新型ノート オーラ vs フィット LUXE(リュクス)比較! より“高そうに見える”国産プレミアムコンパクトは“オーラ”のほうだ
MōTA / 2021年6月30日 17時0分
最近“プレミアムコンパクト”という言葉を聞く機会が増えた。子育てを終えた層などが大きなセダンやSUV、ミニバンなどから小型車に乗り換える際に、上級モデルに引けを取らない上質さを持つクルマとして注目を集めている。今回は日産とホンダが相次いでプレミアムコンパクトとして発表した2台「日産 ノート オーラ」と「ホンダ フィット リュクス」を比較してみよう。
“プレミアムコンパクト”とは、上質で安全装備の充実した、上級車からの乗り換え層も満足できるコンパクトカーのこと
日常生活の中で、便利に、快適に使えるクルマとして、コンパクトカーの上級モデルが注目される。ボディが小さければ、狭い裏道や駐車場でも運転しやすく、上級モデルであれば快適に移動できる。
輸入車の中でも高級車ブランドの小型モデル、メルセデス・ベンツ Aクラス、BMW 1シリーズ、アウディ A3などを上級のコンパクトカー、すなわち“プレミアムコンパクト”と呼ぶこともある。
コスト重視のコンパクトカーをベースに“プレミアム”モデルを開発するには、ベース車の素性が大事
このようなクルマ造りをすると、内装の質、シートの座り心地、乗り心地、ノイズなどに不満が生じやすい。上級モデルを目指して内装を豪華に仕上げても、結局は乗り心地やノイズで素性が明らかにされてしまう。
根本的に上質なコンパクトカーを開発することも可能だが、小さくて価格が高いと、大量に売るのは難しい。そうなると既存の割安なコンパクトカーをベースに、内外装の質を高めた上級グレードを設定する。この時にも、先に述べたベースとなる車種の素性をいかに高められるかが問われるわけだ。
「日産 ノート オーラ」は上級コンパクトカーを名乗るにふさわしい出来栄え ライバルは「フィット リュクス」だ
ノート オーラはベース車の42万円高、装備差と上級化の仕様変更を考えれば妥当な価格設定
モーターの出力を向上させて、サスペンションにも変更を加えることにより、走行性能も高めた。ノートは現行型になってプラットフォームを刷新するなど、各部の質を高めた。そのためにノート オーラは、さらに上質なコンパクトカーに仕上がっている。
ノート オーラの価格は、Gが261万300円だ。ノートXに比べて42万3500円高いが、この内の約26万円は、装備の上級化に相当する。内外装や走行性能を上級化した対価は約16万円だ。この価格なら買い得といえるだろう。
フィット リュクスはベース車の31万円高、装備差を考えればこちらも妥当な価格設定だ
またリュクスはフィットの上級グレードで、シートは本革張りになり、内装の素材にも上質なプライムスムースやメッキの装飾を使う。
ノート オーラとフィット リュクスのコストパフォーマンスや性能を比較 コスパが良いのはフィット リュクス
エンジン出力はノート オーラが高く、アクセルペダルを深く踏む機会も少ない。そのためにパワフルで静かに感じる。ただし登坂路などでアクセルペダルを深く踏むと、ノート オーラでは3気筒エンジン特有のノイズが聞こえる。
また先に述べた高速巡航時の制御の違いにより、長距離を移動する時には、フィットの方が燃料消費量を節約しやすい。
乗り心地はノート オーラとフィット リュクスともやや改善の余地あり
フィットは転がり抵抗を抑えた低燃費指向のタイヤが硬い。フィットで乗り心地が最も快適なのは、SUV風のe:HEVクロスターだ。扁平率が60%の16インチタイヤを装着したことで、空気の充填量も多く、柔軟な乗り心地になった。両車ともに乗り心地には改善の余地を残す。
それでもノート オーラはプレミアム指向のコンパクトカーだから、曲がる性能はもう少し穏やかに抑えて、乗り心地を向上させると良い。走行安定性と乗り心地の総合力ではフィットを上まわるから、セッティング次第で走りの上質感を向上させられる。
ノート オーラとフィット リュクスの内装を比較 “高そうに見える”度はノート オーラが一歩リード
ノート オーラは、ノートの上級グレードというよりも、ノートとは別の車種として上質感を追求した。インパネなどの内装には、ツイード調の織物が使われ、木目調パネルも採用されている。内装の優劣は人によって異なるが、「高そうに見える」のはノート オーラだろう。
フィットは燃料タンクを前席の下に搭載したので、後席を格納した時の荷室容量も大きい。プレミアム感覚とは別の話だが、実用性や割安感はフィットが上まわり、そこにこのクルマの本質がある。リュクスも本革シートを装着して価格は安い。
結論! 質感を重視するならノート オーラ、実用性やコスパを求めるならフィット“HOME(ホーム)”を推奨
そこでノート オーラは、装備を充実させた割に価格を抑えた。ノートに比べて動力性能を向上させ、3ナンバーサイズのボディも採用しながら、前述の通り内外装や走りを上級化した対価は約16万円に収まる。販売目標も1年間に5万1000台(1か月平均で4250台)と多い。ノートは1か月の目標が8000台だから、ノートシリーズの35%をオーラが占める方針を打ち出した。
質感を求めるならノート オーラ、実用性や割安感を重視するならフィットのホームという選択が成り立つ。
[筆者:渡辺陽一郎/撮影:茂呂幸正・小林 岳夫・NISSAN・Honda・アウディジャパン]
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