ようやく正式発売! スバル、新型レヴォーグを発表|巨大ボーイング機と共にお披露目された理由とは
MōTA / 2020年10月16日 18時20分
スバルは2020年10月15日、ワゴンモデルの新型「レヴォーグ」を発表した。フルモデルチェンジで2代目となった新型レヴォーグの発表会場となったのは、成田空港の日本航空(JAL)整備場! 航空機製造からスタートしたスバルのDNAや新型に込めた想い、そしてレヴォーグ開発者とJAL整備部門TOPの対談の模様などをご紹介する。
発表会は公式YouTubeチャンネルでライブ配信
あれれ、まだ発売してなかったの!?
2019年秋の東京モーターショー会場でプロトタイプを発表してからおよそ1年。2020年10月15日、スバルの新型レヴォーグがようやく正式に発表された。MOTAでもこれまで新型レヴォーグの解説や試乗レポートなど数々の記事でご紹介してきたから「あれれ、まだ発売していなかったの!?」という方も多いかもしれない。実際、新型レヴォーグは8月20日に全国のスバル店で先行予約を開始。正式発表の前日10月14日までに8290台の予約を集めるなど、既に多くのスバリストたちから注目を集めている。
発表会場は成田空港のJALハンガー! 何故!?
10月15日の正式発表に合わせ、スバルでは「NEWレヴォーグ発表会~すべての移動を感動に変えるクルマ~」と題した発表会を開催。昨今のコロナ禍の影響を鑑みて、YouTubeライブ配信によるオンライン発表会である。会場は、千葉県の成田空港 整備地区にある「日本航空(JAL) Aハンガー」。広大な航空機の整備場という珍しい会場でのお披露目となった。
スバルと言えば、日本の航空機開発の草分けである中島飛行機が第二次世界大戦後に分社化されて誕生したルーツを持つ。
現在でも自動車部門以外に航空宇宙カンパニーが存在し、小型機やヘリコプターの生産のほか、ボーイング社の大型旅客機の分担生産にも携わる。会場に置かれた最新鋭のボーイング787型機も、スバルは左右の主翼と胴体をつなぐ中央翼について、全数の製造を担当している。そもそもJAL、スバル共に「安全」「移動の自由、喜び」を標榜する企業だ。海外参戦のための競技車両輸送を依頼したり、過去にもイベントを共同開催している経緯など様々な縁もあって、今回の運びとなった。
新型レヴォーグは次世代スバルを担うトップバッター
冒頭のあいさつで、株式会社SUBARUの中村 和美 代表取締役社長 兼 CEOは、「スバルが持ちうる技術の全てを結集したクルマ」と新型レヴォーグを紹介。スバルにとってのマザーマーケットである日本市場を引き続き重視し「最新の技術は日本のレヴォーグから投入する」「次世代スバルを担うトップバッター」と宣言した。
続いて新型レヴォーグの開発責任者、商品開発本部 プロジェクトゼネラルマネージャーの五島 賢氏が登壇。「“継承”と“超・革新” SUBARUの未来が、ここから始まる。」をキーワードに、航空機メーカーのDNA、人を中心としたクルマづくり、安心と愉しさといったスバルの伝統の継承と、そのための技術革新が息づいていることをアピールした。なお五島氏の祖父は中島飛行機に、そして父親は富士重工にそれぞれ勤務し、五島 賢氏と合わせ3世代に渡るスバル関係者。五島氏はこれをスバルのロゴである六連星のブルーと重ね、“蒼きDNA”と表現していた。
人の移動を支えるJALとスバルが共に目指すこととは
スバル関係者以外では世界初の新型レヴォーグ公道試乗を実施
車両の説明に続き、日本航空株式会社 取締役常務執行役員 整備本部長にして、株式会社JALエンジニアリング 代表取締役社長の北田 裕一氏が、“蒼きDNA”のスバル 新型レヴォーグ開発責任者、五島 賢氏と共にトークセッションを行った。
