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大和・小仏・宝塚トンネル…高速の渋滞はなぜトンネル前で起こるのか

MōTA / 2020年9月19日 6時50分

上信越道上り線の渋滞(イメージ)

休日になると、ラジオから流れる交通情報で「東名道は大和トンネル付近を先頭に渋滞がXXキロ」などとお決まりのフレーズが聞こえてくる。それにしても、渋滞ポイントは昔からだいたいいつも同じ。しかもなぜトンネル付近が多いのだろう。

上信越道上り線の渋滞(イメージ)

大型連休に限らず、毎週末発生している渋滞の定番スポット

秋の大型連休が始まった。2020年は9月19日(土)から9月22日までの4連休だ。

今年は過去にないコロナ禍の影響もありそうだが、それでも各地の高速道路などでは交通集中による渋滞発生が見込まれる。普段はあまり交通情報など紹介しないテレビの情報番組でも『大和トンネルを先頭に渋滞xxキロ』などと、さも特別なことのように大げさにアナウンスするシーンも見られる。

しかし実際にクルマを良く利用する立場からすれば定番の渋滞ポイントばかりで、「そこ、いつも毎週末渋滞してますよ」と言いたくもなる。

トンネル付近の渋滞ポイントは各地に点在

画像はイメージです

クルマでラジオを聴く習慣のある人なら、定番の渋滞ポイントは耳馴染みがあるだろう。例えば関東なら東名道の大和トンネルや、中央道の小仏トンネル。関西なら中国道の宝塚トンネルなど、なぜかトンネル付近の渋滞は多い。

国土交通省と各高速道路会社は、毎年渋滞ランキングを発表している。

2020年6月に発表された『平成31年・令和元年 年間の渋滞ランキング(令和2年6月8日)』によると、1位は東名道の上り海老名JCT(ジャンクション)~横浜町田IC(インターチェンジ)間の13.8km。やはり定番渋滞スポット“大和トンネル”が含まれる区間だ。

渋滞が発生するメカニズムはトンネル付近に要因が隠されていた

交通集中による40km/h以下となる渋滞損失時間要因別内訳(国土交通省資料より)

前出の渋滞ランキングでは、『交通集中による40km/h以下となる渋滞損失時間要因別内訳(年間合計)』も発表されている。

内訳の区分は「接続道路からの渋滞など」「インターチェンジ等の合流」「サグ部及び上り坂など」の3つだ。

大和トンネルを含む東名上り海老名JCT~横浜町田IC間の場合「サグ部及び上り坂など」が突出して多く、44.7%を占めている。

ところでサグ部って、何!?

上り坂で無意識に速度低下することで渋滞が発生してしまうメカニズム

サグ部の渋滞発生メカニズム(国土交通省資料より)

サグ(sag)とは英語で「たるみ」「たわみ」。国土交通省の資料では「サグ部とは、高速道路の勾配が下りから上り方向へと次第に変化する区間。」と定義している。

高速道路は、地形の変化や橋脚部などの影響で常に勾配の起伏がある。しかしカーブもゆるやかで道も広い高速道路は、一般道に比べ淡々と安全に走ることが出来るので、これに気付きにくく、上り坂で無意識に速度低下してしまう場合も。東名道の場合、その坂のピークが大和トンネル付近にあって、事態をさらにややこしくしているのだ。

トンネルの暗転が渋滞をさらに拡大させる

トンネルは視界が一瞬で暗くなる。そのことから、運転に不慣れなドライバーは思わずアクセルを緩めてしまいがちだ。交通量が多く車間距離も短くなりがちな週末の場合、サグ部やトンネルでのこうした無意識の速度低下がきっかけで後続車がブレーキを踏むことになり、後方へも連鎖。結果として自然渋滞が発生するのだ。

中央道の渋滞ポイント「小仏トンネル」も、東京都と神奈川県の境にある分水嶺を通る。小仏峠付近の山間部のピークだから、トンネル内には勾配の頂点を通過する箇所がある。小仏トンネルを走っていて、あるところから境に渋滞がフッと消えたりするのは、そこから下り坂に転じた証しなのだ。

各高速道路会社も対策中! 過去には渋滞が解消した例も

かつて有名渋滞スポットだった「天王山トンネル」は車線拡幅で渋滞を克服

新名神高速道路(高槻JCT・IC~神戸JCT間)開通後1年間の状況(NEXCO西日本 プレスリリースより)

当然ながら、各高速道路会社も抜本的な渋滞対策に乗り出している。

かつて関西の有名渋滞スポットだった名神道・天王山トンネル(京都府・大阪府)は、1998年までに片側2車線を3車線に拡幅することで、恒常化していた渋滞がほぼ解消している。

宝塚トンネルについても、2018年3月に迂回出来る別ルートの新名神高速道路(高槻JCT~神戸JCT間)が開通。NEXCO西日本によると、中国道の交通量は20%減り、渋滞回数も約7割減少したと翌年の2019年に発表している。

大和トンネル付近は間もなく片側4車線化が実現予定

画像はイメージです

大和トンネルでは、現在片側3車線の同区間に付加車線を加え4車線とする工事を実施中。NEXCO中日本によると、当初は東京2020オリンピック・パラリンピックの期間に間に合わせると発表していたが、2020年9月現在まだ運用されていない。また渋滞区間の横浜町田ICから厚木IC間(15.3km)には、今までなかったインターチェンジ(綾瀬スマートIC)を建設中で、2020年度中の完成予定。こちらも前後のICの交通負荷を軽減させる効果が期待される。

なお中央道小仏トンネルも同様に、上り線約5キロの区間で付加車線を加える工事が開始されたが、トンネルの新規掘削などを伴う大規模な工事のため、こちらの完成予定時期は未定だ。

[筆者:トクダ トオル(MOTA編集部)]

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