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人気のフィットにSUVテイストを盛り込んだ「ホンダ フィットクロスター」【I Love コンパクトカー】

MōTA / 2020年9月24日 11時30分

ホンダ 新型フィット(4代目) FIT e:HEV CROSSTAR(クロスター)[HYBRID]

結婚して子供も生まれたけど、ミニバンには乗りたくない! SUVはカッコいいけどサイズが大きいし、価格も高い…。そんな悩みを抱く方にお勧めしたいのが、見た目よし! 走りよし! 実用性よし! と、三拍子そろったコンパクトスポーツモデル! 存在は知っていたけど、普通のモデルとどこが違うの? イメージが薄ぼんやりしてて、奥さんを説得しにくい。ここではそんな不安を解消すべく、おすすめのモデルを紹介していきます! 全4回のうち最終回となる今回は、スポーツモデルから一転、コンパクトクロスオーバーモデルのホンダ フィットクロスターを紹介します。

ホンダ 新型フィット クロスター プロトタイプ試乗

人気のコンパクトカー「フィット」にSUVテイストが盛り込まれたモデル

スポーティなコンパクトカーには、スズキ スイフトスポーツや日産ノートNISMOなどが用意されるが、最近はクルマ好きがSUVを選ぶことも多い。ホンダ ヴェゼルやトヨタ ライズは、ボディがコンパクトでも、大径タイヤの装着などによって外観に存在感が伴う。ボディスタイルはワゴン風だから、車内の広さにも余裕がある。

そして商品開発の面から見ると、SUVには柔軟性があり、ほかのカテゴリーの車種をSUVにアレンジすることも可能だ。例えばスバル インプレッサスポーツをベースに開発されたSUVのXVは、以前から高い人気を得ている。

そこで注目される車種がホンダ フィットクロスターだ。実用性の優れたコンパクトカーのフィットをベースに、外観をSUV風に変更した。フィットの人気グレードは、中級のホームと低価格のベーシックだが、クロスターの販売比率もフィット全体の15%前後を占める。

SUVの本質「カッコよさと実用性の両立」も抜かりなし!

ボディの基本デザインはほかのフィットと同じだが、各部の形状は異なる。クロスターのフロントマスクは、ラジエターグリルを拡大して、バンパーも力強いデザインだ。フェンダーのホイールアーチやボディ側面の低い部分には、SUVの定番とされるブラックの樹脂パーツも装着する。外観の存在感を強めた。

外装パーツの装着で、ボディサイズは少し拡大され、全長は4090mm、全幅は1725mmだ。ほかのグレードに比べると、95mm長く30mm幅広い。全幅は1700mmを若干超えて3ナンバー車になった。

全幅がワイド化されると小回り性能の悪化を心配するが、前輪の最大切れ角を大きくできるメリットも生じる。そのためにクロスターの最小回転半径は、大径の16インチタイヤを装着しながら5mに収まる。5.2mのネスやリュクスに比べて小回りが利く。

最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)は、前輪駆動の2WDが160mm、4WDは155mmだ。4WDの最低地上高は、ほかのグレードと大差ないが、2WDは25mm増えて悪路のデコボコも乗り越えやすい。サスペンションの設定とタイヤサイズの違いで、最低地上高を拡大した。

それでも全高は1545mmだから、1550mm以下に収まり、立体駐車場の利用性を悪化させない。ただしルーフレールを装着すると、1570mmに高まるので注意したい。

以上のようにクロスターの外観は、SUVパーツの装着でほかのグレードよりも個性が強い。その割に小回り性能を損なわず、前後左右の視界も優れている。カッコよさと実用性の両立は、SUVというカテゴリーの本質も突いている。

余裕のある快適な室内空間

そして機能で最も魅力的なのは、ほかのフィットと同じく車内が広いことだ。燃料タンクは従来型と同じく前席の下に搭載され、全高が立体駐車場を使える高さのコンパクトカーでは、室内が一番広い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ半だ。この余裕はミドルサイズセダンに匹敵する。