JALの北田氏は、事前に新型レヴォーグを試乗済み。実は新型レヴォーグの公道での試乗体験は、スバルの開発関係者以外で初めてのことだそう。東京・羽田から県境の神奈川・川崎までの数キロ区間だったが、新型レヴォーグのアイサイトXを体感し「本当に楽しく感動的な試乗」「時間が許せば1日中乗っていたかった」と、かなり好印象だった様子。スバルの五島氏も「我々エンジニアも、新型レヴォーグの真価は公道でこそ発揮されると考えていたので、お褒めの声は自信につながる」と頬を緩めた。
新型レヴォーグで注目の新機能は、との問いに北田氏は「やはりアイサイトXだと思う」と明言。スムーズで自然な加速、減速、そして快適なレーンキーピングの様子に「守られている」という感覚を得たという。「運転者や同乗者が運転中に安心を得られる、素晴らしい機能」だと北田氏は絶賛した。
航空機をイメージした新型レヴォーグのデジタルコックピット
新型レヴォーグのアイサイトX装着車には、11.6インチの縦型大画面センターインフォメーションディスプレイや、12.6インチの大型フル液晶メーターを国内向けスバル車としては初めて装備する。スバルでは10月15日の発表に合わせ、この名称を「デジタルコックピット」とすることが明らかにされた。五島氏は「まさに航空機の、モニターがフラットに並ぶコックピットをイメージした」と話す。これに対し北田氏も「本当に狙い通りで(航空機のように)必要な情報が的確かつコンパクトにまとめられていた」と共感した。
「高度運転支援技術は、クルマがどのような制御を行っているかを、わかりやすくドライバーに伝えなければならない。それはまさにオートパイロットを行う航空機が、操縦者に必要な情報を正確に与えるのと同じだと考え設計した」と五島氏が返すと、北田氏はまさにその通りといった様子で大きくうなずいていたのが印象的だった。
より遠くまで、より速く、より快適に、より安全に
人の移動を支える企業という点でJALもスバルも共通している。しかしこのコロナ禍の中で「移動」はどう変わっているか、そんな司会者の問いに対し、JALの北田氏は「人間の本質的欲求である“誰かに会いたい”“どこかに行きたい”という気持ちは決してなくなることはないと思う。ならば、より安全で安心な移動が出来る手段を提供する責任がある」と発言。感染予防対策の強化など様々な対策をとり、安心・安全な旅を提供したいとした。 これに対し五島氏は「スバルには(1989年の初代レガシィツーリングワゴンの時代から受け継がれた)より遠くまで、より速く、より快適に、より安全にという“グランドツーリング思想”がある。」と説明。「コロナの時代になって、移動は貴重な価値を持つようになった」とし「その貴重な移動を愉しいもの、安全なものに出来るお供がNEWレヴォーグであったら嬉しい」と話す。また、自身のクルマの運転ではまだ行ったことがない九州まで、NEWレヴォーグで行ってみたいとも語ると「クルマもいいですが、九州なら飛行機もぜひご利用して頂きたい(笑)」と北田氏に見事に切り返される場面も…。スバルの“人を中心としたクルマづくり”に感銘
JALの北田氏は、新型レヴォーグの資料に目を通した際、スバルの安全に対する取り組みについて「“これは自動運転ではなくて、運転を支援するシステムなんだ”」という言葉が印象的だったと話す。「技術の中心には必ず人がいて、その人が技術を使うことで、安全を高めていく、快適性を高めていくんだという、人を中心とした考え方に感銘を受けた」と補足する。五島氏も「我々のアイサイトXは自動運転ではなく、(ユーザーを守るための)運転支援システムだという確固たる思想を持って開発している」とし、スバルが主張する“人を中心としたクルマづくり”に対する理解の深さを喜んでいた。
[レポート:トクダ トオル(MOTA編集部)/Photo:SUBARU]
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