日産 新型ノート オーラとノートは何が違う!? 3ナンバー&ハイパワー化、高価なオプションのLEDライトなども標準化され42万円の価格差もむしろお得だった
MōTA / 2021年6月15日 19時0分
2021年の秋、日産 新型ノートに新たなラインナップとして上級シリーズの「NOTE AURA(ノート オーラ)」が追加された。車幅が拡大し3ナンバー化され、内外装の質感も向上したノート オーラについて、国内外の新車事情に精通するカーライフジャーナリストの渡辺 陽一郎氏が徹底解説する。42万円の価格差も、ノートでは高価なオプション装備だったLEDヘッドライトやアラウンドビューモニターなども標準装備化され、むしろお得なくらいだという!
日産 新型ノート オーラと新型ノートは「性能」と「装備と価格」に大きな違いがある
日産のコンパクトカーにおける主力車種「NOTE(ノート)」は、2020年12月23日に新型を発売(発表は11月)して、売れ行きも堅調だ。グレード構成の特徴は、従来型と違って通常のノーマルエンジン(ガソリンエンジン車)を用意しないこと。ハイブリッドのe-POWER(イーパワー)のみをラインナップした。
そして日産は2021年6月15日(火)、上級シリーズの「NOTE AURA(ノート オーラ)」を新たに加えた。発売開始は少し先で、2021年秋の予定だ。価格の安いノーマルエンジン車を廃止した代わりに、上級仕様を追加したことになる。現行ノートを既に購入されたユーザーの中には、半年後にノートオーラを追加されて、落胆したケースもあるだろう。この点を開発者に尋ねると「ノートとノートオーラは別の車種と考えている」と返答された。
ノート オーラと新型ノートを比べてみると、「性能」と「装備と価格」に大きな違いがある。この点について解説していこう。
性能が一段とアップした新型ノート オーラ! 新型ノートに比べ向上したのはモーターの出力と操縦安定性だ
日産 新型ノートと新型ノート オーラの違いだが、まずは性能が異なる。日産 新型ノート オーラが搭載する発電用1.2Lエンジン、駆動用モーター、駆動用リチウムイオン電池は、基本的にノートと共通だ。しかし駆動用モーターの性能は高められた。ノートは最高出力が85kW(116馬力)、最大トルクは280Nm(28.6kg-m)だが、ノートオーラは最高出力100kW(136馬力)、最大トルク300Nm(30.6kg-m)に強化されている。最高出力は18%、最大トルクは7%の向上だ。
車両重量もノート「X」グレードが1220kgに対し、ノート オーラ「G」は1260kgだから40kg重いが、それでも後者の動力性能は力強い。アクセルペダル軽く踏みながら巡航している時、登坂路に差し掛かって踏み増すと、ノート オーラはノートよりも駆動力が力強く沸き上がる。
急な登り坂でアクセルペダルを深く踏んだ時も、ノート オーラでは高回転域の伸びが良い。アクセル開度を一定に保って走る時は、ノート オーラの動力性能が特に高い印象は受けないが、アクセルペダルを踏み増した時の反応に違いを感じる。またノート オーラはフロントウィンドウや天井部分の遮音を入念に行ったから、ノイズも抑えられている。その代わりノート オーラは、WLTCモード燃費が悪化する。ノートXの数値は、前輪駆動の2WDが28.4km/L、後輪をモーターで駆動する4WDは23.8km/Lだが、ノート オーラの燃費はFFで27.2km/L、e-POWER 4WDで22.7km/Lだ。比率に換算すると、ノートオーラの燃費数値はノートに比べて4%ほど悪い。
3ナンバーのワイドボディ化と17インチの高性能タイヤにより、機敏で安定感ある走りを得た
走行安定性と操舵感覚も異なる。新型ノート オーラはノートに比べると、操舵に対する反応の正確性が高い。ノートも正確に反応するが、ノートオーラはさらに機敏に仕上げた。下り坂のカーブでも、ノート オーラはノート以上に後輪がしっかりと接地するから、危険を避ける時でも挙動を乱しにくい。ノート オーラは操舵に対する反応が機敏だから、運転の仕方によってはボディの揺り返しが大きめに生じるが、4輪はしっかりと踏ん張る。
この違いが生じた背景には複数の理由がある。まずはタイヤサイズだ。
ノートのタイヤサイズは15インチ(185/65R15)と16インチ(185/60R16)だが、ノート オーラは17インチ(205/50R17)に大径化される。タイヤの銘柄も異なり、以前試乗したノート Xは転がり抵抗を抑えたヨコハマ ブルーアースFE AE30を装着していたが、ノートオーラは走行安定性にも配慮したブリヂストン トランザ T005Aだ。またノート オーラの全幅は3ナンバーサイズの1735mmで、5ナンバーの枠内に収まるノートの1695mmに比べて40mm広い。そのためにトレッド(左右のホイールの間隔)も20mm広い1510mmになり、4輪の接地性が向上した。
