ただの雪国仕様にあらず! 「ノート オーラ e-POWER 4WD」はFFモデルよりも安定感を増しコーナリングも楽しめる万能マシンになった
MōTA / 2021年6月21日 12時26分
日産は2021年6月15日(火)、2020年12月にフルモデルチェンジを実施したコンパクトカーの新型「ノート」に、上級シリーズの「NOTE AURA(ノート オーラ)」を新たに加えた。2021年秋に発売される予定で、内外装のデザインや価格など詳細が発表された。 ノート オーラにも、ノート同様にe-POWER 4WD仕様が設定されている。これがなかなかの仕上がりだった。ノートとの違いを含め、ノート オーラ e-POWER 4WDについて解説しよう。
低速専用だった先代ノートのe-POWER 4WDが、高出力化により全車速域対応の高性能4WDに生まれ変わった
2020年12月にフルモデルチェンジを実施した日産の新型ノートは、通常のガソリンモデルを廃止し、全車をハイブリッドモデル「e-POWER(イーパワー)」に集約させた。FF(前輪駆動)モデルに加え、4WDモデルも設定されているが、今回の刷新に合わせ四輪駆動のシステムも新しくされている。従来型のノート e-POWER 4WDは、マーチなど他のコンパクトカー同様に後輪駆動用の小型モーターを備えていた。最高出力はわずか3.5kW(4.8ps)で、低速域の発進補助として限定的に稼働するものだった。
これに対し新型ノートでは、後輪駆動用に高出力の50kW(68ps)モーターを新設。従来型と較べると約14倍の出力を得たうえ、全車速で4WDシステムを稼働出来るようにした。また、減速時の回生ブレーキ(エンジン車におけるエンジンブレーキのようにモーターを用いて減速し、その際に発電した電力をバッテリー貯めることが出来る)も作動し、エネルギー効率も大幅にアップしている。モーター制御の4WDは安心感が違う! 開発者も太鼓判
前後車輪ともにモーター制御とした利点はさらにある。前後の駆動力を、エンジン駆動に比べ緻密に制御することが出来るようになったのだ。 日産自動車 車両実験部 テクニカル エキスパートの渡辺 大介氏は『深い雪や急な上り坂などでも力強く走ることができます。さらに前後のモーターを細かく制御しているのでコーナリング時や日常でよく使う 50-60km/hでの安心感を感じていただけると思います』と、ノート e-POWER 4WDの利点について説明する。新型ノート オーラのe-POWER 4WDは前後回生ブレーキにより姿勢変化が抑えられ、緻密な駆動制御によりコーナリングも楽しめる!
それでは、新型ノート オーラのe-POWER 4WDではどこが進化したのだろうか。ノート オーラでは、動力源となるモーターの出力を18%(85kW・116ps→100kW・136ps)、トルクを7%(280Nm→300Nm)アップしている。低速から高速域に至るまで走行性能に余裕をもたせた。だから、通常のノート e-POWERに比べ、一段とスポーティな走りを楽しむことが出来るようになった。
ノートでは、車両のモード切り替え(ECO・NORMAL・SPORT)に応じて回生ブレーキの減速度合いが変化する。
新型ノート オーラ e-POWER 4WDの場合、SPORTモードでシフトを減速度の強いBレンジをセレクトすると、加速力は最大化され、減速時も最大0.2Gという回生による強い減速力を得られる。
回生ブレーキを前後で分担することで急減速時の姿勢変化を軽減させ、同乗者にも優しい設計に
この際に役立つのが新しい4WDシステムだ。前輪のみならず後輪でも回生を受け持つことで、前後の車輪でバランス良く減速。減速時、強く前へ倒れ込むような姿勢を抑えてくれる効果があるのだ。ドライバー以上に、同乗者に対して優しい設計だと言える。前後の駆動力配分も車両の姿勢に合わせ瞬時に変化するe-POWER 4WDだが、タイヤの大径化やワイドトレッド化によって、カーブでの安定感も向上。通常のノート e-POWERに比べ、さらに走りが楽しめるハンドリングになった。
ノート オーラ e-POWER 4WDは、通常のFFモデルに対し25万8500円高。ただし4WDでは寒冷地仕様の「ほっとプラスパッケージ」(ステアリングヒーターや前席ヒーター付シート、ヒーター付ドアミラー、リアヒーターダクト)などが標準装備化され、買い得感は高い。せっかく「ノート」ではなく上級仕様の「オーラ」を手に入れるなら、安定感を増しコーナリングも楽しめる4WDも候補に入れて欲しい。雪国ユーザー以外でも、ノート オーラ e-POWER 4WDは十分検討に値する仕上がりとなった。
[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダ トオル/撮影:茂呂 幸正・島村 栄二・NISSAN]
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