日産 アリアの強力ライバル出現! フォルクスワーゲン 新型ID.4の登場で世界のEV事情はどうなる?
MōTA / 2020年9月28日 7時50分
フォルクスワーゲンは9月24日、新世代EVサブブランドであるID.ファミリーの第2弾となる新型ID.4を発表した。日本では日産アリアの発表やアウディ e-tron Sportback日本販売開始が記憶に新しいが、今各国自動車メーカーからSUVの新型EV(電気自動車)リリースが止まらない。フォルクスワーゲン 新型ID.4を紹介しつつ、ライバルとなる日産 アリアや各メーカーがリリースを予定しているSUV EVの動向について見てみよう。
最大航続距離520kmで実用性も重視した電動SUV
今回オンラインで世界初公開されたフォルクスワーゲン 新型ID.4は、既に欧州で販売されているコンパクトEV「ID.3」と同く、フォルクスワーゲングループの電動車向けプラットフォームであるMEBアーキテクチャーを採用したコンパクトSUV。搭載されるバッテリー容量は最大77kWh(正味電力)で、航続距離は最大520km(WLTP)となる。リヤアクスル上に搭載された電気モーターは 150kW(204PS)の出力を発生し、0~100km/h加速は 8.5 秒、最高速度は160km/h。また、21cm確保された最低地上高や、後席を倒すことで最大1575リットルの容量を確保するラゲッジスペースなど、SUVとしての実用性を重視した。
EVらしい外装と先進運転支援システムである「IQ.Drive」を採用
フォルスクスワーゲン ID.4の外観は滑らかなラインで描かれ、燃費に大きく関係するCd 値(空気抵抗係数)は0.28。EVらしさを感じさせるクリーンなデザインだ。「IQ.Light」と呼ばれる最新のLEDヘッドライトは、ドライバーが駐車中の車に近づくとイルミネーションで出迎えるような演出がされるなど、いかにも最新EVらしいギミックも盛り込まれる。 最大12インチの大型モニターが備え付けられた内装は、従来のスイッチやボタンを極力排除。タッチ操作に加え、“Hello ID.”と呼ばれる音声操作にも対応する。もちろん、部分自動運転が可能な先進運転支援システムである「IQ.Drive」を採用し、ユーザーは購入後にアップデートをダウンロードすることも可能。なお、日本への導入時期については明らかになっておらず、まずは欧州や北米での展開が優先されるようだ。サイズ・価格・航続距離のすべてが日産 アリアとまる被り!
フォルクスワーゲン 新型ID.4のサイズは全長4584mm×全幅1852mm×1612mm(欧州仕様)で、これは、先日発表された日産 アリアの全長4595mm×全幅1850mm×1655mmとほぼ同じサイズだ。さらに、65kWhと90kWhという2種類のバッテリーを用意する日産 アリアの最大航続距離が430km~610kmであるのに対し、新型ID.4のバッテリーは最大容量77kWh、最大航続距離520km。もっと言えば、新型ID.4の価格は日本円で約532万円から、日産 アリアは500万円からと言われているため、ほぼこのまま市販されれば“がっぷり四つ”のライバル関係になる。500km、500万円が一つの基準になる
一方、EVの分野で先行するテスラにも、既に日本でも見ることができるモデルXと、2020年3月から北米を皮切りに納車が開始されたモデルYという2種類のSUVが存在する。モデルXで航続距離を重視したロングレンジの航続距離は507kmで、価格は1059万9000円と新型ID.4や日産 アリアの約2倍。しかし、日本にはまだ導入されていないモデルYのロングレンジは、航続距離505kmで価格は577万円で、新型ID.4や日産 アリアと同等といえる。なおモデルYは3列シート7人乗りがオプションで選べる点が同クラスのライバルにない特徴だが、その分全長は4751mmと、ID.4などよりも長くなる。このことからも、航続距離500km程度で価格500万円前後というのが、今後しばらく我々一般庶民に近い電動SUVの基準になるのかもしれない。
各国の主要メーカーから電動SUVが続々リリース
ここまでご紹介した電動SUV以外に、メルセデス・ベンツ EQCやアウディ e-tron Sportback、さらに2020年7月から予約受注が開始されたBMW iX3(日本導入時期未定)といった、欧州プレミアムブランド御三家も、EVのSUVモデルを揃えた。また、2021年中にも国内導入が予定されているボルボ XC40 Recharge Pure Electricや、レクサスブランド初のEVとなるUX300eも日本での販売を予定し、ホンダは北京モーターショー2020において、「ホンダSUV e:コンセプト」を世界初公開した。
2021年以降各メーカーのEVから目が離せない!
このように、2021年以降、世界中の多くのメーカーから続々とEVの新型SUVが発売される。その背景には、走行1kmあたりの二酸化炭素(CO2)排出量を95g/km以下に抑えるという欧州のCAFE規制(Corporate Average Fuel Efficiency:企業別平均燃費基準)が大きく関係していることは間違いない。
特にSUVばかりが登場しているのも理由がある。床下に大型のバッテリーを搭載しやすいボディ形状であることに加え、重心が高く走行安定性で不利なSUVのネガを払拭できるからだ。「EVを作るならSUVから」というのが一種の潮流になりつつあるいま、ますます各社のEV戦略から目が離せない。
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