[200万円台で買えるSUV対決!]新型ヴェゼルが上位クラス「CX-5」のベーシック版と勝負! 燃費や性能、取り回しに至るまでヴェゼル優勢だが、CX-5のお買い得感も見逃せない
MōTA / 2021年5月30日 20時5分
2021年4月23日の発売以来、ダントツの大人気を誇る「ホンダ 新型ヴェゼル」の中でも再量販のグレードは、約290万円の「e:HEV Z」。300万円近い価格を出すなら、いっそ上位クラスを狙ってみるという手もありだ。 そこで今回は、ミドルクラスのSUV「マツダ CX-5」で300万円を切るお得プライスを誇る2リッターガソリンモデルと比べてみた。燃費や走行性能、取り回しなどではコンパクトな新型ヴェゼルが強いが、上位クラスをお得に買えるCX-5も善戦している。さらに項目ごとに詳しく見ていこう。
※CX-5・新型ヴェゼルとも、掲載写真は今回比較する該当グレードと異なる場合がありますコンパクトSUVで300万円近い新型ヴェゼル ハイブリッドと、上位クラスで300万円を切るCX-5の2リッター! 悩ましい2台を8つの項目別に比べてみた!
2021年4月23日に発売を開始したコンパクトSUV「ホンダ 新型ヴェゼル」で、最も多く売られているグレードは、ハイブリッドの「e:HEV Z」だ。2WDの価格は289万8500円。ハイブリッドとあって価格は高めの設定だ。
そこでノーマルガソリンエンジンのSUVで、300万円近い価格帯に属する車種を見ると、人気の高い「マツダ CX-5」が該当する。直列4気筒2リッターガソリンのノーマルエンジンを搭載する2WDの「20S プロアクティブ」は290万9500円だ。ひとクラス上でボディサイズもひとまわり大きいSUVが、新型ヴェゼル e:HEV Zと同等の価格なのだ。ちょっと変わったライバル関係だが、ここで両車をじっくり比べてみたい。コンパクトクラスの新型ヴェゼルだが、上位ミドルクラスのCX-5に対し質感や後席の広さでも善戦
勝負その1! グレード内容と装備比較
マツダ CX-5 20S プロアプティブは、衝突被害軽減ブレーキ、後方の並走車両を知らせるブラインドスポットモニタリング、ハイビームの状態を保ちながら対向車などの眩惑を抑えるアダプティブLEDヘッドライト、8.8インチセンターディスプレイ(2万2000円のオプションで10.25インチも装着可能)、フロントウィンドウに情報を照射して表示するアクティブドライビングディスプレイ、17インチアルミホイールなどを標準装着した。
この装備内容は新型ヴェゼル e:HEV Zと同等か、それ以上の水準になる。マツダ CX-5 20S プロアプティブは、価格も含めて共通点が多い。
■勝者:CX-5の勝ち
勝負その2! ボディサイズと取りまわし性比較
両車のボディサイズを比べてみよう。新型ヴェゼル e:HEV Zは、全長4330mm×全幅1790mm×全高1590mmになる。対するCX-5 20S プロアプティブは、全長4545mm×全幅1840mm×全高1690mmだ。つまりCX-5は、新型ヴェゼル e:HEV Zに比べて215mm長く、50mm広く、100mm高い。
そしてホイールベース(前輪と後輪の間隔)は、ヴェゼルが2610mm、CX-5は2700mmになる。ただし最小回転半径は、新型ヴェゼル e:HEV Z、CX-5 20S プロアプティブともに5.5mで等しい。CX-5はボディが大柄な割に、小回りの利きが良いことになる。
それでもCX-5はボディがひとまわり大きい。しかもボディ後端のピラー(柱)が太めで後方視界を損なっている。従って縦列駐車などは、ヴェゼルの方が容易に行える。
■勝者:ヴェゼルの勝ち
勝負その3! 内装の質感/視認性/操作性比較
内装の造りは、CX-5が少し上質に感じる。メーターの視認性は同程度だが、CX-5に標準装着される8.8インチのセンターディスプレイは横長だ。画面の上下寸法が乏しいから、カーナビの進行方向を上向きに表示すると少々見にくい。機能は一長一短だ。■勝者:引き分け
勝負その4! 前後席の居住性と乗降性比較
前席の座り心地は、両車ともに似ている。柔軟な印象はないが、腰の近辺をしっかりと造り込んで乗員の体を確実に支える。着座姿勢が乱れにくく、長距離を移動する時も快適だ。後席は、新型ヴェゼルが座面を少し柔軟に仕上げ、腰の下がる座り方になる。CX-5は硬めだが、ボリューム感を持たせた。欧州のSUVに多いタイプの座り心地だ。
ボディサイズはCX-5が大きいが、後席のスペースには意外に差が付かない。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は、新型ヴェゼルが握りコブシ2つ半、CX-5は2つ分だ。ヴェゼルはボディがコンパクトでホイールベースも短いが、後席の足元空間はCX-5を上まわる。頭上の空間は、新型ヴェゼルは握りコブシ1つ分、CX-5は全高が100mm高いこともあって、握りコブシ1つ半を確保する。後席の幅も全幅のワイドなCX-5が広い。
