マツダはなぜミニバンをやめてCX-8に賭けたのか!? その答えは市場の先読みとマツダならではの戦略にあった
MōTA / 2021年7月19日 19時0分
マツダがミニバンに代わる存在として2017年に投入した3列シートのラージSUVとなるCX-8の販売は、2021年の現在でも平均すると月2000台近くのセールスを記録するほど、未だ堅調だ。もっといえば3列SUVでもっとも売れているモデルである。 そもそもなぜ、マツダはミニバン市場から撤退したのか? そして登場から4年以上経過した現在も、CX-8が未だに売れている理由を考えてみた。
ミニバン市場は頭打ち!? マツダがCX-8に賭けたのは市場の先読み
簡単に言えば、近年使われることが多くなった言葉である「選択と集中」のためだ。
というのもCX-8が登場する前、マツダは2016年まで現在のオデッセイに近いラージクラスとなるMPV、ミドルクラスもデリカD:5にボディサイズが近いビアンテ。そして、かつてのストリームやウィッシュに近いプレマシーという3台のミニバンをラインナップしていた。しかし、国内のミニバン需要の先細りに加え、マツダは年間生産台数が150万台前後と、1000万台近いトヨタなどに比べれば小さい自動車メーカーである。
そのためミニバンに使っていた開発資源をSUVなどに回す決断が下され、2018年にビアンテとプレマシーも絶版となった。
上記のような背景もあり、マツダのミニバンユーザーの受け皿も兼ねて登場したのがCX-8だった。
アルファードなどと同サイズと、日本で扱えるギリギリのサイズが大ウケ
「CX-8はミドルサイズSUVのCX-5を拡大したもの」と思われがちだが、実際の成り立ちは基本的に日本専用車である。そして北米を中心とした海外専売でCX-8よりさらに大きい3列ラージSUVとなるCX-9をベースに、2930mmというホイールベースはそのままに全長を165mm、全幅を130mm小さくしたモデルだ。
そのため、CX-8のボディサイズは全長4900mm×全幅1840mm×全高1730mmと、全長と全幅はラージミニバンのアルファードとそれほど変わらない、日本でも実用的に使える範囲に抑えられた。
SUVながら3列目シートが広い! 3列シートSUVへのニーズが高かった
CX-8が未だに好調に売れている理由にはこのボディサイズもあるが、それ以外にも2つのポイントが挙げられる。ボディサイズが大きいのもあり、SUVながら3列目シートも頻繁に使うのでなければ十分な広さを確保している点。そして「3列シート車が欲しいけど、ミニバンは避けた」というユーザーが一定数いたということである。
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安価なモデルを追加するなど、磐石の体制となったCX-8
また、好調に売れれば改良やバリエーションの追加も行われるという好循環も起こっている。
当初CX-8は2.2リッターディーゼルターボのみでスタートしたが、登場から1年後に安価な2.5リッターガソリンNA、2.5リッターガソリンターボが追加されている。
2020年にはリーズナブルな特別仕様車となるスマートエディションが追加されたことも、未だ好調に売れている理由の1つだろう。
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CX-8は大成功だが、ミニバンユーザー向けにOEMモデルの検討もアリ!?
マツダの企業規模やCX-8の成功を考えると、マツダがミニバンの自社開発をやめたのは正しい判断だったと言える。しかしビアンテやプレマシーの直接的な後継車がないというのは、2台のユーザーが次にCX-8を買う人ばかりではないのを思うと、「何らかの対策があってもいいのでは?」とも感じる。
実現する可能性は低いかもしれないが、実例を踏まえて対策を考えてみたい。アライアンス関係のトヨタから主力ミニバンをOEM供給するのもアリ
以前日産がミドルミニバンのラフェスタの後継車を自社開発せず、マツダからプレマシーをOEM供給してもらいラフェスタハイウェイスターとして販売した。
その視点で考えると、アライアンスを結ぶトヨタからノアやシエンタをOEM供給してもらうのもいいかもしれない。
CX-8を皮切りに3列SUV市場はますます盛り上がる見込み
同時にCX-8が3列SUVというジャンルを開拓しただけに、それぞれ北米を中心に販売された他メーカーのモデル投入する手もある。
ボディサイズの大きさや右ハンドル化などのハードルもあるにせよ、CX-8の登場と同時期にミニバンのエクシーガを絶版にするなどマツダと似たところがあるスバルのアセントや、トヨタのハイランダーも日本に導入されると、このジャンルはさらに活性化するのではないだろうか。
【筆者:永田 恵一】
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