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ホンダが自動運転レベル3を世界初の市販化へ! レベル2とはどう違う? スマホ注視はOK!?

MōTA / 2020年11月12日 7時44分

ホンダ レジェンドを用いた高速道路での自動運転試験車両[画像は2017年「Honda Meeting 2017」での模様]

ホンダが自動運転レベル3の型式指定を国土交通省から取得した。自動運行装置の名称は「Traffic Jam Pilot(トラフィック・ジャム・パイロット)」。2020年度中に「レジェンド」に搭載し市販化する予定だ。しかしレベル2に準拠する日産のプロパイロット2.0などとは一体どこが違うのだろうか。スマホは注視してもいいの!? カーライフジャーナリストの渡辺 陽一郎氏が緊急レポートする!

ホンダ レジェンド[画像は2018年2月マイナーチェンジモデル]

世界初!ホンダが自動運転:レベル3を実用化、2020年度中に「レジェンド」搭載で市販化へ

ホンダの自動運転テスト車両(2017年)

2020年11月11日に、ホンダが自動運転レベル3の型式指定を国土交通省から取得したと発表した。高級セダンの「レジェンド」に搭載して、2020年度内(2021年3月末日まで)の発売を予定している。自動運転システムの名称は「Traffic Jam Pilot(トラフィック・ジャム・パイロット)」になるという。

自動運転について、今までの流れを振り返ってみよう。

■自動運転:レベル1・レベル2は「ドライバーによる監視」が必須

近年は先進運転支援機能の搭載車が増えた。衝突被害軽減ブレーキの応用技術により、設定された速度の範囲内で先行車に追従走行したり、車線の中央を走れるように操舵の支援も行う。

日産のプロパイロット2.0をテストする筆者の渡辺 陽一郎氏

これらの作動中はドライバーのステアリングやペダル操作が軽減され、快適性や安全性を高めるが、自動運転には該当せず、運転支援機能に位置付けられる。国土交通省による定義では、運転支援機能は自動運転のレベル1とレベル2に位置している。従って「ドライバーによる監視」が作動条件だ。

日産 スカイラインに搭載されるプロパイロット2.0のように、一定の条件がそろえば、ステアリングホイールから手を離しても作動が続くハンズフリータイプも実用化された。ハンズフリータイプなら、ペダル操作を含めて作動中はドライバーの操作は不要だが、自動運転ではない。非装着車の運転と同様、ドライバーは常に前方や周囲を注視して、車両の動きを監視する必要があるからだ。

■自動運転:レベル3は「システムによる監視」で自動運転可能に

2020年11月発表の国土交通省資料より

ところがホンダが次期レジェンドで取得した自動運転レベル3は、「ドライバーによる監視」ではなく「システムによる監視」になる。この差は大きい。「ドライバーによる監視」では、常に運転状態を維持しなければならないが、レベル3の「システムによる監視」なら、ドライバーの監視は条件からはずれる。

国土交通省は、レベル3を「特定条件下における自動運転」「特定条件下においてシステムが運転を実施」と表現しており、機能のメリットは「周囲の交通状況監視から解放されて運転負荷を軽減」することだという。

つまりレベル1とレベル2の運転支援とは概念が異なり、自動運転にレベルアップしたことを示す。

「システム監視による自動運転」でもよそ見はダメ! の矛盾

自動運転車の定義及び政府目標[2020年11月発表の国土交通省資料より]

スマホを観ながらの運転はOK? それともNG!?

「周囲の交通状況監視から解放」されるなら、従来の運転支援機能のように、ドライバーが常に前方を向いて周囲の交通状況や車両の挙動を監視する必要はない。条件がそろった状態では、システムが運転と監視を行うから、ドライバーは「よそ見」をしても良いことになる。

しかし前方を注視しなくて良いなら、スマートフォンを見ていても構わないのか、と問われると判断が難しい。国土交通省では以下のように説明している。

ながら運転はNG!(画像はイメージです)

「作動後、走行環境条件を満たさなくなる場合や故障発生時等においては、警報を発し運転者による運転操作を求めますので、運転者は過信せず常に運転できる状況を維持する必要があります」