前輪のパワーアップに伴い、e-POWER 4WDのコーナリング性能も向上 乗り心地は更なる改善を望みたい
後輪をモーターで駆動するe-POWER 4WDの制御も異なる。後輪のモーター出力はノートと同じだが、ノートオーラの4WDは、良く曲がる性能を際立たせた。その代わりノート オーラに不利な面もあり、全幅の拡大に加えて最小回転半径も拡大した。ノートの4.9mに対して、ノート オーラでは5.2mになるから大回りだ。
乗り心地はノートと同等だが、時速40キロ以下の低速域では、上下に揺すられる動きが気になった。大きな段差を乗り越えた時には衝撃を上手に吸収するが、細かなデコボコを通過した時は不満を感じる。
ノート オーラはスポーツモデルではなくプレミアム指向のコンパクトカーだから、操舵に対する反応はもう少しマイルドに抑え、乗り心地を向上させたい。
ノート オーラとノートの価格差は約42万円だが、装備差を差し引けばわずか15万円で3ナンバー化や質感の向上を手に入れられる
日産 新型ノート オーラと新型ノートの装備については、内装の造りの違いに注目したい。ノート オーラでは、インパネの上面などにツイード調織物を巻き付けた。合成皮革や木目調パネルも使われ、質感を向上させている。
本革シートの造りは、3層構造も含めてノートと同じだが、本革の内装色はブラックに加えて明るいグレー(エアリーグレー)も選べる。グレーの内装では木目調パネルも明るい色彩になり、ブラック内装のみのノートとは異なる上質なリラックス感覚を表現している。
ノート オーラの装備内容は、大半がノートを踏襲した。ただし上級の装備は、ノートではセットオプション、ノート オーラには標準装着される品目も多い。ハイビーム時に対向車の眩惑を抑えるアダプティブ機能を備えたLEDヘッドランプ、後方の並走車両などを知らせる後側方車両検知警報、車両の周囲を上空から見たような映像として表示するインテリジェントアラウンドビューモニター、液晶表示のインテリジェントルームミラー、アルミホイールなどは、ノートでは最上級のXでもオプション設定だが、ノート オーラは全車に標準装着する。さらにメーターパネルはノートとは異なり、全面液晶の12.3インチカラーディスプレイにバージョンアップしている点も大きな違いである。
ノート オーラで最も買い得感が高いのは、プラス9万円弱で本革シートなどが備わる「レザーエディション」だ
日産 新型ノート オーラ Gの価格は261万300円、ノート Xは218万6800円だから、両車の価格差は42万3500円だ。この金額のうち、約27万円は先に挙げた装備の価格換算額で埋まる。そうなると残りの約15万円が、ノート オーラの3ナンバーボディ、質感を高めた内装、動力性能、走行安定性、静粛性の向上に支払われる対価だ。
このように考えると、ノートオーラは価格を割安に抑えている。
新型ノート オーラの中でも、特に買い得なのがレザーエディションだ。8万9100円を加えると、本革シートと後席のセンターアームレストが加わる。ノートの場合は本革シートがセットオプションに含まれ、そこから本革シート+後席センターアームレストの価格を割り出すと約14万円に相当する。つまり新型ノート オーラでは、ノートよりも割安に本革シートを装着できることになる。
セットオプションが割高だったノートに対し、ノート オーラは標準装備をさらに充実させることでお得感を増した
日産 新型ノート オーラの一般的な選び方は、G(261万300円)に、プロパイロットやBOSE プラスサウンドシステムのセットオプション(40万1500円)を加える買い方だ。総額は301万1800円になる。ノートは、X(218万6800円)に、プロパイロットなどのセットオプション(42万200円)、LEDヘッドランプなどのセットオプション(9万9000円)を加えるもので、総額は270万6000円になる。差額は約31万円で、この中には、先に述べた3ナンバーボディや走りの向上に加えて、BOSE プラスサウンドシステムとアルミホイールも含まれる。
既に現行ノートを購入し、特に高価なオプションを追加したユーザーの気持ちを考えると、半年前のノートの発売時点でノートオーラの存在や価格設定なども明らかにすべきだった。とはいえ、ノーマルエンジンの廃止を補えるように新型ノート オーラの価格を戦略的に安く抑えた点は評価出来る。
[筆者:渡辺 陽一郎(カーライフジャーナリスト)/撮影:茂呂 幸正・NISSAN]
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