エクリプスクロスPHEVは並みのエコカーじゃない! 走りはランエボ超え(?)のモンスターマシンだった
MōTA / 2020年10月17日 19時16分
三菱の電動化戦略がいよいよ本腰に! そう、エクリプスクロスにPHEVモデルが追加となったのだ。アウトランダーPHEVと基本的な中身は同じながら、かなりスポーティに仕上がっているという。その実力を検証すべくサーキットでテストを敢行。ランエボの再来! との呼び声も高いが果たして。 >>
今やRAV4などライバルも多数出現! 三菱はSUVのPHEVではパイオニア的存在
三菱自動車がコンパクトSUVとして人気のエクリプスクロスに、同社が得意とする電動化技術を組み合わせたPHEV車を追加発表した。同社のPHEVは、これまでにミドルクラスSUVのアウトランダーに搭載され世界中に販売されている。その総数は2013年の発売開始以来、世界販売累計で26万台に達しているという。
まさかエクリプスクロスにPHEVが追加されるとは
大きな実績を築いたPHEVシステム。今後の展開を期待する声も多く寄せられていたハズだが、今回エクリプスクロスに搭載され登場したのはちょっとした驚きだった。次にPHEVが搭載されるのは次期アウトランダーに違いないと多くの関係者が考えていたはずだ。
国内ではディーゼル搭載車の需要が高いことからエクリプスクロスの販売面でも大きな期待が寄せられていた。実際ディーゼル搭載車は走りも質感も申し分無い高さで完成させられていた。その裏でPHEV搭載モデルの開発が進められていたというのは全くノーマークだったのだ。
アウトランダーPHEVとは全く別物! デキはまさにスポーツカー
公道を走れないプロトタイプ車両なだけにクローズドコースで試乗会を行うのは通例だが、SUVをサーキットで全開走行をも試させるというのは異例だ。
本当に大丈夫か? と心配したが、試乗会場には三菱自4輪電子制御エキスパートでS-AWC(スーパーオールホイールコントロール)の開発を取り仕切るチーフテクノロジーエンジニア・澤瀬 薫博士も帯同しており、どうやら相当の自信作であると伺える。
エクリプスクロスPHEVはアウトランダーPHEVのパワートレインをほとんどそのまま使っているという。シャシーやサスペンションも流用していてホイールベースやトレッドなどのディメンションも一緒だ。
すでに実績のあるPHEVをサスペンションも含めそのまま使うことで、完成度の高さをも引継ぐことができる。加えてコンパクトなエクリプスクロスの車体を組み合わせたことで、アウトランダーPHEV以上の運動性能が引き出せたという。
見た目だけじゃない! 走りは別次元に
ドライブモードはエコ、ノーマル、スノー、グラベルまでは従来モデルと同じだが、ランサーエボリューションと同様のターマックモードが追加されたのがなんとも挑戦的で目新しい。澤瀬博士はサーキットの限界域ではターマックモードを是非試して欲しいと言う。
思い通りに操れるのがイイ
加えて前後電動モーターの4輪駆動トラクションで胸のすく加速フィールが得られる。そして最初のコーナーに向けてターンインすると、このクルマの素性の良さが直感された。
意のままに操れる秘密をレーサーの目で分析する
その俊敏な動きに間髪入れずに電子制御が介入しヨーレートを押さえ込んで車両姿勢を安定化させる。
専門的に表現するとこんな感じだが、噛み砕いていえば「意のままに操れて高いライントレース性を誇っている」というワケだ。
カーブが気持ちいい! 思わず笑っちゃうほどのデキ
さらにボディ剛性がガッチリ高まっていて、これは接着材や溶接部の増加による接合剛性の高まりによるものと思われるが、ハイスピードでコーナリングを試しても車体は軋まず、電動車としての静寂が維持され続けていた。
こうなると、この限界特性がどこまで高く維持されるのか、試したくなる。近年中々こんな気分にさせてくれるクルマに出会っていなかったので自然と顔がほころんでしまった。
高速Sベンドを理想的な姿勢とラインで通過し特設のパイロンスラローム区間を自由自在なヨーダンピング特性で駆け抜ける。その動き、コントロール性、運動性能の高さはランサーエボリューションXを彷彿とさせるものだ。SUVで、しかも電動のPHEVでここまで仕上げるとは脱帽ものだ。改めて澤瀬博士の手腕に感心させられたのだった。
走りの良さだけじゃない! もしもの時も超頼りになるゾ
最高速度170km/hまで4輪駆動でき、S-AWCが生み出す自由自在な車両コントロール性の高さはスポーツカーそのものだ。これはスノーロードでも試したい。舗装路でスノーやグラベルモードを試すとヨーレートの立ち上がりが穏やかになり、トラクションが強くかかるようになる。車両安定性は確実に増す。
そしてレザーシート仕様には後席にもシートヒーターが装備された。もう言うことなしである。
【筆者:中谷 明彦/撮影:木村 博道】
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