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販売好調な日産 新型ノート、割高な“実勢価格”でも売れている理由

MōTA / 2021年2月3日 17時0分

日産 新型ノート e-POWER[2020年12月23日発売・3代目] [撮影:小林 岳夫]

日産のコンパクトカー、新型「ノート e-POWER」が、発売後1ヶ月で2万台を受注するなど好調な売れ行きを示している。ハイブリッド専用車となり価格帯も200万円台へと上昇した新型ノート。需要を獲得するため、販売現場では何が行われているのか。今後の戦略も含め、ノートが売れている理由を探った。

日産 新型ノート e-POWER

最後発ながらライバルに迫る好調な売れ行きを示した新型ノート

日産の新型「ノート」(ノート e-POWER)が売れ行き好調だ。

昨年2020年12月23日(水)の発売開始から約1ヶ月が経過した2021年2月1日(月)、日産は新型ノートの販売状況について、月間目標販売台数の2.5倍となる、およそ2万台の受注を集めていると発表した。

上から「ホンダ フィット「トヨタ ヤリス」「日産 ノート」

2020年は、2月に「ホンダ フィット」と「トヨタ ヤリス」(旧「ヴィッツ」)がそれぞれフルモデルチェンジを実施するなど、各メーカーを代表するコンパクトカーが相次いで登場した1年だった。ヤリスはコンパクトSUVタイプの「ヤリスクロス」も用意し2020年の年間販売台数1位を獲得するなど、各社とも販売状況は非常に好調である。

そんな中、最後発となった日産の動向に注目が集まっていたが、好調な滑り出しとなったようだ。

作戦変更! 新型ノートはe-POWER専用モデルに

200万円以下の価格では買えなくなった新型ノート

e-POWERは先代ノート(写真)に2016年に追加されたのがはじまり

新型ノートに搭載されるe-POWERとは日産のハイブリッドシステムの名称で、先代のノートから採用が始まっている。ガソリンエンジンは発電専用で、モーターを駆動して走行する仕組みだ。

先代ノートでは通常のガソリンモデルと併売されていたが、新型ではe-POWER専用モデルになった。

ここでネックになるのが価格。

先代ノートのガソリンモデルは150万円台から選ぶことが出来たが、新型ノートは205万4800円から218万6800円(FFモデル)と、価格帯が変わった。e-POWERモデル自体の価格は、実は先代と大きく変化していないのだが、200万円以下の価格でノートを買うことは出来なくなった。

車両価格は210万円台だが先進装備追加で途端に見積もりが急上昇

自動運転技術を応用した先進運転支援システム「プロパイロット」はナビリンク機能付

さらに実際に見積もりを取得してみると、新型ノートのセールスポイントでもある新装備の多くはオプション設定であることに気付く。

例えば、先進運転支援技術の「プロパイロット」は、新型ノートで新たにナビリンク機能が追加された。このため高価なNissanConnectナビゲーションシステムとセットで選ばなければ成立しない。結果として40万円強のオプション価格が上乗せとなる。

しかも先進装備の多くが、218万6800円の最上級グレードでしか選ぶことが出来ないという罠もある。

せっかく買うならとあれもこれもと選ぶと、あっという間に300万円の見積もり価格になってしまい、上級クラスで車体の大きいプリウスやカローラ、あるいは輸入車のコンパクトカーも手が届く価格帯に突入してしまうのだ。

実勢価格300万円でも新型ノートが売れている理由

日産が説明する「売れている理由」とは

日産では目標の2.5倍となる2万台の受注についてどう考えているのだろうか。

2月1日発表の日産自動車プレスリリースには『第2世代「e-POWER」と新開発プラットフォームの採用によるスムースで思い通りの「加速」や、なめらかな「減速制御」、抜群の「静粛性」』がユーザーに評価された、と理由を記している。

