【写真で解説】新型ヤリスと日産 ノートe-POWERを比較してみた
MōTA / 2020年10月6日 18時58分
2020年2月に、ヴィッツの後継モデルとして登場したトヨタ 新型ヤリス。コンパクトカーならではの軽快なハンドリングという強みを活かしつつ、上質な乗り心地と最新の安全・安心技術を兼ね備え、瞬く間に人気車種となった新型ヤリスを、電動パワートレイン“e-POWER”搭載でこれまた人気のライバル車種、日産 ノートと比較していく。
トヨタの本気が凝縮されたグローバルコンパクトカー
新型ヤリスはコンパクトカー向けのTNGA(Toyota New Global Architecture)プラットフォーム GA-Bを初採用し、軽量かつ高剛性、低重心なボディを実現。ボディサイズは、全長が3940mm、全幅は1695mm、全高は1500mmに収まる。全長は4m以下で最小回転半径も4.8~5.1mなので小回り性能も良好だ。全高は1550mm以下だから、立体駐車場を利用しやすい。
外観はサイドウインドウの下端を後ろに向けて大きく持ち上げており、斜め後方の視界はあまり良くない。購入時には縦列駐車や車庫入れを試したいが、視界に不満がなければ、ボディが小さくて小回りも利くから狭い裏道や駐車場でも運転しやすい。
対するノートe-POWERのボディサイズは、全長4100mm×全幅1695mm×全高1520mm。最小回転半径はノートe-POWER・Xで4.9m(14インチタイヤ装着車)、同メダリストでは5.2m(15インチ)になる。こちらも小回り性能に不満はない。
2016年11月に実施されたマイナーチェンジにより、e-POWERを含むノートのフロントグリルへ新たにVモーショングリルが追加されている。さらにe-POWERは、そのVモーショングリルがブルーラインとなっているのが特徴。
そのほか、e-POWERにおける外装の特徴としてはフロントドアの左右とバックドアの3ヶ所にe-POWER専用エンブレムが装着されている。
新型ヤリスでは、後席は大人の場合居住性を要確認
新型ヤリスのインテリアでは、インパネの周辺に囲まれ感があり、ドライバーが車両との一体感を得やすい。前席はサイズに余裕を持たせ、腰の近辺をしっかりと支える。コンパクトカーのシートとしては上質だ。いっぽう、後席には注意したい。ヤリスのプラットフォームは前席優先に開発され、ペダル配置などを最適化したが、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)の割に後席の足元空間は狭い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ1つ少々だ。大人4名の乗車は可能だが、後席の使用頻度が高いユーザーは居住性を確認したい。
対するノートe-POWERのインテリアは、インパネの質感は、エアコンがマニュアルとオートではかなり異なる。オートならインパネの中央に光沢のあるブラックのパネルが装着されるが、マニュアルにはこれが備わらず味気ない仕上がり。e-POWER Xとメダリストであれば、オートエアコンが装着されるので不満はないだろう。エアコンスイッチなどの操作性は悪くないが、ATレバーは丸型で、パーキングはスイッチの頂点に装着されたプッシュボタンで操作する。R(リバース/後退)は右上に動かして、e-POWERのドライブモードスイッチは、丸型ATレバーの右下に装着した。操作に慣れを要する面がある。
後席は足元空間が広い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る同乗者の膝先空間は握りコブシ2つ半に達する。新型ヤリスに比べるとゆとりある空間だ。
新型ヤリス1番の特徴は上質になった運転感覚
新型ヤリスの一番のセールスポイントは、プラットフォームの刷新に基づく優れた操舵感と走行安定性だ。コンパクトカーとしては、操舵に対する反応を正確に仕上げた。ステアリングシステムの支持剛性が高く、小さな操舵角から、車両が正確に向きを変える。従来型のヴィッツを含めて、コンパクトカーはコストを重視して開発されるから操舵感が曖昧になりやすいが、ヤリスはそこを改めた。新型ヤリスでは運転感覚が上質になり、高速域における進路の微調節もしやすいので、運転の楽しさと安全性をバランス良く向上させている。峠道を走る時の安心感が高い。カーブに進入した時に旋回軌跡を拡大させにくく、適度にスポーティな走りを味わえる。下り坂のカーブでは、後輪がしっかりと接地しているから不安定な挙動に陥りにくい。
ノートe-POWERでは1.2リッターエンジンが発電機を作動させ、駆動はリーフと同じモーターが行う。そのために動力性能には余裕があり、特に巡航中にアクセルペダルを踏み増した時の瞬発力が高い。ノイズは小さく、速度を直線的に上昇させていく。この運転感覚は上質で、ノートe-POWERが備える低燃費とは別のメリットだ。
乗り心地はおおむね良好だ。硬めではあるが粗さはなく、車両重量の増加や駆動用電池の搭載に伴う低重心化もあって、ノーマルエンジン車よりも少し上質に感じる。
コンパクトカーではノーマルエンジン車の燃費性能も優れているので、ハイブリッドの価格上昇分を燃料代の差額で取り戻すのが難しい。そうなると走りの滑らかさや静かさなど、損得勘定を超えた付加価値が重要になる。ノートe-POWERはそこを押さえている。
[筆者:MOTA編集部]
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