荷室は底が深く、後席を床へ落とし込むように格納すると、ボックス状の広い空間に変更できる。後席の座面だけを持ち上げて、車内の中央に背の高い荷物を積むことも可能だ。フィットの多彩なシートアレンジは、特にSUVのクロスターとは親和性が高い。

ホンダ 新型フィット(4代目) FIT e:HEV CROSSTAR(クロスター)[HYBRID]

ノーマルタイプ、ハイブリッド共に優れた燃費性能を誇る

エンジンは直列4気筒1.3リッターのノーマルタイプと、1.5リッターをベースにしたe:HEV(ハイブリッド)がある。車両重量はノーマルエンジンでも2WDが1100kg、4WDは1180kgだから、登坂路ではパワー不足を感じやすい。街中なら不満はない。

e:HEVでは、通常はエンジンが発電機を作動させ、駆動はモーターが受け持つ。そのために加速は滑らかで静かだ。モーターは瞬時に高い出力を発揮できるので、追い越しなどでアクセルペダルを踏み増した時は、さらに力強く感じる。動力性能を一般的なエンジンに当てはめると、2リッタークラスに相当する。

そしてe:HEVでは、駆動をモーターに任せるので、エンジンは効率を追求できる。e:HEVを搭載するクロスターのWLTCモード燃費は27.2km/L(2WD)だ。ノーマルエンジンも19.4km/Lだから、優れた部類に入る。

SUVらしく快適な乗り心地

走行安定性は良好だ。ほかのグレードに比べると、ボディの傾き方が少し大きい印象を受けるが、不安を感じることはない。持ち味の範囲に収まる。

そして乗り心地はフィットの中で最良だ。ホイールサイズはネスやリュクスと同じ16インチだが、タイヤサイズが異なる。クロスターは185/60R15、ネスやリュクスは185/55R16だ。扁平率が60%のクロスターは空気の充填量も多く、乗り心地が快適になった。55%のネスやリュクスは、乗り心地が硬めな代わりに、操舵感が少し機敏になる。カーブを曲がる時のタイヤのヨジレも小さい。

指定空気圧も違う。クロスターは前輪が220kPa、後輪は210kPaだから適正だ。ほかのグレードには240kPa・230kPaもあり、路面の細かなデコボコを伝えやすい。クロスターは、サスペンションの設定、タイヤサイズ、指定空気圧の相乗効果で、乗り心地をSUVらしく快適に仕上げた。

ノーマルでもハイブリッドでも、どちらも買い得!

クロスターは価格も割安だ。ノーマルエンジンを搭載する2WDのクロスター(193万8200円)は、売れ筋のホーム(171万8200円)に比べて22万円高いが、16インチアルミホイール(ホームのオプション価格は6万6000円)、ホンダコネクト+ナビ装着用パッケージ+セキュリティアラーム(同4万9500円)がプラスされる。

この合計金額を22万円の価格差から差し引くと10万4500円だ。つまりホームに約10万円を加えると、外観がSUV風に変更されて最低地上高も高まる。クロスターの外観と機能に魅力を感じるユーザーにとっては買い得だろう。

e:HEVの価格はノーマルエンジンに比べて34万9800円高い。ノーマルエンジンも燃費が良いので、価格差を燃料代の差額で取り戻すには14~15万kmの走行を要するが、e:HEVは前述の通り動力性能も優れている。加速は滑らかでノイズは小さい。エンジンの選択は、両方を試乗して、走行性能や乗り心地の違いも確かめてから判断するのが良い。

さまざまな用途に対応し、安全装備・運転支援機能も充実

フィットクロスターは、実用的で割安なフィットをベースに開発したことで、買い得なSUVに仕上がった。立体駐車場を使えて車内は広いので、毎日の買い物から週末のファミリードライブまで、さまざまな用途に対応できる。また、設計が新しいため、衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備も相応に充実しており、運転支援機能も備えられている。

[筆者:渡辺 陽一郎/撮影:茂呂 幸正]

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