また『電動化の時代を感じさせる先進的なエクステリア、インテリアも人気』だという。

もちろんそれが日産 新型ノートのセールスポイントになっているのは理解出来るが、もう少しリアルな声を知るため、実際の販売現場を覗いてみた。

販売現場では上級モデルからの代替を狙っていた

画像はイメージです

訪れたのは首都圏の日産販売ディーラーA店。既に新型ノートを数台受注しているという営業マンは、今のところと前置きしつつも『価格はあまりネックにはなっていません』と明るい表情だ。

まずは既存の顧客を対象に声を掛けて回り、ティアナやエクストレイルなど、サイズの大きな上級モデルからの代替を獲得したという。年齢層も高めで、価格に対してもそこまでシビアではない上顧客といったところ。

10年位前まではトヨタやホンダ並みにワイドな車種バリエーションを誇っていた日産。豊富なラインアップ、幅広い車種の幅広い既納客から代替需要を一手に集約し、ノートの販売に充てているという訳だ。

それで本当にいいのか? と他人事ながらちょっと心配になってくるが、2万台の積み上げにはこうした戦略が大きく効いている。この効果はしばらくは続きそうだ。

それでも価格がネックになる場合には次なる手段も

また、新規に訪れた客にはまず試乗を勧め、第2世代e-POWERの走りを体感してもらえば『いいね!』となるのだという。ここは日産の発表にも合致する。

では、価格に対しシビアな客はいないのだろうか。

先の営業マンによると、見積もりを作る際に客の買い方を聞き出しながら、残価設定ローンなど月々で安く支払える方法に話を切り替えるそう。近年、ローン利用者の多くがこの残価設定ローンを利用しているという。

200万円以下の車を求めるユーザーには軽をお勧めするという(写真は「日産 ルークス」)

またそもそも予算が合わない場合には、軽自動車「ルークス」をお勧めする方向へと割り切っている。むしろノートよりも室内は断然広く質感も良いので、客からは好評だと話す。

ひと昔前のように軽だからと難色を示す人はほぼ皆無だといいい、ノート e-POWERと軽の合わせ技で、幅広い代替需要をまかなっているのが現状だ。

同じ日産のコンパクトカー「マーチ」は勧めないのかと聞くと『滅多に売れないので…』と、そもそも商談のテーブルに載ることもないようだ。

価格帯上昇に合わせ、さらなる秘策も!?

特別仕立てのプレミアムカスタムモデル「ノートAUTECH」

価格帯が上昇した分、せっかくならもっと高級な仕様が欲しい。高級車などからの代替が多いとなると、そういった需要も多いだろう。

そんなニーズを狙って、日産ではプレミアムカスタムモデルの「ノートAUTECH」(250万4700円~)を先代同様に用意した。ベースモデルに対し上質な内外装の装飾を加え、特別な1台に仕立てている。

さらに日産ではこの先も高級仕様の秘策があるという。

新型ノートの売れ行きは今後のラインナップ拡充の成否にかかっている!?

既にネット上では「ノート オーラ」という名の上級仕様が存在しているとの情報が流れ始めている。

3ナンバーのワイドボディとし、プリウスや高級セダンなど上級クラスユーザーからの代替を目指しているようだ。おそらく最初から車両本体だけで200万円台後半から300万円台の価格帯となってくるだろう。

発売時期については定かではないが、夏頃までには登場する可能性は高い。詳細については続報でご紹介する。

今後噂のノート オーラが登場し、ノートシリーズのラインナップが完成した際には、「むしろベースのノートe-POWERはお買い得!」と見えるようオプション価格の見直しが図られるかもしれない。廉価なナビとの組み合わせにより、お得なプロパイロット搭載仕様車が設定される可能性も高い。

現時点では、販売店が抱える豊富な顧客リストによる代替需要で多くの受注を集める日産 新型ノート。その真価が問われるのは、バリエーションが完成する2021年後半となりそうだ。

[筆者:MOTA編集部]

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