もっと売れてもイイはず! ホンダ フィットが苦戦している理由は“いいひと”過ぎるから!?
MōTA / 2020年10月27日 7時0分
2020年2月、日本を代表する2大人気コンパクトカーが相次いでフルモデルチェンジした。4代目「ホンダ フィット」と、従来のヴィッツから名前を変え登場した「トヨタ ヤリス」だ。2020年度上期(4月~9月)の新車販売ランキングで1位に入ったヤリスに対し、フィットは4位。その差はどこにあるのか。改めて検証してみよう。
2020年度上期販売台数ランキング、ヤリス1位に対しフィットは
一般社団法人 日本自動車販売協会連合会(自販連)が、2020年度上期(4月~9月)の乗用車ブランド通称名別順位(軽自動車除く)を発表した。
フィットは2020年2月にフルモデルチェンジを果たしたばかりだが、トヨタの小型車3台には及ばず。コロナ禍の影響を直撃したタイミングだけに、約5万台(月平均およそ8420台)はかなりの善戦だが、全く同じタイミングで現れたライバルのトヨタ ヤリスがその上を行っているだけに、差がついてしまった格好だ。
デビュー直後の2020年3月単月で見比べてみると、2位にフィット(14845台)、3位がヤリス(13164台)と、当初はフィットが上に位置していた。ところが翌4月にはヤリスが1位(10119台)、フィットが2位(8977台)と入れ替わる。
以降、6月のみ2位になった以外は1位を維持するヤリスに対し、フィットは3位、4位、5位、4位、6位と徐々にランクを落とし、台数も伸び悩んでいる。
果たして苦戦の理由はどこにあるのだろうか。
フィットが伸び悩む3つの理由
苦戦の理由その1 販売拠点数の圧倒的な差
ヤリスの先代モデルであるヴィッツは、トヨタ全4チャンネルの中でもネッツ店のみの専売モデルだった。しかしトヨタは全国のネッツ店・カローラ店・トヨペット店・トヨタ店において、2020年5月から全取扱車種の併売をスタート。新型ヤリスも、2月のデビュー時から全店扱いで販売を開始している。
ネッツ店以外の販売店がこれまで取りこぼしていた小型車需要を掘り起こしたことで、ヤリスの販売台数を後押しした格好だ。
全国の4つのトヨタ販売チャンネルを合計するとおよそ4600拠点。単純計算で1店舗あたり平均2.2台を売れば全国で月1万台の計算が成り立つ。
これに対しホンダの販売店は全国で約2200拠点。この販売力の差が、販売ランキングに少なからず影響を与えている。
苦戦の理由その2 軽の巨人「N-BOX」が強過ぎる!?
圧倒的に広い室内空間を持ち、十分な走行性能も備えるN-BOXは、ミニバンやコンパクトカーからの代替も含めファーストカーとしての需要も取り込んだことで成功した。店舗にとっても売りやすい1台となっているようだ。
振り返れば歴代のフィットも、コンパクトカーながらクラス随一の広い室内空間を特徴とし、上位モデルからのダウンサイジング需要を取り込むことで販売を伸ばした。歴史は繰り返されるということか。
苦戦の理由その3 “いいひと”過ぎる!? 流行りの押し出し感が足らない
4代目フィットは、ユーザーがクルマの移動に対し潜在的に求める「リラックスや癒し」に応える“心地よさ”をテーマに開発された。“いいひと”そうな印象は、まさにホンダの狙い通りの答えということになる。
流行りのクロスオーバーSUVスタイルを採用したCROSSTARや、小さな高級車を想わせるLUXEなど、それぞれが個性的だ。シンプルだけど上質なHOMEも、明るい雰囲気のインテリアの居心地がユーザーに優しく、乗るたびになぜかほっこりさせられる。
“いいひと”からの脱却! N-BOXカスタムのヒットから学ぶ6番目のフィット
さて、同じホンダで売れ行き絶好調なN-BOXの場合はどうだろう。
K編集部員いわく、穏健な“いいひと”のノーマルに加え、ギラっと押しの強いN-BOXカスタムを用意し“シュッとしてる”需要を取り込んでいるとの評価。フィットの場合は“心地よさ”推しだから、どのタイプもおしなべて“いいひと”に見えるのも狙い通り…ではあるのだけれど、そこがちょっと物足りないと話す。
実際、ホンダ N-BOXのノーマルとN-BOXカスタムの販売比率は、2017年の現行型登場時で44:56。好調な売れ行きの半分以上をカスタムが支えている。
[筆者:トクダ トオル(MOTA編集部)]
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