いまさら聞けない!? レクサスにも採用のランフラットタイヤってどんなタイヤ?
MōTA / 2020年12月9日 7時50分
ブリヂストンは、2020年11月19日(木)から発売を開始したレクサスのフラッグシップセダン新型LSに、2種類のランフラットタイヤを新車装着タイヤとして納入すると発表した。高級車に装着例が多いランフラットタイヤとは、どのようなタイヤなのだろうか。その特徴を改めて解説する。
レクサス 新型LSに2種類のランフラットタイヤを納入
ブリヂストンは、レクサスが11月に発売した新型LSの新車装着用タイヤとして、ランフラットテクノロジー採用タイヤ「TURANZA T005A」「TURANZA T005A RFT」の納入を開始した。今回新型LSに装着される「TURANZA T005A」「TURANZA T005A RFT」は、「TURANZA」ブランドの快適性能と高速運動性能を高次元でバランスさせたことに加え、タイヤのサイド構造を最適化させることで、高い乗り心地性能を確保。ランフラットテクノロジーを採用したタイヤに快適性能を追求したことにより、新型LSの新たな価値を最大限に引き出す。
新車装着タイヤ納入サイズ
■TURANZA T005A
・245/50R19 101W
・245/45R20 99Y
■TURANZA T005A RFT
・245/45RF20 99Y
・275/40RF20 102Y
そもそも、ランフラットタイヤってどんなタイヤ!?
レクサス 新型LSの全グレードに装着されているランフラットタイヤとは、空気圧が0Kpaになっても、所定のスピードで一定の距離を走行できるタイヤのこと。つまり、“パンクしても走れるタイヤ”という訳だ。国際規格であるISO技術基準では、「空気圧0kPa時に指定の室内ドラム試験条件において速度80km/hで80kmの距離」を走行できることが求められる。ランフラットタイヤと通常のタイヤの大きな違いは、タイヤの側壁(サイドウォール)の剛性を高めていること。そのため、何かしらの原因でタイヤの空気が抜けてしまったとしても、「ぺしゃんこ」に潰れず、定められた速度であれば一定の距離を走行できる。
245/45R20と245/45RF20、タイヤサイズ表記は違ってもどちらもランフラットタイヤ
なお、ブリヂストンでは、245/50R19と245/45RF20(例)のように、通常のタイヤと同じサイズ表記の「ランフラットテクノロジー採用タイヤ」と、ラジアルタイヤであることを示す「R」の隣に「F」の文字が表示された「ランフラットタイヤ」がある。ややわかりにくい表記ではあるが、あくまでISO規格の採用に関して、世界各国の違いに合わせたものであり、実際には両者とも同等のランフラット性能を有している。
高級車に装着されるランフラットタイヤのメリットとデメリット
メリット
ランフラットタイヤのもっとも大きなメリットは、急にタイヤの空気が抜けてしまってもタイヤが潰れず、ハンドルが取られるような状況になり難いこと。
また、スペアタイヤを積む必要がなくなることで、車内空間を効率的に使えるようになることに加え、1度も使われずに廃棄されることも少なくなかったスペアタイヤを廃止することで、環境負荷の軽減にも繋がる。
そして、タイヤの構造剛性が高いランフラットタイヤは、車両重量が重い大型SUVやタイヤに剛性を求める高性能スポーツカーにも適しているのだ。
デメリット
メリットが多く、昨今採用車種が増えつつあるランフラットタイヤだが、すべての車種に標準装着されていないのには、やはりいくつかのデメリットがあるから。
まず、空気が抜けても潰れないほどの強靭なランフラットタイヤは、いくら空気で膨らんでいるとは言え“固い”。近年では各タイヤメーカーの努力によってかなり乗り心地は改善されているが、乗り心地はタイヤだけでなく装着する車の性能に大きく左右される。
また、ランフラットタイヤはあくまで空気が抜けても走れるタイヤであって、パンクしないタイヤではないため、万が一パンクしてしまった場合は修理する必要がある。しかし、一定以上の距離をランフラット走行(0kPaでの走行)すると、修理できなくなってしまうことも。
パンク修理ができない場合やタイヤの溝が減って交換する場合、やはり通常のタイヤに比べて価格はやや割高。例えば245/45R18というサイズで比較すると、ランフラットタイヤは約6万2000円で、通常のタイヤは約5万4000円と1本あたり8000円違う。もちろん商品やサイズによって価格差に違いはあるものの、車の維持費として考えると決して小さくない金額だ。
おすすめできる車種は限定的だが試してみる価値アリ
ランフラットタイヤは、まだまだ高級車や高性能スポーツカーのものという印象がある。その理由は上記で挙げたデメリットのほか、空気が抜けてしまったことをモニタリングする空気圧センサー「TPMS(Tire Pressure Monitoring System)」が必要になるなど、どうしても高コストになってしまうことが大きな要因だ。しかし今後採用するメーカー・車種がさらに増えて普及が進めば、展開されるサイズも拡がり販売価格も下がってくる可能性もあるだろう。
現段階ではすべての車には装着できないランフラットタイヤだが、パンクしても走れる利点はやはり大きい。次にクルマを乗り換える際には、ランフラットタイヤが装着されているモデルかどうか、ちょっと意識してチェックしてみて欲しい。
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