環境変化にいち早く対応! トーヨータイヤの新型スタッドレス「OBSERVE GIZ2(オブザーブ・ギズツー)」雪上試乗
MōTA / 2020年10月22日 15時40分
クルマの冬支度といえば、まずは冬用タイヤの準備だ。トーヨータイヤではスタッドレスタイヤの新製品「OBSERVE GIZ2(オブザーブ・ギズツー)」を2020年8月より発売。雪が溶け濡れた路面からアイス路面に至るまで、変化が激しい日本の雪上環境に合わせ開発されたという。モータージャーナリストの飯田裕子が、雪上のテストコースで試してみた印象をレポートする!
これも地球温暖化の影響!? 積雪地での環境変化に最新スタッドレスタイヤがいち早く対応
するとやはり備えたい冬支度といえば、タイヤ。季節を問わず日々マイカーと過ごしていた方のみならず、しばらくマイカー移動の価値を忘れていた方にとっても、足下の冬支度をする前にトーヨータイヤのスタッドレスタイヤの進化をお伝えしたい。
1日の間に雪が溶け、夜には再び凍結する日が年々増えている
まずはその背景から。2016年~2020年の1月から2月の各年観測データによると、国内の厳冬期、札幌市内で日中の最高気温が0度を上回る日数が増えているという気象庁の報告があったそうだ(トーヨータイヤ調べ)。
これが意味するのは、日中は気温が上がり路面の雪が解けてシャーベット状になり、夕方から朝にかけてまた気温が下がり濡れた路面が凍結しアイス路面になるということ・・・。
一日の路面がこれほどシビアかつ極端に変化する最近の冬期、できることならタイヤ選びもより最新の気候変動を考慮して開発された最新のスタッドレスタイヤに目を向けるほうがやはり“より”いい(優れる)のは間違いない。
6年ぶりにモデルチェンジした新型スタッドレスタイヤ「OBSERVE GIZ2」
今回、トーヨータイヤのテストコースで6年前に登場したOBSERVE GARIT GIZと最新のOBSERVE GIZ2の比較試乗ができたのだけれど、最新モデルで走る前に従来型のOBSERVE GARIT GIZを試してみると「これでも性能に不満も不安もないよね」と同乗する担当編集者と話すこともしばしば。が、そこから乗り換えた新型スタッドレスタイヤ「OBSERVE GIZ2」は当然ながら「“より”いい」と優位性を感じる場面が多かった。
最新の気候変動を考慮して開発された新製品「OBSERVE GIZ2」で進化したポイントは、アイス路面とウエット路面での走行性能。それらの性能向上とともに雪道を含む総合力がアップした点にある。
雪上での素直な応答、そして安定した性能を実感
走行開始直前に降った雪が降り積もる状況下、駐車スペースから走り出してすぐのことだ。雪とタイヤがコミュニケーションをとっているとわかる、やや重たく滑らかな感触が手応えや路面の踏み応えで感じられた。これには同乗者も「これはいいですね」と発したくらいだ。
滑りやすい路面でもハンドルが素直に応答してくれる
実際に走らせて最も良かったのは、ハンドルに対する素直な応答。従来のGIZでも十分な性能を感じられたのに、OBSERVE GIZ2と比べてしまうとハンドルを切ったとき(入力)の応答がわずかに遅い。
そのときのハンドルから伝わるトルクもしっかり手応えとして残るので、ちゃんと力が伝わっているなと感じることができるのが一番の違いではないかと思えた。
試乗車のアウディA4(4WD)とトヨタ カローラスポーツ(FF)で同じように走行し、コーナリングを試してみたところ、特性にやや違いはあるものの、私が行きたいと思う方向にクルマのノーズが自然に入る性能はどちらでも得られた。
雪上の荒れた路面でも頼もしさを実感出来る
実はこの日、コースコンディションはあまりよくなく、時間経過とともに偶発的に路面にできてしまった路面の大きな凹を避ける場面もしばしば。その際、瞬間判断にも近い状況でハンドルを切り避ける場面でも応答性の良さを感じることができた。
時速40キロでの圧雪路ブレーキはもちろん、80キロでも「おー、噛む噛む!(路面を噛むように捉えているの意味)」。制動距離も短い。そしてその後の発進、加速性能の良さはすでにお伝えしたとおりだ。
雪が溶けた路面がやがて凍結…変化の激しい日本の環境に対応
滑りやすいアイス路面の性能を試してみた
凍ったアイス路面での性能は、コンディションの変化が少ないアイスドームのなかで試すことができた。
OBSERVE GIZ2の発進/加速性能は、スッと走り出し速度が乗っていく感じもドライバーに伝わってくる。
ブレーキを踏みながらハンドルを切って障害物を回避するようなアクションをしても、制動距離は短かったのがより頼もしかった。
ウエット路面での性能はどうだろう。よりリアルな雪国での道路環境では、シャーベットのみならず路面上がウエットコンディションとなることもしばしばあるだろう。今回はその状況は試せなかったけれど、トーヨータイヤのテストデータによると、ウエット制動性能が18%も短縮されるという。
ウェット路面とアイス路面、相反する2つの状況に対応するOBSERVE GIZ2
新型OBSERVE GIZ2の開発担当者は「ウエットとアイスの走行性能をあげたいというのは、タイヤにとって相反する性能を共にともに向上させたいということ。タイヤとしての基本性能を上げるという意味では、とくにウェットを向上させたかった。それをやろうと思うと、タイヤをより硬くしっかりさせたくなる。ところがそうすると柔軟さが求められるアイス路面には不利になる。」と説明する。
「ゴム自体は硬くなっているけど、ミクロな領域では柔らかい成分が入っているのでちゃんと路面に追従してくれる。これを両立できるコンパウンドができたおかげで、相反する性能もしっかりと向上させ両立できた」と開発担当者はおっしゃっていた。
OBSERVE GIZ2の路面への密着性は、微妙なゴツゴツに固まった凸凹氷路も、目に見えないレベルの凹凸にも密着=追従するという。
冬の間「だけ」しか使わないからこそ、重要視したいこと
そんな新型スタッドレスのOBSERVE GIZ2は、アイス路面における性能低下のスピードを緩める「トレッド硬度経年変化」も向上。タイヤ交換(残り溝が十分な場合)の目安は4年とされているが、その間の性能低下もより緩やかというのは嬉しく、また頼もしい。
しかし冬道で “止まる”の安心感を重視するならやはり「冬の間だけ、だけど」、その性能をより長く保てるタイヤを選ぶ方が賢明。OBSERVE GIZ2の忘れもしない性能進化を頭に浮かべながら、目の前にいる誰かを想像して、私ならそうお伝えしたいと思うのだ。
[筆者:飯田 裕子]
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