バブル絶頂期にZ32が大ヒット! しかし消滅の危機も… 50余年の歴史を誇る“日産 フェアレディZ”を振り返る【4代目Z32型~7代目(新型)編】
MōTA / 2021年7月4日 13時0分
50年以上続く唯一の国産スポーツカーブランド “日産 フェアレディZ”。1969年に登場して以来現行型で6代目を数える、歴史あるビッグネームだ。その52年にわたる歴史を駆け足でたどる記事の第2回は、前回の初代(S30型)から3代目(Z31型)に続き、4代目(Z32型)から現行型、さらにはリリースが予告されている次期モデルまでをお送りしたい。
280PSを得て本格的スポーツカーに! バブルと共に現れ大ヒット作となった4代目フェアレディZ(Z32型)[1989~2000]
1989年のフルモデルチェンジで誕生した4代目(Z32型)では、スポーツカーとしてさらに一段階高いステージにアップさせるべく、大幅な路線変更を敢行した。キャビンを前方に移動しノーズを短縮・幅を1.8m前後まで拡大してプロポーションを大きく変更。全高も低めてワイド感を強調した。内装もガラリと変わり、ポルシェ928のようななだらかな面にメーターナセル+サテライトスイッチが突出したデザインに変わった。 パワートレーンは3代目のVG型3リッターV6エンジンを引き継いだが、国内自主規制値280PSを発生するツインターボ版を設定。足回りにはスカイライン同様、四輪アクティブ操舵システムの「スーパーHICAS(ハイキャス)」を採用し、ハイパフォーマンススポーツカーにふさわしい動力性能・運動性能を獲得した。 ボディバリエーションでは従来通りの2シーター・2by2にノーマルルーフ・Tバールーフを用意したが、1992年にはコンバーチブルを追加。1998年のマイナーチェンジではフロントバンパーのデザインを大きく変更している。消滅の危機を乗り越え、見事に復活した“Z”ブランド(Z33型)[2002~2008]
4代目は、登場当初北米市場で好評だったが、その後アメリカでスポーツカーの保険料が高騰。販売台数が激減し、1996年には北米への輸出と販売を終了。1990年代後半の日産は、経営危機が囁かれた時期でもあり、開発が進んでいた5代目フェアレディZのプランは、いったん凍結されてしまった。 そんな中、アメリカ日産は、「日産の象徴はズィー・カー(現地での愛称)」である、として「240Zコンセプト」を6代目シルビア(S14型)ベースで独自開発。1999年のデトロイトショーに参考展示した。その反響はとても大きく、「やはりZの復活は必須」と考えた関係者はZ復活への働きかけを本社に行うことに。そして2000年、当時の社長カルロス・ゴーンは、フェアレディZの開発再開を承認。2年後の2002年に、晴れて5代目(Z33型)の発売が開始された。 厚みのあるアンダーボディ・こぶりなキャビン、大きく張り出したフェンダー、三角形のテールランプなどが特徴のデザインで、Z32型とはまた違うアプローチのスタイルを持つ。プラットフォームを11代目スカイライン(V35型)と共用してコストを削減、ボディバリエーションも2シーターのみに集約されたが、2003年になってオープンモデルの「ロードスター」を追加した。
エンジンはVQ型の3.5リッターV6を搭載。当初は280PSを発生、のちに294PS、さらに313PSまでアップ。スポーツカーとして一線級の性能を誇った。
歴代Zで最高のスポーツカーに進化した6代目(Z34型)[2008~2021]
現行型となる6代目は(Z34型)は、2008年にデビューした。5代目に比べ全長を65mm、ホイールベースを100mm短縮、V6エンジンは3.7リッターになり、最高出力も336PSへとアップしている。トレッド拡大、ボディ剛性向上、ブレーキ強化、サスペンションの4輪ダブルウィッシュボーン化なども行なっており、5代目の正常進化版という言葉だけでは足りないほどに、走りのレベルを全体的に高めている。 ボディバリエーションは5代目同様にクーペとロードスターを用意。後者はねじり剛性のアップと同時に、軽量化も行なっている。外観ではロングノーズスタイルが強調され、ボリューミーなフェンダーと相まって、スポーツカーらしいスタイルを醸し出す。
2012年に実施されたマイナーチェンジでは、エクステリアの小変更でフロントバンパーにデイライトが組み込まれた。足回りでは、ショックアブソーバーの減衰力特性を変更したユーロチューンドサスペンションを全車に採用している。
原点回帰のスタイリング 発売が待ち遠しい次期モデル(Z35?型)新型フェアレディZに期待大![2021~]
そして2020年9月。次期フェアレディZのプロトタイプが発表され、大きな話題となったのは記憶に新しい。6代目からキャリーオーバーしている要素が多々見られるものの、見事なロングノーズスタイルを形成。ヘッドライト・ボンネット・サイドウインドウ・車名書体などのディティールからは、初代フェアレディZを強く彷彿させる。2021年秋と目される発売が、今から待ち遠しい。[筆者:遠藤イヅル/撮影:島村 栄二・茂呂 幸正・NISSAN]
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