スズキ、トヨタ・ダイハツ連合にリベンジ! 新型ソリオ vs ルーミー、買いなのはどっちだ!?
MōTA / 2020年12月29日 19時0分
背の高い軽自動車でもミニバンでもないプチバンという絶妙な市場を作り出したスズキ ソリオ。トヨタ/ダイハツ/スバル連合からライバル車が登場し、苦戦を強いられていたが、ここにきてパイオニア的存在のソリオがフルモデルチェンジを果たした。カタログなどを見るにかなり進化しているようだが、果たしてどんな仕上がりなのか? 今回はガチンコライバルであるルーミーと比較しながらその実力を見ていく。
スズキの旗艦車種がフルモデルチェンジ
最近はSUVの新型車が目立つが、小型/普通車でもっとも売れ行きが好調なのは相変わらずコンパクトカー。市場全体の約25%を占めるため、37%の軽自動車に次いで多いのだ。
2020年11月にスズキ ソリオ/ソリオバンディットがフルモデルチェンジを行った。全高が1700mmを超える背の高いコンパクトカーで、後席ドアはスライド式のため、外観は全長を短く抑えたミニバンという雰囲気になる。ボディが小さい割に、背が高いから車内もかなり広いのが人気の理由だ。定番商品だから、試乗チェックを通じて、先代ソリオとライバル車のトヨタ ルーミーと比べてみたい。ルーミーは姉妹車のタンクを廃止した影響もあり、2020年10/11月は、1か月の登録台数が1万台前後に達しているのも見逃せない事実だ。
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ソリオの荷室拡大も使い勝手はルーミーに及ばず!?
新型ソリオの全長は3790mmだから先代型よりも80mm長く、ルーミーと比べても約90mm上まわる。新型ソリオのホイールベース(前輪と後輪の間隔)は先代型と同じ2480mmだから、ボディの後部を約80mm延長しているのだ。その結果、荷室長が先代型よりも100mm拡大されている。荷室長の数値は、後席を後端に寄せた状態で550mm、前側にスライドさせると715mmだ。対してルーミーの荷室長は、後席を後端に寄せると500mm、前側にスライドさせると740mmだから、新型ソリオの荷室長はルーミーに肉薄。ソリオはフルモデルチェンジにより、ルーミーに比べて荷室が狭い欠点を解消させているのだ。
ルーミーは荷室の使い勝手にも力を入れている。床面を反転させると汚れを落としやすい素材が装着され、タイヤの汚れた自転車も気兼ねなく積める。ソリオは新型になって荷室を広げたが、荷物の収納性はルーミーが依然として優れている。
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新型ソリオの全幅は、先代型に比べて20mm広い1645mmだが、ドアミラーの外側で測った実質的な車幅は先代モデルと同じだ。ルーミーの全幅は1670mmだから、新型ソリオがワイド化されてもルーミーよりは狭い。最小回転半径は、新型ソリオが4.8m、ルーミーは4.6〜4.7mだ。小回り性能はルーミーが少し優れている印象だ。
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後席の座り心地は圧倒的に新型ソリオ
インパネのデザインは新型ソリオ、ルーミーともにATレバーを高い位置に配置したミニバン風のレイアウトを採用し、コンパクトカーらしく機能的に造り込んでいる。ソリオは新旧モデルともに、メーターをインパネ中央の高い位置に装着する。質感は新型ソリオが上まわるが、ルーミーも不満はない。>>
前席の座り心地は、新型ソリオに若干ボリューム感があって快適だが、先代型やルーミーと比べても大差はなし。新型ソリオの後席は先代モデルと大きな差はなく、新旧ともに少し腰が落ち込んで膝の持ち上がる姿勢になるが、違和感は生じないというイメージだ。 ただしルーミーの後席は、座り心地が大幅に悪化する。座面の柔軟性が乏しく、腰の収まりも良くない。床と座面の間隔が足りず、足を前方へ投げ出す座り方になるからだ。3〜4名の乗車を目的にルーミーを買うユーザーは、後席の座り心地を確認したい。後席の頭上と足もとスペースは、両車とも十分に広い。身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の頭上空間は、新旧ソリオは握りコブシ2つ分、ルーミーもコブシ1つ半の余裕がある。
後席に座る乗員の膝先空間も同様だ。後席のスライド位置を後端に寄せると、身長170cmの大人4名が乗車した状態で、後席の膝先空間は新旧ソリオ、ルーミーともに握りコブシ4つ分に達する。前後席に座る乗員同士の間隔は、新旧ソリオが1080mm、ルーミーは1105mmだ。この数値はLサイズセダンを上まわる。先代ソリオは、後席に座ると肩まわりが少し窮屈だったが、新型はそこも改善している。
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静粛性・走りともにソリオの勝ち!?
