なぜ今の新車はスペアタイヤではなくパンク修理キットが一般的なのか!? そのワケはスペース効率とパンクの頻度の低さにあった
MōTA / 2021年6月4日 12時10分
かつてのクルマはパンクした際などに使うスペアタイヤを、ラゲッジルームやクルマの背面に当たり前に積んでいた。だが、いまの新車はほとんどスペアタイヤではなくパンク修理キットなるモノが標準装備となっているのだ。一体なぜスペアタイヤが姿を消しつつあるのか!? 結論から言えばパンクの発生頻度が低いからという理由であるが、一体どんな理由なのか!?
パンク修理キットが当たり前に! そのワケはパンク発生頻度の低さにあり
普段気にすることはあまりないが、今新車で買えるクルマにはパンクした際に使用するスペアタイヤを積んでいるモデルは珍しい。
多くのモデルがパンク修理キットというモノで済ませている。ここではスペアタイヤの積載が激減し、パンク修理キットが当たり前になったワケを考えていきたい。
スーパーカーでは昔から当たり前だった!?
もともとパンク修理キットはフェラーリのようなスーパーカーなど、タイヤが前後異径かつサイズも巨大なためスペアタイヤが積めないこともあり、1990年代はじめには使われていた。日本車でパンク修理キットが普及したのはここ10年ほどだが、その理由として大きいのはスペアタイヤを使う頻度(パンクに遭遇する頻度)の低さである。
というのも特に日本は舗装されていない道がほとんどなく、道路環境の整備が進んでいる。加え、タイヤの性能も向上しており、スペアタイヤを使う頻度は平均すると10年に1回程度と言われている。
そのためスペアタイヤは一度も使われずにクルマの寿命を迎え、クルマと一緒に廃棄されるケースも多いという。
収納スペースの向上も期待! パンク修理キットのメリットとは!?
ならばスペアタイヤではなくパンク修理キットにした方が、環境負荷が少なく、スペアタイヤよりコストが安い。そして10kg程度の軽量化が期待できるのに加え、スペアタイヤはリアオーバーハングと呼ばれるクルマの後端近くに置かれることが多いので、省ければ運動性能の向上にもつながる。さらにいえばスペアタイヤを置いていたところを収納スペースにできることもあるのだ。
上記のようにメリットが多いため、スペアタイヤからパンク修理キットに移行しているというのは、単純と言えば単純な話である。
パンク修理キットでは対応できないパンクも! スペアタイヤのメリットとは!?
パンク修理キット使用でタイヤ交換代が高額になるケースも
しかし、パンク修理キットの落とし穴とスペアタイヤのメリットというのも少なくないのだ。
具体的には、トレッド面(地面との接地面)で釘を踏むなどの通常のパンクならパンク修理キットで対応できる。だが、縁石でタイヤの側面を切ってしまった、穴が2箇所開いてしまったなどのケースだと、パンク修理キットでは対応できず、お手上げに近い状態となる。 そしてパンク修理キットを使うと、パンクしたタイヤは交換が必要となるのだ。またパンク修理キットの修理剤はベットリとした液体のため、ホイールなどに付着した修理剤を洗い流す手間も必要になるので、修理に何かとお金が掛かかってしまうのだ。それがスペアタイヤであれば交換すれば確実にその場から動ける。そしてクルマの性格や破損の程度によっては安価なパンク修理で対応可能という場合もあり、スペアタイヤのメリットは捨てがたいものがある。
スペアタイヤはオプションに! 万一のことを考えると選びたいパーツ
もし「パンク修理キットが標準のクルマでスペアタイヤが欲しい」というなら、現行車ではトヨタ車がメーカーオプションでスペアタイヤを設定している車種も未だ多い。新車なら注文する際に選ぶといいだろう。ちなみに1万5000円程度で、トヨタ センチュリーはクルマの性格もあり5万4450円する代わりに標準装着サイズのタイヤ&ホイールが付くのだった。
ちなみに筆者所有のクルマは、トヨタ86が中古車での購入ながらオプションのスペアタイヤが付いており「ラッキー」と感じたほど。
もう一台のトヨタ GRヤリスはスペースの関係もありスペアタイヤはオプションでも設定がないので、「もしタイヤ側面などのパンクがあったらどうしよう」とちょっとビクビクしているという状況である。
パンク修理キット搭載車なら事前のシミュレーションを!
またイザというときのため、スペアタイヤなら一度交換してみる、パンク修理キットなら取扱い説明書を読んでシミュレーションしておくといった、予行練習をしておくと安心だ。
と書いたが、路上でのタイヤ交換は危険が伴うことも多いので、パンクの際の対応に危険を感じたり、自信がないなら、JAFや任意保険付帯のものといったロードサービスを呼ぶのが間違いない。
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【筆者:永田 恵一】
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