ホンダ 新型ヴェゼル、旧型からサイズは変わってないのにこの開放感はなに!? ヒントは“オープンカー”にあった
MōTA / 2021年5月25日 7時0分
2021年4月の発売開始から瞬く間に注文が殺到し、早くも納車待ちの「ホンダ 新型ヴェゼル」。従来型からイメージを一新し、実車を目の当たりにすると「大きくなったなあ」と感じるデザインに生まれ変わった。しかし実際にはサイズはほとんど変わらない。そしてもっと驚いたのは、室内に乗り込んでからだった! 絶妙なパッケージングと、ライバル車にはないパノラマルーフがもたらす開放感の秘密について、新型ヴェゼルを担当したホンダの開発者に直撃した。
大きくなったように見える新型ヴェゼルだが、サイズはほとんど変わらず! しかも屋根は低くなっていた
旧型(初代)ヴェゼルは、全長4330mm×全幅1770mm×全高1605mm(RS・TOURINGは全長4340mm×全幅1790mm)、ホイールベース2610mm。
いっぽうで最低地上高も、旧型の170mmに対し、195mmとロードクリアランスもアップ。18インチの大径ホイール、さらにそれを強調する黒いホイールアーチとの相乗効果もあって、ハイリフトでスポーティな“カッコいい”フォルムになったのだ。
クーペフォルムを強調したはずなのに、何故だか不思議な解放感! 新型ヴェゼルの絶妙なパッケージングを体感
コンパクトで広いのが初代ヴェゼルの魅力だったが…新型のスポーティなフォルムに一抹の不安
スポーティなフォルムに生まれ変わりイメージを一新した新型ヴェゼルだが、筆者(身長180cm)としては一抹の不安を覚えた。
初代ヴェゼルは、コンパクトながら前席・後席とも十分な頭上高で、十分過ぎる室内空間を確保していた。だから比較的体の大きい筆者でも、圧迫感を覚えずに快適に過ごせた。
そんな初代ヴェゼルの空間設計は、ライバル車に対しても大きなアピールポイントで、その広さはひとクラス上の日産 エクストレイルなどにも対抗出来るほど。それでいて価格も手ごろ、というコスパの良さも手伝って、初代ヴェゼルをヒット作へと押し上げたのだ。
そうした初代ヴェゼルの良さを、新型では見た目の格好良さを追求したあまり、もしや失ってしまったのでは…と危惧したのだ。
乗員の着座位置を見直すことで快適性がアップ
実際に身長180cmの筆者が新型ヴェゼルを運転してみたところ、前方や左右、斜め後方とも視界は良好。低くて圧迫感のあるクルマに乗っている感覚もなかった。
乗員は全体に若干低く座る姿勢にしながらも、後席の背もたれ角度を2度倒し、さらに着座位置自体も後退。着座姿勢と足元空間の広さを改善したという。初代ヴェゼルとも乗り比べてみたが、後席の快適度はむしろ増していたのだから驚いた。
ドイツの有名オープンカーをベンチマークに! ドライバーの視野角に入る位置までガラス面を設置
大開口部を誇るパノラマルーフなんだから、開放的なのは当たり前だろうと思うかもしれないが、一概にそうとも言い切れない。特に運転席側ではわざわざ頭上を見上げないと、開いていることを確認出来ないクルマも多いのだ。
昨今のクルマはフロントウィンドウの角度が寝ていて、ルーフの前端も後ろ側に寄っている。ルーフの開口部も必然的に後ろ寄りにせざるを得えない。だからせっかくの開放感も、主に後席の乗員だけが享受出来るイメージだった。
しかし前出の井橋さんは『そこは随分こだわりました』と胸を張る。
ドライバーが前を向いても無意識で感じられる視野角を基に、開放感を得られる最適な角度を研究
そこで着目したのが、オープンカーだった。ドイツの有名スポーツカーなど世界のオープンカーをベンチマークし、実際にドライバーが開放感を得られる最適な角度を探した。
夏が厳しい日本では、ガラスルーフはあまり好まれない傾向にある。しかし今回の新型ヴェゼルについてはぜひパノラマルーフをお勧めしたい。アイボリー系内装のPLaYグレードはさらに明るさが増す。この開放感を知ってしまったら、他のクルマに戻れなくなるかもしれない。
[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダ トオル]
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