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タフトは超ユーザーファースト! 欲しい機能だけを織り込んだ買いの一台だった【ダイハツ タフト試乗】

MōTA / 2020年8月13日 13時30分

ダイハツ タフト コンパーノレッド

押しも押されるSUVブームだが、その波は軽自動車界にも。これまでハスラーの独壇場であったが、ダイハツもタフトで参戦。かなり似ている! との声もあるが、乗ると中身は全くの別モノであった。一体タフトはどんなクルマなのか? 気になるポイントを解説!

ダイハツ タフト コンパーノレッド

実は50年前にもあった! タフトの知られざる歴史とは?

1974年にデビューした初代タフトは、現行モデルとは全く異なりラダーフレームに縦置きエンジンと超本格的なオフローダーという位置付けであった

かつてダイハツは、1970年代にタフトという車名のオフロード4WDを販売していた。トヨタ版のブリザードというモデルも存在したが、この6月に発売した同名のモデルは軽自動車SUVだ。

打倒ハスラー! との呼び声も高かったキャスト アクティバは惜しまれながらも2020年3月に生産終了。タフトが実質的な後継車だ

ダイハツの軽SUVというと、クロスオーバーテイストに仕立てられていたキャスト・アクティバ(すでに生産終了)の後継モデルと考えてしまうが、そういうワケではないという。

どちらかというと、タフト(タフ・オールマイティ・ファン・ツールの頭文字)という車名が表しているように、「バックパックのようなクルマ」として開発された、アクティブに使い倒せるSUVなのだ。

走りはかなりイイ? 人気のロッキー譲りの本気のデキ

2020年上半期の新車販売台数1位を獲得したトヨタ ライズの兄弟車ダイハツ ロッキー。タフトはいわば弟分的な存在だ

プラットフォームは、普通車SUVのロッキーにも採用されている新開発のDNGA(ダイハツ ニュー グローバル アーキテクチャー)を採用。メカニズム的にはほぼタントと共通だが、プロポーションは独特だ。スクエアなボディは、全高が1630mmと低く抑えられていながら、最低地上高190mmを実現。

165/65R15とかなり大きめのタイヤを全車で採用。余計なお世話だが、他の軽自動車よりもタイヤ代が高いのでは? というネガも

さらに165/65R15という外径サイズが軽乗用車で最大となる大径タイヤを装着することで、最大のライバルになるであろうスズキ ハスラーともまた異なる、特異なシルエットとなっている。

ダイハツ タフト レイクブルーメタリック

キモは前席ファースト! 徹底的にニーズを調査

ご存知の通り、近年軽自動車で人気なのはタントなどの室内が超広いスーパーハイトワゴン。そのためフロントシートはベンチシートのモデルが多く、センターコンソールを備えたモデルほとんどない。そんな中タフトが採用したのはかなり異例なのだ

運転席も一風変わっている。最大の特徴はセンターコンソールがあるコト。

軽自動車は通常、狭さを感じさせないため、また車内で移動しやすいようにセンターコンソールを設けないのだが、タフトではドライバーが主役であるコトを明確にする目的であえて設置している。

フロントシートはしっかりとしたクッションなど、軽自動車とは思えないほど座り心地がイイ

シートもサイドサポートがしっかりした形状で、結果、乗り込んだ瞬間から軽らしからぬコクピット感がある空間となっている。

後席スペースもしっかり確保! だが機能はイマイチ

リクライニングやスライド機能など、最近の軽自動車に当たり前に付いている装備はない。その分シートアレンジが多彩かつ簡単で荷物を載せるユーザーにはオススメ

ルーフが低いと室内が窮屈なのでは? と思うかもしれないが、後席も頭上空間は十分確保。その代わりリヤシートはスライド機構やリクライニング機構などが省略されている。

また後席の足もとには、タフトではセンタートンネルが大きく張り出している。つまりタフトはフロアをかさ上げせずに、室内高を確保しているのだ。

アンダーボックスも完備し、汚れ物などにはぴったりのスペースだ

リヤシートをシンプルな作りとしているのは、タフトの「バックパックのようなクルマ」というコンセプトが理由だ。シートに多くの機能を持たせるコトより、折り畳んだときのフラットなラゲッジフロアを重視しているのである。

ダイハツ タフトは、使い勝手が抜群のラゲッジに趣味の道具をたくさん積み込んで遊びに行こう! というクルマなのである。

ちなみにダイハツによれば、軽自動車の平均乗車人数は1.5人程度である事を踏まえて、あえてこのような前席を重視した設計としたそうだ。

サンルーフにはキチンと紫外線対策

全車標準のスカイフィールトップはガラスの開閉機能はないながらも、開放感はバツグン。撮影当日は炎天下であったが、車内への影響はそれほどない

特筆すべきは全車標準の大型ガラスサンルーフ「スカイフィールトップ」だ。サンバイザーのすぐ後ろからシェードがガバッと開き、空が視界に入ってくるこのサンルーフは、圧倒的な開放感でドライブを楽しくしてくれる。