新型ソリオが搭載するエンジンは、直列4気筒1.2リッターのノーマルタイプとマイルドハイブリッドの2種類。先代型はストロングハイブリッドもラインアップしていたが、燃費がマイルドハイブリッドとあまり変わらないにもかかわらず価格は高いなど、メリットが乏しかったために今回は廃止。ちなみにこのストロングハイブリッドの販売比率は5〜10%と少なかったという。販売の主力となるマイルドハイブリッドの動力性能は先代型と同等。1.2リッターエンジンの最高出力は91馬力、最大トルクは12kg-m、モーターの最高出力は3.1馬力になる。
対するルーミーのエンジンは直列3気筒1リッターだから、ノーマルタイプの性能は69馬力・9.4kg-mだ。2WDの車両重量は、新型ソリオが960〜1000kgなのに対して、ルーミーは1080〜1090kgと重い。従って新型ソリオは動力性能の不足を感じにくく、4000回転を超えると加速感が活発になる。ルーミーは排気量が小さく、ボディは重いため、新型ソリオに比べると幅広い回転域で動力性能が不足するのだ。登坂路ではアクセルペダルを深く踏みやすく、3気筒特有のノイズも気になってしまう。
そこでルーミーは、パワー不足を補うターボを装着したグレードも用意。2500回転以下の駆動力は落ち込むが、3000回転を超えると加速が活発になり、高速道路などを走る時はターボのメリットを実感できる。
乗り心地もソリオに軍配! ルーミーは少し硬めな印象
操舵に対する反応と走行安定性は、両車で性格が異なる印象だ。新型ソリオは操舵に対する反応に鈍さがなく、車両の向きが比較的機敏に変わる。正確性が高いともいえるが、走行状態によっては操舵した後で挙動変化が大きくなり、後輪の接地性が不安定になる場合もある。ルーミーは操舵に対する反応を鈍めに抑えている。基本的に車両が内側を向きにくく、峠道などでは曲がりにくく感じるが、後輪の接地性は損なわれにくい。全幅の割に背が高い車両では、ルーミーの鈍い設定が一般的で、じつは新型ソリオは少し個性的。乗り心地は両車ともに低速域で硬めに感じるが、新型ソリオは少し柔軟。ルーミーは上下に揺すられる動きが生じやすい。
2WDのWLTCモード燃費は、新型ソリオのノーマルタイプが19km/L、マイルドハイブリッドは19.6km/L。ルーミーはノーマルエンジンが18.4km/Lでターボは16.8km/Lだ。新型ソリオはマイルドハイブリッドでなくても19km/Lだから、燃費、動力性能ともにルーミーよりも優れている。
性能&価格は互角! 安全装備などを考えるとお買い得なのは新型ソリオ
衝突被害軽減ブレーキは、新型ソリオ、ルーミーともに車両や歩行者も検知する。運転支援機能も、全車速追従型クルーズコントロールを採用した。価格は新型ソリオマイルドハイブリッド2WD・MXが185万200円、ルーミー2WD・Gは174万3500円だ。価格は新型ソリオが10万円ほど高く、右側スライドドアの電動機能はオプションだ。その代わりサイド&カーテンエアバッグ、アルミホイール、マイルドハイブリッドなどを標準装着した。こういった装備の違いを考慮すると、新型ソリオが少し割安なイメージ。
以上のように後席の居住性、動力性能、燃費、乗り心地、価格の割安感において、設計の新しい新型ソリオがルーミーに勝っている。ルーミーのメリットは、荷室の使い勝手が優れていることだ。使用目的に応じて選びたい。可能ならば、本記事で記した両車の違いを参考にしながら、改めて2台の試乗をしてみて欲しい。優劣を詳細に確認できるはずだ。
ボディサイズ:全長3790mm×全幅1645mm×全高1745mm/ホイールベース:2480mm/車両重量:1000kg/乗車定員:4名/エンジン種類:マイルドハイブリッド/総排気量:1242cc/最高出力:67ps(91kW)/6000rpm/最大トルク:12kg-m(118Nm)/4400rpm/使用燃料:レギュラーガソリン/駆動方式:FF/モーター最高出力:3.1ps(2.3kW) /1000rpm/モーター最大トルク:5.1kg-m(50Nm)/100rpm/トランスミッション:CVT/タイヤサイズ:/燃料消費率:19.6km/L[WLTCモード燃費]/メーカー希望小売価格:158万1800円〜(消費税込)
【筆者:渡辺 陽一郎】
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