■勝者:CX-5の勝ち
勝負その5! 荷室の使い勝手とシートアレンジ比較
荷室の広さはボディの大きなCX-5に余裕がある。後席を使っている状態で、荷室の奥行寸法は新型ヴェゼルが800mm弱だが、CX-5は950mm前後に達する。荷室の幅もCX-5は100mmほど広い。その代わり、新型ヴェゼルはシートアレンジが多彩だ。燃料タンクを前席の下に搭載したので、後席を畳むとボックス状の荷室に変更できる。後席の座面を持ち上げて、車内の中央に背の高い荷物を積むことも可能だ。
■勝者:引き分け
走行性能や燃費はハイブリッドで余裕ある新型ヴェゼル圧勝! CX-5に高い走行性能を求めるなら2.5リッターかディーゼルを推奨する
勝負その6! 走行性能と燃費比較
新型ヴェゼル e:HEV Zのハイブリッドシステムでは、エンジンは主に発電を行い、駆動はモーターが担当する。そのために運転感覚は電気自動車に近い。加速は滑らかで、アクセルペダルを踏み込んだ時の反応は機敏だ。
e:HEVの動力性能をノーマルエンジンに当てはめると2.3リッターに相当する。車両重量は1380kg(2WD)だから、相応の余裕を感じる。
その点でCX-5の2リッターエンジンは、幅広い回転域で動力性能が不足する。街中を走るのであれば不満はないが、高速道路や峠道を通って長距離を移動する場合、車両重量が1520kgに達するので排気量も2.3~2.5リッターは欲しい。
カタログ燃費[WLTCモード燃費・FF]は、新型ヴェゼル e:HEV Zが24.8km/L、CX-5 20S プロアプティブは14.6km/Lになる。ヴェゼルの燃料代は、CX-5の約60%で済む。
■勝者:ヴェゼルの勝ち
勝負その7! 走行安定性と乗り心地比較
安定性と操舵感を比較すると、ヴェゼルには軽快感が伴う。良く曲がって後輪の接地性も高い。CX-5も操舵角に応じて忠実に曲がり、安定性も満足できるが、ヴェゼルに比べるとボディの重さと重心の高さを意識させる。例えば下り坂のカーブを曲がっている最中に、危険を避ける目的でブレーキペダルを踏んだ時など、ヴェゼルの方が後輪の接地性を損ないにくい。
乗り心地は両車ともに粗さを感じさせず相応に快適だが、ヴェゼルは足まわりが柔軟に伸縮する印象だ。CX-5は少し硬めで、引き締まり感が伴う。
■勝者:ヴェゼルの勝ち
総合評価! CX-5の2リッターはややパワー不足だが上位クラスが200万円台で買えるのは魅力! しかも新型ヴェゼルより納期が短い利点も
勝負その8! 買い得度比較と総合評価
CX-5の場合、2リッターエンジン車の価格は2.5リッター車よりも割高だ。
ガソリンエンジンのLパッケージでは、2WD、4WDともに2.5リッターを搭載して、4WDの価格は2WDに比べて23万1000円高い。一方、ベーシックなSとプロアクティブでは、2WDのエンジンが2リッター、4WDは2.5Lと区分される。
それなのに2WDと4WDの価格差は23万1000円でLパッケージと等しい。つまりプロアクティブで2WDを選ぶと、排気量が500cc減らされてしまう。
この点も踏まえると、マツダ CX-5の主力エンジンはやはりクリーンディーゼルターボか2.5リッターのガソリンだ。CX-5のディーゼル搭載車と、ホンダの上位クラスSUV「CR-V」を比較すれば、CX-5が買い得と受け取られる。その点で CX-5 20S プロアプティブの場合は、前述の通り少しパワー不足だから、新型ヴェゼル e:HEV Zの方が幅広いユーザーに適した一般的な選択になる。
しかし特に高い性能は求めず、車内が広くて存在感も強いSUVが欲しい時は、CX-5を検討する手もある。この価格帯の一般的な選択は新型ヴェゼルだが、CX-5も試して違いを確認したい。居住空間や荷室の広いCX-5に魅力を感じることもある。
なお新型ヴェゼルは納期が長い。販売店によると「ヴェゼルを2021年5月下旬に契約した場合、新型ヴェゼル e:HEV Zの納車は10月、最上級のPLaY(プレイ)は2021年(来年)5月頃になる。今後は増産によって納期を短縮する可能性もあるが、今のところその話は聞いていない」という。マツダでは、CX-5は「2021年5月下旬の契約なら納車は8月」とのことだ。納期の違いにも注意して選びたい。
■勝者:ヴェゼルの勝ち
[筆者:渡辺 陽一郎(カーライフジャーナリスト)]
※CX-5・新型ヴェゼルとも、掲載写真は今回比較する該当グレードと異なる場合があります
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