もちろんスーパーUV&IRカット機能が付いているので、日焼けや暑さを気にする必要はない。

ダイハツ タフト コンパーノレッド

オススメは全部載せのGターボ

さて、今回は限られた時間では合ったが、NA(ノンターボ)の上級グレードであるGと、Gターボに試乗するコトができた。

NAモデル, ターボモデル

NAモデル, ターボモデル

NAのGは、ポテンシャルの高いDNGAを採用しているだけあり快適性は高いのだが、加速力には若干の物足りなさを感じたのが正直なところ。近所への買い物や最寄り駅への送り迎え程度であれば十分かもしれないが、アクティブに使い倒すとなると、もう少し力強さが欲しいと感じた。

一方Gターボは、エンジンの力強さもさることながら、高速域用のスプリットギアを備えたD-CVTを組み合わせることで、ストレスのない発進加速を実現。

パワーボタンを押せば、絶対的な出力はそれほど変わらないものの、追い越し時などには重宝する

さらにステアリングホイールに備わる「PWR」と書かれたD assist切替ステアリングスイッチを押してパワーモードを選択すれば、エンジンとD-CVTが、よりレスポンスを高める制御となる。乗り心地もフラット感が高く、ダイレクト感のある走りが楽しめる。デイリーユースから趣味の遠出まで、不満を感じずに使いたいなら、Gターボがお勧めである。

テリオスユーザーに朗報! タフトの悪路走破性はかなりガチ

また190mmの最低地上高に加えて、27度のアプローチアングルと58度のデパーチャーアングル、さらにはタイヤが空転した際にブレーキ制御でグリップ状態を維持するグリップサポート制御まで装備するタフトは、悪路走破性も期待出来る。林道や雪道を走る機会が多いユーザーは要注目だろう。

またかつてダイハツの軽には、テリオスキッドという優れた悪路走破性を備えたモデルがあったが、今もその後継モデルを待っているユーザーは、特に降雪地域に多い。そんなユーザーの期待にも応えてくれるはずだ。

売れるのも納得! 先進安全装備&価格面でハスラーを圧倒

直接的なライバルとなるハスラーだが、価格面ではほぼ互角。ここまで来ると決め手は趣味の問題か?

バリューフォーマネーの点でもタフトはかなり魅力的だ。

特にGターボは、前述のスカイフィールトップに加えて、軽自動車にはまだ設定が少ない電動パーキングブレーキや、全車速追従機能付きACC、LKC(レーンキープコントロール)、コーナーセンサー(フロント2個、リア2個)、バックカメラなどが標準で備わり、17種類の予防安全機能「スマアシ」ももちろん全て装備する。さらにはオートブレーキホールド機能やグリップサポート制御まで。

これでハスラーのトップグレードであるHYBRID Xターボ(2WD)より6600円安い160万6000円(2WD、消費税込み)というのは、かなり攻めた価格設定と言って良いだろう。

アイデア満載の一風変わったスタイルに、充実した安全装備や運転支援システムを盛り込んだタフトは、楽しいカーライフを想像させてくれる、幅広い世代に受け入れられそうな軽SUVだ。

発売から1カ月で月販目標4000台の4.5倍となる約1万8000台もの受注があったというのも頷ける内容なのだ。

【筆者:竹花 寿実】

ダイハツ タフト 660 Gターボ / ダイハツ タフト 660 G 主要スペック比較表
車種名 タフト タフト
グレード名 660 Gターボ CVT 660 G CVT
価格(消費税込み) 161万円 149万円
全長×全幅×全高 3395mm×1475mm×1630mm 3395mm×1475mm×1630mm
ホイールベース 2460mm 2460mm
駆動方式 FF FF
車両重量 840kg 830kg
乗車定員 4名 4名
エンジン種類 直列 3気筒 DOHC 直列 3気筒 DOHC
総排気量 658cc 658cc
エンジン最高出力 47kW(64PS)/6400rpm 38kW(52PS)/6900rpm
エンジン最大トルク 100Nm(10.2kg・m)/3600rpm 60Nm(6.1kg・m)/3600rpm
トランスミッション インパネ CVT インパネ CVT
燃料消費率(WLTCモード燃費) --km/L --km/L
燃料消費率(WLTC:市街地/郊外/高速道路モード) --km/L --km/L
タイヤサイズ 165/65R15 165/65R15

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