新型ランドクルーザー300の狙い目は730万円の最上級版ではなく550万円のベーシックなグレードだ!
MōTA / 2021年8月8日 15時0分
1951年、現在の自衛隊向けに開発した四輪駆動車に端を発するトヨタの「ランドクルーザー」(ランクル)にはいくつかのシリーズがある。中でも1967年に登場したステーションワゴン仕様のランドクルーザー55から発展したシリーズは、ランクル60、80、100、200とシリーズの最高峰モデルとして長い歴史を重ねてきた。そして2021年8月、14年ぶりのフルモデルチェンジを実施したのが「ランドクルーザー300」だ。 四輪駆動車専門誌の編集長経験も持つカーライフジャーナリストの渡辺 陽一郎氏が、新しいランクルの最高峰モデルを解説。オススメグレードなどをご紹介する。
流行りのライトなSUVとは別格! 70年の歴史を持つ生粋の悪路向け四輪駆動車「ランドクルーザー」
70年に及ぶ歴史を持つランドクルーザーシリーズの最高峰「ランドクルーザー200」が2021年8月、14年ぶりにフルモデルチェンジを行い、「ランドクルーザー300」に刷新された。
新型ランクル300はフレームからエンジンに至るまで全てを一新
メカニズムでは、耐久性の優れた油圧式パワーステアリングを踏襲しながら、電動機能も組み合わせて運転を支援する操舵機能などを加えた。雪道や砂地など、悪路の状況に応じてサスペンションやブレーキを最適に制御できるマルチテレインセレクトは、作動範囲を4WDのローレンジから新たにハイレンジまで広げた。
装備については、衝突被害軽減ブレーキや全車速追従型クルーズコントロールを含んだトヨタセーフティセンス、ドライバーの死角に入る後方の並走車両などを検知して知らせるブラインドスポットモニターなどを標準装着した。安全面と運転支援の機能は大幅に充実している。
新型ランドクルーザー300で最もオススメなグレードは下から2番目! 550万円「AX」(ガソリン)だ
グレード名は下から「GX」(510万円)、「AX」(550万円)、「VX」(630万円)、「GR SPORT」(ガソリン:770万円/ディーゼル:800万円)、「ZX」(ガソリン:730万円/ディーゼル:760万円)となっている。
ガソリンモデルの乗車定員は、価格が最も安いGXを除くと3列シートの7人乗りで、ディーゼルは2列の5人乗りのみ。ガソリンエンジンに比べディーゼルは30万円高い設定だ。
2番目は、シートが本革になり、ドライバー異常時対応システム(ドライバーの異常を検知すると自動的に減速して停車させる機能)などの安全装備が充実しカラーヘッドアップディスプレイなども備わるガソリンのVX(630万円)となる。
新採用の指紋認証スタートスイッチは、GXはオプション(2万2000円と安い)だが、それ以上には標準装着される。
730万円(ガソリン)の最上級グレード「ZX」だけは他グレードに比べ割高感が強い
トヨタは時々、高価格車の上級グレードを割高にする。最上級グレードを求めるユーザーが、機能や装備と価格のバランスを気にしない傾向にあることを知っていて、儲けを狙うわけだ。GRスポーツ(770万円/ガソリン)は専用のパーツを数多く装着するから一概にはいえないが、いずれにせよAXやVXに比べると割高になる。
なお新たに投入されたディーゼルエンジン車は、前述の通りZX(760万円)とGRスポーツ(800万円)のみの設定だから、必然的に割高になってしまう。
従ってランドクルーザーのグレード選びでは、550万円のAXが最も買い得だ。本革シートなどが欲しいユーザーはVXも検討したい。
AX・VXグレードにもディーゼルの設定を! またディーゼル車にも7人乗り仕様の設定が欲しい
また操舵を支援するレーントレーシングアシストとドライバー異常時対応システムは、VX以上のグレードだけに標準装着される。大切な安全装備だから、AXやGXでも選択可能にして欲しい。
ハイビーム作動時に相手方の眩惑を抑えるアダプティブハイビームシステムも、ZXとGRスポーツのみの設定だ。このタイプの装備は、今では軽SUVのダイハツ タフトなども採用するので、最高峰のトヨタ ランドクルーザーでは、全グレードに標準装着すべきだろう。
[筆者:渡辺 陽一郎/撮影:TOYOTA]
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