新型ヴェゼル vs ライバル人気コンパクトSUV対決7番勝負! CX-30に比べヴェゼルが勝る4つのポイントとは
MōTA / 2021年5月6日 12時0分
コンパクトSUVのニューモデル「ホンダ 新型ヴェゼル」が人気だ。2021年4月22日の発表以来、予約が殺到し、既に半年以上の納期待ちを抱える状態にある。果たして新型ヴェゼルはライバル車と比べどのような実力の持ち主なのか。 国内の新車事情に詳しいカーライフジャーナリストの渡辺 陽一郎氏が、内装の使い勝手や室内の広さ、走行性能、安全装備などをライバル車「マツダ CX-30」と7つの項目に分けて徹底比較。勝者を決める!
【内装比較!】新型ヴェゼルはCX-30に比べ質感や広さ、居住性とも優位に立つ
最近はSUVの人気が高く、特に全長を4400mm以下に抑えたコンパクトな車種が売れ筋だ。2021年4月には、コンパクトSUVの主力車種となるホンダ ヴェゼルが新型にフルモデルチェンジした。
そこで今回はライバル車の「マツダ CX-30」と比べたい。新型ヴェゼルの全長は4330mmで全幅は1790mm、CX-30は全長4395mm、全幅1795mmだから、ほぼ同じサイズになる。まさに格好のライバルだ。
今回は7つのポイントに分け、ホンダ 新型ヴェゼルとマツダCX-30の勝敗を決めていく。
勝負その1! 内装の質感/視認性/操作性比較
インパネ周辺のデザインは新型ヴェゼル、CX-30両車ともに似ている。水平基調でワイド感が強調され、室内を広く見せている。細部までていねいに造られ、質感は同程度だ。 操作性では、比較的高い位置に装着されたエアコンのスイッチなどにも共通性がある。ただしCX-30の場合、8.8インチのセンターディスプレイが、配置も含めていまひとつ見にくい。もう少し上下幅を増して欲しい。
■勝者:ヴェゼルの勝ち!
勝負その2! 前後席の居住性比較
前席の座り心地は両車とも快適だ。新型ヴェゼルは新型になって柔軟性を強め、リラックスできる座り心地に仕上げた。CX-30は腰から大腿部をしっかりと支えて、スポーティな印象が強い。持ち味は異なるが前席は互角だ。 後席の座り心地は新型ヴェゼル、マツダ CX-30とも互角の勝負だが、足元空間の広さは異なる。身長170cmの大人4名が乗車した場合、ヴェゼルの後席に座る乗員の膝先には握りコブシ2つ半の余裕が見られるが、CX-30は1つ半だ。CX-30の後席に座ると、前席の下に足が収まり、4名乗車の実用性は妨げない。それでも快適に座れるのはヴェゼルになる。
■勝者:ヴェゼルの勝ち!
勝負その3! 荷室の使い勝手とシートアレンジ比較
新型ヴェゼルのリヤゲートは、先代型に比べると角度を少し寝かせた。そのために背の高い荷物は積みにくいが、床面積は十分に確保している。 また新型ヴェゼルのプラットフォームは先代型と共通で、燃料タンクを前席の下に搭載する。後席を畳むと、床の低いボックス状の荷室に変更できる。後席の座面を持ち上げると、車内の中央に背の高い荷物も積めて、これはSUVではヴェゼルならではのシートアレンジだ。CX-30の荷室も十分に実用的だが、シートアレンジの多用途性という点は、ヴェゼルが勝っている。
■勝者:ヴェゼルの勝ち!
【性能比較】性能と燃費のバランスが良いCX-30! 先進運転支援機能の性能も新型ヴェゼルと同等だ
勝負その4! ボディスタイルと取りまわし性比較
冒頭で述べた通り、全長と全幅は新型ヴェゼル、CX-30ともにほぼ同じ。異なるのは全高だ。新型ヴェゼルはe:HEV XとGが1580mm、e:HEV Zとe:HEV PLaYは1590mmで、CX-30は1540mmに収まる。CX-30は1550mm以下だから、都心部に多い車高制限のあるタワーパーキング(立体駐車場)を利用しやすい。
最小回転半径は、ヴェゼルのe:HEV XとGは5.3m、e:HEV Zとe:HEV PLaYは5.5mになる。CX-30はすべて5.3mだから、小回り性能も優れている。
■勝者:CX-30の勝ち!
