コスモスポーツやファミリアプレスト、サバンナRX-7など、あの頃憧れた「ロータリー」3選
MōTA / 2020年7月31日 10時0分
はっと目を見張るような流麗なフォルムのスポーツカー。屈強なボディでどこにでも行けそうなSUV。それともオシャレで可愛らしいコンパクトなモデル。最新モデルから懐かしの名車まで。燃費や車格、維持費など現実問題は一旦置いておいて、誰しも1度は自分の憧れのクルマを思い描いたことでしょう。そしてそれを自慢したいなんてことも…。 今回はそんな、あの頃憧れたロータリーモデル3選をお届けします。あなたの好きなクルマは何ですか? 昔から憧れていた1台はありますか?
マツダ コスモスポーツ
1963年の東京モーターショーで、未来的な見た目と「世界で初めてのロータリーエンジン(2ローター)搭載車」というセンセーショナルなデビューを果たしたクーペモデル。それこそが“コスモスポーツ”です。キャビンを中央に据えた宇宙船のようなフォルムは、当時すでにコモディティ化の一途にあった他車とは全く異なる特異なデザインです。コスモスポーツは、同時期に登場したトヨタ200GTにならび、誰もが憧れる存在でした。
当時の新車価格は約148万円。コスモスポーツ発売時の1967年(昭和42年)の平均年収が62万円であったことを考えると約2.4倍。2020年の平均年収は約441万円なので、およそ1,000万円前後の高級スポーツカーということになります。
ロータリーエンジンを公道で走らせるために作られたといっても過言ではないコスモスポーツ。その構造は、ピストン運動でエネルギーを生み出すレシプロエンジンとは全く異なり、回転運動によってエネルギーを生み出す画期的なものでした。軽量・コンパクト・ハイパワー・低燃費(当時の基準で)という特徴をもつ唯一無二のエンジンで、高速化の一途をたどる時代に注目された最高速度は185km/h(デビュー当初)を誇りました。
コスモスポーツは、その未来的なデザインと軽量コンパクトかつハイパワーな“ロータリーエンジン”を武器に、世界に“マツダ”の名前を轟かせた1台です。
マツダ ファミリアプレスト ロータリークーペ
マツダはコスモスポーツでロータリーエンジンの実用化に成功したのち、「ロータリゼーション」という言葉を掲げて大衆乗用車にまでロータリーエンジンの普及を目指しました。ロータリーエンジン搭載車、第2弾として1967年登場の2代目ファミリアを選び、1968年に「ファミリア ロータリークーペ」を発売しました。10A型ロータリーエンジンはコスモスポーツのそれをデチューンしたものでしたが、それでも最高出力は100psを発生。小さく軽い車体には必要充分。強烈すぎるパワーを与えていました。
2代目ファミリアは1970年に車体幅を拡大した「プレストシリーズ」に発展。この際も、ロータリーエンジン搭載車がもちろんラインアップされていました。そのひとつがこのファミリアプレスト ロータリークーペです。
今でこそロータリーエンジンというと、RX-7やRX-8などスポーツカーのイメージが強いかもしれませんが、1990年代までは高級乗用車ルーチェ(コスモ)に、さらに遡ると1970年代にはファミリア、カペラ、サバンナなどの小型~中型クラスのモデルのセダンやワゴンにまでロータリーエンジン搭載車が存在していたという事実は(※ちなみにマイクロバスにもありました)、ロータリーエンジンの歴史を語る上で大切なトピックです。
マツダ サバンナRX-7
1978年3月に誕生した初代RX-7。当時、国内ではサバンナRX-7と呼ばれていました。世界で唯一マツダが量産を実行したロータリーエンジンの軽量小型の特徴を活かした初代コスモスポーツの意思を受け継ぐかたちで、サバンナRX-7は、低重心により運動性を高めたスポーツカーとして十分に考え抜かれた設計がなされていました。
当時、第二次オイルショックの影響によりガソリンを自由に使うことがはばかられ、日本の自動車メーカーは厳しい排出ガス規制への対応に追われていました。そんな、もはや国産スポーツカーの存在は不可能と思われた中で登場したサバンナRX-7は、世界の人々に衝撃を与えました。
搭載する12A型2ローターエンジンは、当時の馬力表示であるエンジン単体でのグロス値で130psを発揮。ロータリーの特徴を遺憾なく発揮し、高回転まで軽やかに吹け上がります。レシプロエンジンに比べ圧倒的に軽量小型であるため、フロントにエンジンを載せながら車体の中心近くに配置する「フロント・ミッドシップ」と呼ぶパッケージングにより、前後の重量配分は、2名乗車時で50.7対49.3と理想的なバランスに。スポーツカーにふさわしい、軽快で、的確な操縦性を実現しました。
また、前身であるサバンナGTは、双子車のグランドファミリアと共通の車体にロータリーエンジンを組み合わせたものでしたが、サバンナRX-7は、まさにスポーツカーならではの精悍なスタイルを持っていました。
初期型の空気抵抗係数(Cd値)は0.36と、空気抵抗の少ない優れた数値であり、低いボンネットフードは、軽量小型のロータリーエンジン搭載を象徴する姿を印象付けました。さらに、点灯時のみヘッドランプがボンネット先端へ顔を出すリトラクタブル方式は、2代目のFC、3代目のFDにも受け継がれ、ロータリーエンジンとあわせてRX-7の特徴的なポイントとなっています。
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