要するにシステムの作動中に環境条件から逸脱して自動運転の制御が中断され、「運転をお願いします」と、車両からドライバーに依頼されることもあるわけだ。

そして環境条件からの逸脱は、自動運転システムの手に負えないことを意味する。そうなると「運転をお願いします」と頼まれて我に返り、前方や周囲を見ると、面倒な事態になっている可能性もある。だから「運転者は過信せずに常に運転できる状況を維持する必要があります」なわけだ。

「常に運転出来る状況」に備えるためには結局、前方注視が必要不可欠

レベル3の「システムによる監視」を素直に受け止めると、手元のスマートフォンを見ていたり、さらにいえばパソコンで仕事をしても構わないと思うが、そこまで頼れるシステムではない。何事もなければ快適な自動運転を続けるが、問題が生じた時に「運転をお願いします」と頼まれるとすれば、従来のレベル2と同じく前方や周囲を注視しなければならない。そうしないと「常に運転できる状況を維持する」ことは不可能だ。

走行環境条件によると、急カーブは自動運転の除外区間になる。あらかじめ「この先に急カーブがあるので、ご自分で運転してください」と案内されるが、スマートフォンやパソコンに没頭していると運転感覚を取り戻すのに時間を要する。

ちなみに今は、国土交通省を含め、官民一体になって自動運転の実現に取り組んでいる。良いことだが、それ以上に優先すべきは安全だ。システムによる監視が行われるレベル3でも、実際に使う時は、レベル2の正確性を高めたタイプと認識した方が安全だろう。「常に運転できる状況」を保っておきたい。

万一事故が発生すれば、自動運転レベル3の作動中でも、責任はドライバーに生じる。その意味でも、スマートフォンを安心して見ているわけにはいかない。

作動には一定の条件が必要です。ご使用上の注意をよく読んで正しくお使いください…

高速道路の渋滞時、時速50キロ以下で機能

写真はホンダの自動運転テスト車両(2017年)

なお、トラフィックジャムパイロットの走行環境条件は、以下のような内容だ。

道路区間:高速自動車国道、都市高速道路、それに接続される自動車専用道路(一部区間を除く)

除外区間と場所:自車線と対向車線が中央分離帯などで区分されていない区間、急カーブ、料金所、サービスエリア、パーキングエリアなど。

自車の速度:装置の作動前が時速30km未満、作動開始後は約50km以下であること。

自車の走行状況:高精度地図および全球測位衛生システムによる情報が入手できること。

ドライバーの状態と操作状況:正しい姿勢でシートベルトをしていて、ステアリングホイール/アクセル/ブレーキの操作をしていないこと。

自車の速度は、装置の作動前が時速30キロ未満、作動開始後も時速約50キロ以下だから、高速道路の渋滞時などに使う機能だ。作動開始後でも作動条件が時速約50キロ以下だから、渋滞が解消されて速度が上昇するとキャンセルされる。そこを考えてもスマートフォンなどを注視するのは難しい。

自動運転レベル3実現に向け、国土交通省も全面バックアップ

[2020年11月発表の国土交通省資料より]

なお自動運転レベル3に対応した車両の商品化に向けて、道路運送車両法の一部が改正され、2020年4月1日から施行されている。

この中には、走行環境条件を外れる前には運転を引き継ぐ警報を発してそれまでは安全運行を継続すること、引き継がれない時は安全に停車すること、ドライバーを監視するドライバーモニタリングを搭載すること、不正アクセス防止のためのサイバーセキュリティ確保の対策を講じること、作動状態の記録装置を装着すること、ドライバーが対応できない状態になった時刻なども記録すること、自動運転車のステッカーをボディの後部に貼ることなどが定められている。

レジェンドに搭載されるセンサーは、複数のカメラ、レーダー、音波センサーで、前述の高精度地図なども採用されている。高機能ではあるが、際立って高コストなメカニズムは見られない。安全に使いこなして、嫌な渋滞や低速運転も快適に楽しみたい。

[筆者:渡辺 陽一郎]

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