わせ持つ「ジープ グランドチェロキー」
そして「アメリカの4WD」といえば、「ジープ」ブランドで、現在はフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が所有しています。グランドチェロキーは1993年に登場した高級SUVで、4代目となる現行型は、2010年に登場しました。ジープといえばヘビーデューティーなイメージがありますが、1999年デビューの2代目以降はモノコックボディを採用し、オンロードでの快適性を増しました。
現行型も乗り心地に優れ、コーナリングも思いの外得意です。ジープの名を冠するだけあり、悪路走破性の高さも折り紙つき。
内装は高級感に溢れており、「道を選ばぬ力強い走り」と「高い快適性」を併せ持つクルマに仕上がっています。プラドより少々長く幅広いボディは重厚感があり、高級SUVにふさわしい落ち着いたデザイン。3.6リッターV6エンジンを基本に、6リッター超えの超高性能なV8エンジン版までしっかり設定しているのもポイントです。気になる価格で比較!
サイズ的・ジャンル的に近い2台のSUVですが、価格帯には幅があります。プラドの価格は、ガソリンエンジンでは360万円から428万円まで、ディーゼル搭載車は422万円から546万円まで。
一方のグランドチェロキーは、V6モデルが524万円から734万円まで。
そして最高出力468psという別格のパフォーマンスを示す6.4リッター V8 HEMIエンジンを押し込んだ「SRT8」が885万円。さらにスーパーチャージャー付の6.2リッター V8 HEMIエンジン(710ps!)というジープ史上最強の「トラックホーク」も1356万円で用意されています。
乗車定員や装備が異なるため、2車の単純な比較はできませんが、プラドのディーゼル版最上位グレード「TZ-G」とグランドチェロキーのV6エントリーモデル「ラレード」の価格を比べると、グランドチェロキーのほうが少し安くなります。
また、TZ-Gに約20万円上乗せすれば、ラレードに各種装備を豊富に追加した「ラティチュード」も視野に入ってきます。
輸入車であることを加味すると、グランドチェロキーの方が、実はお買い得!?
それ以上のグレードだとグランドチェロキーはプラドよりもだいぶ高価になりますが、「実はさらにお買い得」なSUVなのです。なぜなら、それはハイパフォーマンス版グランドチェロキーのエンジンが、大排気量V型8気筒エンジンだから。
このクラスには、BMWやメルセデス・ベンツに代表されるライバルのSUVも多く存在します。しかし6気筒エンジンを積んだ同格の欧州SUVの価格帯はおおむね900万円以上。
しかしその金額でも、V8搭載のSUVはまだ手が届かないのです。
その中で、目が覚めるような加速性能と荒々しいキャラクターを持つグランドチェロキーSRT8は、885万円。もちろん、絶対的に安い額ではありませんが、メルセデスAMGに代表されるハイパフォーマンスSUVの多くが2000万円以上することを考えると、飛び切り特別なトラックホークの1356万円すらかなりお買い得と言えます。
直4エンジン+過給器でも、パワーや静粛性・フィールに優れている現在では、気筒数の大小が高級車の価値を左右しない時代になりましたが、とはいえマルチシリンダーの持つ音と回転感覚は得難いものです。
ランドクルーザー プラド、じゃなくて「グランドチェロキー」という選択
購入して総合的に満足感を得られるのは、ズバリ、ランドクルーザー プラドだと思います。その理由はグランドチェロキーとの優劣ではなく、国産車ゆえの「使い慣れ感」、安心感とサービス網、ランドクルーザーというブランド、落ち着いたデザインなど多岐に渡ります。ディーゼルターボエンジン搭載車なら、気持ち良い加速と燃費の良さも両立しています。グランドチェロキー は登場して10年経っており、次期モデルの話も気になるところです。
それでもグランドチェロキーを選ぶ理由
アメリカ車が持つおおらかさを程よく残し、大排気量マルチシリンダーエンジンの鼓動を味わえて、豪快でワイルドなイメージと高級感を備えているのがグランドチェロキーの魅力です。
そして何より最大の選択ポイントは、「アメリカ車」「ジープブランド」ということです。アメリカ車には「速い」「高級」「V型エンジン」という”らしさ”が欲しいところですが、その欲求も満たしてくれます。
トラブルが多かったのも、今や過去の話。ジープはディーラー数も多めで、購入後も安心です。そうか、グランドチェロキーという選択は考えもしなかった! という人がいたら、ぜひ気に留めてみてください。
[筆者:遠藤 イヅル]
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