勝負その5! 走行性能・燃費比較
新型ヴェゼルのエンジンは、直列4気筒1.5リッターのノーマル(ノンターボ)タイプとハイブリッドのe:HEV(イーエイチイーブイ)だ。マツダ CX-30は、2リッターのノーマルタイプ、1.8リッターのクリーンディーゼルターボ、2リッターのスカイアクティブXを用意した。
スカイアクティブXは、火花点火制御圧縮着火方式、スーパーチャージャー、マイルドハイブリッドを併用して、余裕のある動力性能と優れた燃費効率を両立させている。その代わりにスカイアクティブX搭載車の価格は、2リッターノーマルエンジンよりも約68万円高い。これでは選びにくい。
そうなると機能と価格のバランスで最も割安なCX-30のベストエンジンは、クリーンディーゼルターボだ。実用回転域の駆動力は2.7リッターのガソリンエンジン並みに高く、ディーゼルの軽油は価格も安い。レギュラーガソリン価格が1リッター当たり145円、軽油が125円と想定し、実用燃費をWLTCモード燃費の数値として計算してみると、1kmの走行に要する燃料代はヴェゼルe:HEV Zが5.8円、CX-30のディーゼルは6.5円になる。
ヴェゼルのe:HEVも加速が滑らかで魅力的だが、動力性能と燃費のバランスではCX-30が優れている。
■勝者:CX-30の勝ち!
勝負その6! 安全装備と先進運転支援機能比較
新型ヴェゼルにハイブリッドを搭載するe:HEV Z(289万8500円/2WD)と、CX-30にクリーンディーゼルターボを組み合わせたXD プロアクティブ(288万7500円/2WD)の安全装備と先進運転支援機能を比べてみよう。衝突被害軽減ブレーキ、後方の並走車両を検知して知らせる機能などは、両車ともに標準装着される。先進運転支援機能はほぼ同等の性能と言っていい。リヤゲートの電動開閉機能も両車に標準装着されている。この勝負は引き分けだ。
■勝者:引き分け
総合評価! 人気コンパクトSUVで買い得なのはトータルバランスに優れた「ホンダ 新型ヴェゼル」だ
勝負その7! 推奨グレードの買い得度比較
推奨グレードは、ヴェゼルがe:HEV Z(289万8500円/2WD)、CX-30はXD プロアクティブ(288万7500円/2WD)になる。
どちらのグレードも快適装備がひと通り揃い、先進運転支援システムなどの装備内容は同程度。そして価格も同等になる。そうなると、凝ったハイブリッドシステムを搭載し、実用燃費に優れる新型ヴェゼルが、ディーゼルターボのCX-30に比べ割安に感じられる。
■勝者:ヴェゼルの勝ち!
総合評価! 全方位で優れる「ホンダ 新型ヴェゼル」と、個性の強さで勝負する「マツダ CX-30」
新型ヴェゼルのハイブリッドシステムでは、エンジンは主に発電機を作動させ、駆動はモーターが行う。そのためにアクセル操作に対する反応が機敏で、加速は滑らかだ。ノイズも小さい。さらに高速道路の巡航では、エンジンが直接駆動して燃費をさらに節約する制御も行う。高機能なハイブリッドシステムを搭載して、後席も広く荷室の使い勝手も良い点もCX-30に勝っている。
総合的にはヴェゼルの魅力が強く、ファミリーユーザーにも適する1台だ。
新型ヴェゼルは幅広いユーザーに推奨できるが、CX-30はマツダらしい一体感のあるスポーティな運転感覚を追求している点が個性的で、やや好き嫌いが分かれるところだ。購入を検討する際には必ずディーラーで2台を試乗し、確かめてみることをおすすめする。クリーンディーゼルターボの搭載も、他メーカーのコンパクトミニバンでは得られない特徴だ。CX-30ではボディサイドに周囲の風景がダイナミックに映り込む演出もあり、幅広いユーザーを対象にしたヴェゼルでは得られない個性が魅力の鍵となる。
■総合評価:ヴェゼルの勝ち!
[筆者:渡辺 陽一郎]
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