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【新型GR86と新型BRZ比較試乗】エンジン特性や足回りなどまったく別物だった! 街乗りや長距離運転なら新型BRZ、サーキットを攻めるならGR86がオススメ!

MōTA / 2021年7月19日 19時30分

トヨタ 新型GR86

2012年に初代モデルがデビューして以来、初のフルモデルチェンジを迎えた新型GR86とBRZ。初代モデルオーナーからすれば、待ちに待った登場であり、一体両者のどこが違うのか? が気になる方も少なくないはず。そこで今回はエンジン特性や足まわりといったメカニズムを中心に新型GR86とBRZの違いをご紹介! 結論から言えば、初代モデル以上に差別化を図っていて、街乗り重視ならBRZをサーキットなど走り込みたい向きはGR86をオススメしたい。

トヨタ 新型GR86

【新型GR86/BRZデザイン比較】内装の違いはカラーのみ、外装はバンパーで差別化

初代86とBRZの後期型で歩み寄った両車の走りは、新型で再び大きくキャラクターを変える。その味付けの違いは、それぞれ両メーカーの開発陣のコダワリによるものだ。

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【外装比較】開発当初はどちらも同じデザインだったが、フロントバンパーで差別化

走りの前に、まず外観デザインについて、サイドとリアは同じだが、フロントバンパーが大きく異なるのは一目瞭然だ。

実はもともと2台ともGR86のデザインとなる予定で話が進んでいたところ、どうにもスバル車としては似合わないことから、作り分けられる運びとなった。

他の車種を見ても、開口部がトヨタは下端が広い末広がりのデザインが多いのに対し、スバルはヘキサゴングリルが多く、同じにするのは無理があるように感じるところ、このようになった。

初代は86はまだしも、BRZはやや物足りなさを覚えていたのだが、新型はGR86ともども両端にアクセントが配されたことで、スキのないデザインになったと思う。

【内装比較】シートカラーなど、両者の違いは色

新型GR86の内装は最上級グレードにレッドをメインとした内装色がラインアップされる見込みだ。対してBRZの内装はブラック基調となる

インテリアの詳細はGR86についての詳細がまだわからないが、カラーやトリムの設定が現行型でもだいぶ違ったことを思うと、おそらく次期型もそれなりに差別化されるはずだ。

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【走行性能比較】絶対的なパワーは同数値ながら、GR86はクイックな反応なのに対してBRZは穏やかな印象

走りについて、新型GR86/BRZも初代の後期モデルのようにダンパーと電動パワステの差別化にECU(走る・曲がる・止まるといったクルマ本来の機能をコンピューター制御システム)を加える程度の差別化を念頭に開発が進められてきて、BRZの仕様でほぼ完成の域に達していた。

それに加えて新型GR86はより「GR」らしさを追求すべく、できる限り作り分けるはこびとなった。それが去年の秋頃の話だ。

排気量拡大するも最高回転数は初代モデルの7500回転を踏襲

新型GR86と新型BRZに搭載されるのは、2.4リッター水平対向エンジンである。最高出力は235馬力/7000rpm、最大トルクは250N・m/3700rpmを発揮する。ちなみに現行モデル比で最高出力は28馬力パワーアップしている

ボア拡大により2.4リッター化し全面新設計したエンジンは、全域でトルクの向上を実現している。

だが、そうすると通常は最大回転数が落ちてしまいパワーが求めにくくなるところを、最高到達回転数の7500rpmを変えることなくパワーも向上させている。

その上で、開発目標値である235psの最高出力と250Nmの最大トルクの数値は同じでも、両車では味付けがだいぶ違うのだ。

新型GR86はレスポンスの良さが特徴。対して新型BRZは一般道での使い勝手を重視

ざっくりいうと、リニアな特性のBRZに対し、GR86はややスロットルのゲイン(アクセル開度に対する出力比率)が高められている。

どういうことか? 新型GR86ではレスポンスのよさを感じられるよう、小さなアクセル開度でもトルクを多く出している。

それに対し、BRZはエンジン自体の性能が向上していることから、むしろ従来よりもゲインを下げて踏み始めのトルクを穏やかに立ち上げ、一般道で乗りやすいようにするとともに、中高回転ではレスポンスよくコントロールしやすいようにしているというニュアンスだ。

【トランスミッション比較】ATは両者で差別化するもMTモデルは同じ制御

新型BRZのATモデルは滑らかな変速が魅力

ATモデルは初代86/BRZと同様に6速ATとなる。そしてAT車には全車にアイサイトが標準装備される

ATの味付けもだいぶ違って、BRZは特殊な(開発陣はなまし制御と名付けている)制御を多めに入れることで、スムースな変速の制御を実現しているのに対し、GR86は多少ショックが出ても、ダイレクト感を味わえるようにしている。

いずれもスポーツモードの出来が秀逸で、ドライバーの意思を読み取るような、いわゆるAR制御も組み込まれており、本当にドライバーの意図を通りのタイミングでシフトダウン、あるいはアップしてくれる。

それなりに熟達したドライバーでも下手にマニュアル操作するよりも、ATに任せた方が速く走れるのでは? と感じたほどだ。

初代のネガであったMTの耐久性を向上し、クラッチ操作も程よい重さに進化

2速→3速といったいわゆる“斜めシフト”の操作性を向上させるとともに、耐久性をアップさせるなど初代のネガとされていた部分を払拭している

MTの仕様は両車で共通。初代の課題であった、2速に入りにくいことをはじめ、2~3速や4~5速の斜めシフトでの操作性、4速の耐久性、シフトフィール自体の改善など様々な対策が施されており、印象は上々。

