【2020年夏版】新型「ルークス」や王者「N-BOX」など、 各社のスーパーハイトワゴンの先進安全装備をランク付け!【I LOVE 軽カー】
MōTA / 2020年7月30日 15時35分
軽自動車は広い居住空間や高い利便性だけ? やっぱり事故ったら普通車に比べて危ない? そんなこと全然ありません! 最近の軽自動車は安全性能が格段に進化しているのです。ここでは、具体的に何がどう進化しているのか、メーカーによって何が違うのかを、各安全装備ごとに分かりやすくお届け! 今回は、「スーパーハイトワゴン」の合計5台の先進安全装備を比較、ランク付けしていきます!
シノギを削る各社の「スーパーハイトワゴン」の先進安全装備をランク付け!
軽自動車の先進安全装備を丸裸にしてみようという当連載企画。前回は「ハイトワゴン」と「ワゴンタイプのクロスオーバーSUV」の先進安全性能をランク付けしてみたが、今回はその第2段として「スーパーハイトワゴン」編をお届けしよう。
優れている部分とそうでない部分
ただし、この記事を読むうえで前提として理解して欲しいことがある。先進安全装備を総合的に比較する時に「じゃあどれがいいのか?」を判断するのはとても難しいということだ。前回と同じ例で申し訳ないが、勉強の成績にたとえてみればわかりやすい。すべての教科を完ぺきにこなせれば一番いいのだが、なかなかそうはいかない。多くの人は教科による得意/不得意がある。「英語は得意だけど数学が苦手」という人と「理科ならだれにも負けないけど、社会は頭に入らない」という人がいた場合、どちらが優秀かを判断するのは本当に難しい。同様に、ひとくちにクルマの先進安全機能といっても車種それぞれに得意分野とそうでない分野が存在するからだ。この記事では「衝突被害軽減ブレーキ」「車線逸脱警告/抑制機能」そして「誤発進抑制機能」と2つの安全装備に関して星の数でランク分け。その合計で総合順位を決めた。評価の基準とした星の数は、それぞれ「★★」を標準とした。それより多い「★★★」は優秀、「★」は“進化を望みたい”として評価している。
たとえばダイハツ タントは誤発進抑制機能では星を3つ獲得。いっぽうで衝突被害軽減ブレーキは星がひとつに留まった。長所と短所が混在するのだ。それを総合としてどう判断するかは難しい。
気になるランキングは?
…というわけで断っておきたいのは、今回のランキングは無理やりなものだということ。本来なら単純比較できない長所と短所を強引に星の数で表し、そのトータルの数によりランクを決めているからだ。とにかく強引なランク付けだという前提を頭におきつつ、ここから先を読み進めてほしい。そして、中身をしっかり理解して各車の長所と短所を見極めてほしいと思う。
それではランキングを見ていこう。
※ランキングは2020年7月20現在
トップに輝いたのは、星を8個集めた日産 ルークスと三菱 eKスペース/eK クロススペース。3車は基本設計を共用するモデルだ。 高評価の理由は衝突被害軽減ブレーキ&警告機能が高度なことと、誤発進抑制機能もシステムが充実してそれぞれ星3つとなり、車線逸脱警告/抑制機能にも減点がなかったこと(星2つ)。衝突被害軽減機能で特にスゴいのが「インテリジェントFCW」と呼ぶ前方衝突予測警報。レーダーを使って前を走るクルマの、その前を走る車までモニタリング。2台前のクルマの減速を察知し、ドライバーへいち早くブレーキの警告を発することで追突事故を防ぐのだから立派だ。日産の上級車種と同様のシステムを組み込んでいるのである。その恩恵で衝突被害軽減ブレーキの性能も高い。車線逸脱警告/抑制機能は標準で星2つ、誤発進抑制機能は前後のブレーキ制御まで行うので星3つとした。
次点の4位となるのが、ホンダ N-BOXとダイハツ タント。星の数は6つと、上位3台に比べると2個の差となった。N-BOXで優れているのは、衝突被害軽減ブレーキの性能だ。夜間の歩行者はもちろん、スーパーハイトワゴンクラスで唯一となる横断する自転車にも対応している。
いっぽうで進化を期待したいのは誤発進抑制機能。エンジン出力は抑えるものの、ブレーキ制御までおこなわないのがウィークポイントだ。
総合得点では同点だが、タントは得意部分と不得意部分が逆。誤発進抑制機能はブレーキ制御まで行うので星3つだが、衝突被害軽減ブレーキは夜間の歩行者検知に非対応なので星1つに留まった。
今回のランク付けでもっとも星が少なかったのがスズキ スペーシアだ。内訳をみると、衝突被害軽減ブレーキは夜間の歩行者検知に非対応なので星1つ、車線逸脱警告/抑制機能はハンドル支援がないので星1つ、そして誤発進抑制機能はブレーキ制御が後方のみなので星2つとした。先進安全装備の充実度と性能水準は、軽自動車もかなりのところまできている
勘違いして欲しくないのは、このランク付けは2020年7月現在のもので、今後の各車のアップデートによって入れ替わるということ。スペーシアの評価が振るわなかったのはデビュー時期が2017年末とN-BOXの次に設計が古く、さらに2019年末にシステムをアップグレードしたN-BOXと異なりデビュー以来システムの改良がおこなわれていないことの影響が大きい。先進安全システムは進化速度が速いので、新型車が出ればそれ以前のモデルの性能はどんどん古くなってしまうのだ。1年後に同じランク付けをしたら、順位は大きく入れ替わっている可能性が大きい。
それに関してもうひとつ。今どきのスーパーハイトワゴンは先進安全装備の採用がどんどん広がり、性能水準も着実に上がっていること。わずか5年前には、衝突被害軽減ブレーキを備えるだけで性能に関わらず高評価だった。それがいまでは、付いているのが当然である。先進安全装備の充実度と性能水準は、軽自動車もかなりのところまできているのだ。ホンダや日産などは、上級モデルと同じ性能としているといえば、各社の力の入れ方がイメージできるだろう。
ACCでも日産・三菱が現時点でトップ
ところで、安全系ではないが、運転支援システムのACC(アダプティブクルーズコントロール)にも触れておこう。これは、高速道路でドライバーがアクセル/ブレーキ操作をしなくても前を走る車両に合わせてクルマが自ら速度を調整するこの仕掛けだ。近年、軽自動車にも採用が広がっている。その機能性でも現時点でトップと言えるのが、日産 ルークスと三菱 eKスペース/eKクロススペース。渋滞時の低車速、そして完全停止時の停止保持までおこなう(ドライバーは再発進時に発進の合図だけすればいい)。ただし、装着できるグレードはかぎられている。
いっぽうN-BOXは渋滞には非対応で停止保持も行わないが、全車に標準装備する心意気が凄い。軽自動車ファンとしては、これも高く評価したい。
[筆者:工藤 貴宏]
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