こりゃコンパクトSUV革命!? ヤリスクロスはちっちゃいのに実力は高級車以上だった
MōTA / 2020年7月30日 10時20分
9月の発売前から大注目のヤリスクロス。穏やか系のフェイスやちょうどいいサイズ、加えて見た目の割に超広いラゲッジなど見所満載だが、肝心な走りはどうなのか? モータージャーナリスト 今井 優杏さんが、ヤリスクロスの気になるコトを全て暴きます!
注目度はハリアー超え!? ヤリス以上のデキ
しかし、報道解禁日に合わせて公開したこのクルマの視聴回数の伸びは、その当の本人が驚くべき勢いであった…ということをまずはお伝えさせて欲しい。この再生の注目度はあのハリアーに次ぐものだったのだ(当チャンネル比較)。そして視聴回数=注目度の高さと考えるのは、妥当なことだと思う。そう、トヨタのスモールSUVのヤリスクロスだ。
ヤリスと一体何が違う!? その差はコチラ▼
TNGAはもはや“テッパン”のいいクルマ
案の定、ヤリスは販売台数でもライバルを退け、TNGAテッパン説をさらに確実なものにした。そしてもちろん、このヤリスクロスも同じプラットフォームが採用されているのだから、もう乗る前から好感触が透けて見えていたのだけども、実際に目にした現物は想像以上だった。
悪路走破性も伊達じゃなかった
というワケでこれなら走りもヤリス以上であろうと思わせるし、後述するけど案の定どのパワートレインもやっぱり素晴らしかったのだが、それ以上にビックリさせられたのは『ここまでやるか?』の削ぎ済まされた使い勝手にある。
ラゲッジの工夫がエグい! ゴルフバッグだって2つも飲み込むゾ
フロアの板=デッキボードは真ん中で二分割されていて、それを外すとさらに一段低いフロアが現れる。上のボードは下のフロア部に収納可能で、フルサイズのゴルフバッグが横置きで2つ(!!)、Lサイズのスーツケースが2つ、余裕で収納できる。
デッキボードを敷いたらA型ベビ−カーが、さらに半分だけデッキボードを取って高さの差があるモノが収納できるなど、まさに使い勝手は工夫次第で無限大。
さらにリヤシートを4:2:4の可倒式とすることで、真ん中の“2”部分を倒したら、4人乗車をしながら長尺物(スキー板とか!)を収納することも可能だ。
ちなみに筆者はスキー1級(ドヤ!)なのだが、私の時代はスキー板が長けりゃ長いほど偉かった時代。さすがに180センチ超えの板は詰めないでしょ? と聞いたら、「運転席の横まで来てしまうから安全的には推奨出来ませんが、まあ積めます」とのこと。……もう、私をスキーに連れてってもらうのにハイラックスなんて要りませんやん…、なのだ(レガシー感)。
輸入車なんて目じゃない!? ハリアー譲りの超便利機能も
さらにこの荷室には、トヨタコンパクトSUV史初、あのハリアーにも搭載されているハンズフリーパワーバックドアも設定されている!
この辺もさすがトヨタらしく、センサーの位置をかなり広く取ったことによって、誤操作や動作のムラがないように工夫されているという。
いやはや、ヤリスクラスにもこんな装備が搭載されるなんて、ますます高級輸入車になんてもう要らんやん、と驚いてしまった。
今や当たり前の先進安全装備は“超”がつくほど充実
歩行者(昼夜)、自転車(昼)検知機能付き、衝突回避タイプのプリクラッシュセーフティ、レーントレーシングアシスト、全車速追従機能付きのレーダークルーズコントロール、アダプティブハイビームシステムかオートマチックハイビーム、ロードサインアシスト、さらにオプションではあるけれど先行車発信告知機能まで!
自動駐車機能と言っても良い「アドバンスドパーク」はヤリスにも搭載されているが、これも使いやすいし簡単だし精度もいいしで非常に満足度の高い仕上がりになっている。
トヨタじゃ珍しい斬新なボディカラーにも注目
対してリアビューはヤリスにも、そしてどこかハリアーにも似た強さ。ボディーカラーのバリエーションも、トヨタがあんまり手を出してこなかったスモーキーカラーが用意されるなど、トレンド感もしっかり取り入れている。
ヤリスよりちょっと大人しい!? SUVらしさ全開の走り
今回は試乗シーンがサーキットということで、ガッツリとアクセル&ブレーキを踏んで堪能したが、気になったのがヤリスに比べて少し限界値が低いこと、だった。
ヤリスと同じくらいの車速でコーナリングをするとタイヤが滑ってしまうし、タイヤが鳴き始めるのも早い。どうしたことかと思えば、それは意図した味付けなんだそうだ。
SUVは背高なので、ロール値が高い。そのロールを抑えようとすると、どうしてもアシを固めなくてはいけなくなる。SUVらしい“しなやかさ”を叶えるには、ロール変化を上回るほどダンパーを固めないようにしたというのだ。
電子制御なども少し限界を低めに、敢えて設定。限界値を低く設定することで、ドライバーに「これ以上は危険ですよ」「快適性を損ないますよ」というのを警告する目的もあるのだという。
さて、「限界が低い」というのは性能が低いということではないので誤解なきよう。クルマに合わない(想定されていない)走行を私がしちゃっただけで(しかもサーキットで!)、一般道走行ではおそらく、察する以上に十二分!
コスパ最強は超元気なFFガソリンだ
対してガソリンエンジンは飛び出すような軽快さとワクワクするハンドリングを叶えた元気系! どちらも悩むが、ガソリンFFモデルが一番、コストパフォーマンスに優れている気がする。なんたって、ハイブリッドをも支え得るプラットフォームが搭載されているんだから!
ウワサによれば、ガチライバルのホンダ・ヴェゼル、日産キックスよりもオトクな価格設定で出てくるとか……これは末恐ろしや! 是非期待して欲しい。
トヨタ ヤリスクロス 1.5 ハイブリッド / トヨタ ヤリスクロス 1.5 主要スペック比較表 | ||
---|---|---|
車種名 | ヤリスクロス(ハイブリッドモデル) | ヤリスクロス(ガソリンモデル) |
全長×全幅×全高 | 4180mm×1765mm×1560mm | 4180mm×1765mm×1560mm |
ホイールベース | 2560mm | 2560mm |
駆動方式 | FF/E-Four | FF/4WD |
エンジン種類 | 直列 3気筒 DOHC+THS-IIハイブリッド | 直列 3気筒 DOHCダイナミックフォースエンジン |
総排気量 | 1.5リッター | 1.5リッター |
トランスミッション | 電気式CVT | Direct Shift-CVT |
※スペックはトヨタ社内測定値
【筆者:今井 優杏/撮影:茂呂 幸正】
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