街乗りやセカンドカーに最適! コンパクトで小回りが利いて運転しやすい電気自動車「Honda e」
MōTA / 2020年8月19日 15時27分
いよいよEVが僕らの身近にやってくる! そう思わせる魅力的なEV(電気自動車)が登場します。ホンダの新しい都市型コミューター「Honda e(ホンダ・イー)」をカーライフ・ジャーナリストの渡辺 陽一郎氏が徹底解説します!
リーフ1強のEV情勢に変化が起こる
2019年度(2019年4月から2020年3月)に日本国内で登録された小型/普通乗用車の内、約40%にモーターを使う駆動システムが搭載されていた。メーカーによってはモーターの搭載比率が50%に達するが、大半はエンジン駆動を併用するハイブリッドだ。
エンジンを搭載しない純粋な電気自動車は少数に限られ、大多数が日産 リーフになる。リーフは2020年に入って、コロナ禍の影響を受けながらも1ヶ月平均で約1000台を登録した。三菱 iミーブは10台以下だから、リーフが圧倒的に多い。
この状況が今後は変わりそうだ。純粋な電気自動車のHonda e(ホンダ・イー)が発売されることになった。エンジンは搭載せず、充電された電気を使ってモーターのみで走る。
デコボコを抑えて滑らかに仕上げられたコンパクトボディ
全長はホンダ フィットに比べて約100mm短いが、全幅は1700mmを超えて3ナンバー車になる。それでもドアミラーまで含めた車幅は抑えた。ドアミラーの部分にカメラを装着して、後方の様子をインパネ両端の6インチモニターに映すサイドカメラ・ミラーシステムを全車に標準装着するからだ。カメラのサイズは、鏡を使う通常のミラーに比べて小さいから、実質的な車幅も抑えられる。
電気自動車だから、開口部の大きなラジエターグリルは備わらず、ボディのデコボコを抑えて滑らかに仕上げた。ヘッドランプとリヤコンビネーションランプは丸型で、ボディ前後の表情が似ている。
外側のドアノブも、デコボコを抑えるために通常は格納され、キーを持って近付くと自動的にポップアップする。触れるとロックを解除できる仕組みだ。
ボンネットやサイドウインドウの下端は低めで、前方と側方の視界も良い。斜め後方はボディ後端のピラー(柱)が少し遮るが、サイズがコンパクトで水平基調のデザインだから、ボディの四隅は分かりやすい。
ノーマルモードとスポーツモード2種類の走行モード
ノーマルモードとスポーツモードの設定にも注目したい。ステアリングホイールに減速セレクターが装着され、ノーマルモードは4段階、スポーツモードは3段階に切り替えられる。アクセルペダルを戻すと、減速エネルギーを利用して駆動用モーターが発電を行い、駆動用電池に充電する仕組みだ。
この時にはブレーキペダルを踏まなくても減速が行われ、最大減速の度合いはノーマルモードが0.1G、スポーツモードは0.18Gだ。信号の手前で行う緩やかな減速が0.1G前後だから、0.18Gはアクセルペダルを戻しただけで速度を積極的に下げる。ブレーキペダルをあまり踏まず、アクセルペダルで速度調節が可能だ。
駆動用リチウムイオン電池の容量は35.5kWhで、1回の充電で走行可能な距離は、WLTCモード走行で283km、JC08モードでは308kmになる。
ちなみにリーフの場合、駆動用電池の容量が40kWhと、62kWhのグレードがある。価格の求めやすい40kWhでは、最高出力が110kW(150馬力)、最大トルクは320Nm(32.6kg-m)とされる。1回の充電で走行可能な距離は、WLTCモードで322km、JC08モードは400kmだ。
リーフの車両重量は40kWhのXが1510kgだから、Honda eと同等だ。動力性能の数値もほぼ等しく、加速力などは互角と思われる。差が生じるのは、1回の充電で走行可能な距離だ。リーフは駆動用電池の容量も大きく、WLTCモードでは、ホンダeに比べて約14%長く走れる。
優れた小回り性能に、高い走行安定性
この方式によって前輪の最大切れ角が大きくなり、最小回転半径は4.3mに収まる。軽自動車の平均が4.4~4.5mだから、Honda eの小回り性能はかなり優れている。
またホイールベースの割に全長は短く、前後のオーバーハング(ボディがホイールから前後に張り出した部分)も切り詰めた。そのために外観に塊感が伴い、カーブを曲がる時などは慣性の影響を受けにくい。
後輪駆動の採用で前後輪の重量配分は50:50とバランスが良く、駆動用電池を前後輪の中央、しかも床下の低い位置に搭載したから、走行安定性でも有利になった。重心が下がると、車線変更などの姿勢変化も穏やかになり、乗り心地にも良い効果をもたらす。
リラックス空間の中に5枚並んだ液晶パネル
インパネには木目調パネルが使われ、光沢を抑えてリアリティを追求した。手触りも良くリラックスできる雰囲気がある。
前席も同様で、シート生地には適度な伸縮性が伴い、乗員の体を柔軟に受け止める。フロントピラーの角度を立てたので、前席は乗降性が良い。
後部にモーターを搭載したから荷室の床も少し高く、路面からリヤゲート開口下端部までの寸法は730mmになる。一般的なハッチバックを100mmほど上まわるが、スズキ ハスラーやダイハツ タフトと同等だから、極端な高さではない。
先進的な通信機能
通信機能は先進的だ。インターネットに常時接続できて、車内Wi-Fiも使える。ホンダパーソナルアシスタントも採用され「OKホンダ」と呼びかけると起動する。カーナビの検索などを頼むと、モニター画面でキャラクターのイラストが動き、クルマと話をしている感覚になる。
スマートフォンを使って、発進前に充電状態でエアコンなどを作動させることも可能だ。予め冷暖房を利かせておけば、発進後の電力消費量を抑えられる。スマートフォンをキーとして使い、走行することも可能になった。このほか大型ガラスルーフのスカイルーフも標準装着される。装備の充実度は高い。
Honda eはセカンドカーや街乗り目的に最適のキャラクター
ファーストカーがあるなら、電気自動車が1回の充電で長距離を移動できる必要はないだろう。駆動用電池の劣化で走れる距離が著しく短くなるのは困るが、そこを防げれば、電気自動車は小さくて小回りが利き、運転しやすい方が実際の用途に適する。走行距離を伸ばす代わりに、車両重量が増したり、ボディが大きくなったり、価格が高まるとむしろ使いにくい。Honda eはこの点に重点を置いて開発された。
[筆者:渡辺 陽一郎]
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