エンジントルク増に対してクラッチ容量も上げられており、初代は軽すぎる印象のあったペダル操作力も20Nmほど重くされて“ちょうどよく”なっている。

【足まわり比較】まったく別物! GR86は刺激的な仕上がりに対して、BRZは大人びた印象

フットワークの印象もだいぶ違う。

初代が「アジリティの86とスタビリティのBRZ」を評された延長上にあるわけだが、ひとことでいうと「GR86は刺激的で、BRZは成熟した印象」を受ける。

ただし、それは優劣という尺度とは別次元で、どちらもそれぞれの方向性において完成度が高く、上質に仕上がっていることは念を押しておきたい。

初代の後期モデルでは、バネまでも最終的には共通となり、違う部分というとダンパーの減衰力と電動パワステのアシストトルク特性ぐらいであった。

だが、今回はそれに加えてダンパー、スタビライザー、フロントハウジング、リアトレーリングアームブッシュなどが作り分けられている。

【取り回し比較】新型BRZは手応え感を重視する一方で、GR86は扱いやすさに注力

電動パワステは初代と同様に、GR86では取り回しやすさを重視して操舵力が軽くされているのに対し、BRZは手応え感を重視してやや重めにされている。

ただし、GR86ではフロントハウジングをあえて鋳鉄としたことで、より剛性感が高まり、路面を掴んでいる感覚が変わり、接地感が感じられるとしている。

これについて、BRZは軽量化を重視してアルミを採用しており、当初は2台ともアルミとされる予定だったところ、GR86はあえて鋳鉄としたのであり、けっしてコストダウンのためではない。

もちろん重量の問題もあるが、それでも味づくりのために妥協しなかったわけで、むしろ手間がかかっていることをお伝えしておきたい。

同じくフロントのスタビライザーについても、BRZは軽量化を考えて中空のφ18.3としたのに対し、GR86はリニアな特性を重視して中実のφ18としている。

【コーナリング比較】ロールが小さいのはBRZだが、GR86は操りやすさが魅力

コーナリングでも両車の印象はだいぶ異なる。

フロントバネのレートがGR86は28N/mm、BRZは30N/mmとBRZのほうが高く、リアバネレードはGR86が39N/mm、BRZが35N/mm、リアスタビライザー径はGR86がφ15、BRZがφ14となっており、前後バランス的にも両車ではだいぶ事情が違う。

これらによりBRZのほうがロールは小さく、挙動が穏やかで安定しているのに対し、GR86はリアを動かさず、フロントを動かすことで回頭感を高めるとともに、荷重を移動させ、リアのトラクションを操れるようにするという考え方のようだ。

【エンジン特性比較】アクセルワーク特性が別物も、スピン後の立て直しの操作が両者大幅向上

MTモデルのペダル配置

これと併せてエンジン特性の違いもあって、GR86はアクセルのオンオフで曲がり具合が変わり流すキッカケがつくりやすい。

ただし、だらしなく流れっぱなしだった初代の初期型の86とは違って、GR86は秩序ある中で流れを積極的にコントロールしていける。その完成度には隔世の感がある。かたやBRZは基本的には安定指向で、アクセルワークではあまり走行ラインが変わらない。

ただし、新型で感心したのは限界を超えてからの動きだ。

初代の当初は粘った末に流れてもすぐに流れを止めようという動き方をして、あるところから唐突にスピンモードに入って立て直すのが難しい印象であった。

ところが、新型は穏やかに流れだし、そこからもスライドを維持しやすく、一連の動きに連続性があるので全体的にコントロールしやすい。

これにはリアトレーリングアームブッシュの硬度を上げたことで、車体のヨー方向への追従性が高まるとともに、トー変化が起こりにくくなったことも効いているに違いなく、前出のリニアなアクセルトルク特性も効いているはずだ。

スタビライザーの取り付け位置が違う! 手間のかかった仕上がりに

さらに、新型では両車でリアスタビライザーの取付構造の違いについて触れておくと、ボディ直付のBRZに対し、GR86はブラケット取付としている。

これもSGPの思想で上屋とスタビの効きが一体になっていたほうがよいというスバルの考えによるもので、直付けすることでスタビの効率が良くなるので線径も一格下げた。

これに対しトヨタ側は取り付け点を変えることで旋回時にスムーズかつリニアに旋回姿勢に移れることから、GRの目指すべき味を実現すべく、あえて作り分けることを選んだという。

これは生産サイドにとってもかなり手間のかかる話だが、お互いの思いを実現するためには欠かせなかったわけだ。

街中重視なら新型BRZを。刺激的なドライブを楽しむならGR86がオススメだ

このように両車は、同じ工場で生産される姉妹車としてはありえないほど差別化されていて、走りの性格も作り分けられている。

どちらがどんな人に向いているかというと、若い人にはGR86を、年代が高い人には落ち着いたBRZを、というのは安直ながら間違いでもないと思う。

だが、もう一歩踏み込んで考えると、公道走行が主体で、同乗者を乗せてロングツーリングにも使いたい人にはBRZのほうが向いていそうだ。また、開発関係者によると雪道での走りにも相当に注力したという。

一方のGR86は、より刺激的なドライビング感覚を常に味わいたい人に向く。あるいは運転技術を積極的に磨きたい人にも、どちらかというとGR86のほうが向いていそうだが、あるレベルまで達した人にとっては、実はBRZのほうが勉強になるような気がする。

【筆者:岡本 幸一郎】

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