パチンコ店駐車場に子どもを放置する“毒親”のあきれた言い訳
MōTA / 2021年8月17日 18時0分
以前ニュースで話題になっていた、パチンコ店における子どもの車内放置問題。近年あまり聞かなくなったのは、お店側の自主的な駐車場巡回や警備の強化により、子どもが救出されるケースが増えたためだ。全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)がまとめた救出例の中には、子どもを放置する“毒親”のあきれた言い訳も散見される。今回はそんな事例を紹介してみよう。
全国のパチンコ店は駐車場の時点で「子連れ入場禁止」だった
パチンコ店は風営法によって18歳未満の遊戯はもちろん、店内へ立ち入りすることが禁止されており、近年は駐車場への入場も禁止されるようになった。
父親が遊戯をしていて母親が子どもと車内で待っている、という状況でもNG。退店を命じられるのはもちろん、防犯カメラなどでナンバーが控えられ、再度子連れで来た場合は周辺の店舗含めて出入り禁止となることも珍しくない。
平成20年から10年間で8件の死亡事故が発生した事も…近年は巡回を強化し死亡事故報告はゼロに
なぜここまで厳しく「子連れ来場」を禁止するのか?子連れで来店した場合、ほとんどの場合子どもは車内に残される。ときには熱中症で亡くなったり、誘拐など犯罪に巻き込まれたりという可能性があるからだ。実際、平成10年以降、ホール駐車場内における子どもの車内放置死亡事故は30件、平成20年からの10年間で8件の死亡事故が発生している(平成30年以降は死亡事故の報告はなし)。
平成25年より、全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)では子連れの来場を禁止するとともに、年間を通じて駐車場の巡回を始めている。具体的には警備員や駐車場係員、ホールスタッフなどが1時間に1回程度駐車場に停めた車内に子どもがいないか確認し、発見された場合は保護者を呼び出し、退店してもらう。保護者が見つからない場合は警察が出動する例もある。
6年間で450件の救出事例、3割の親に反省の色なし!
巡回活動により135人の子どもたちの命が救われた
全日遊連の報告によると、2019年度中にホール駐車場で発見された子どもの車内放置事案は、35都府県方面組合で99件。ホールによる巡回活動などで135人の子どもが救出され、事故は未然に防がれた。報告書には、車内に放置された子どもを発見した時の様子やその後の対応が詳細に記載されている。平成27年からの6年間合計450の救出事例を読んでみたところ、7割程度が「反省している」「二度と子どもを連れて来店はしない」と記録されているが、残りの3割は「反省した様子がなく退店」「日本語が通じない」などの例もいくつかある。
駐車場の車内に放置された子どもの救出例450事例の中から、特にあり得ない「驚きの言い訳」を紹介してみたい。
事例1 どうみても年少者なのに「18歳」と言い張る子ども…
「駐車場巡回の際、エンジン(エアコン)稼働中で施錠され窓(スモークフィルム有り)が閉じられた車内で寝ている男児を発見。声をかけ年齢を確認すると『18歳』とのこと。身分証明書などの提示を求めたが、提示されないため年齢の正確な判断ができず…しかし、容姿からみて年少者であると判断。店内にて同伴者を呼び出したところ間もなく30歳前後の保護者らしき男性が現れた。事故の危険性を説明し厳重注意の上、退店いただいた。」
恐らく保護者が「誰かに何歳かを聞かれたら18歳と言いなさい」と子どもに伝えていたのだろう。30歳前後の父親(多分)とのことであるから10歳以下の子どもだった可能性が高い。この言い訳はあまりにも酷い。
事例2「子どもは家にいると思っていた」
「駐車場巡回の際、未施錠の車両後部座席で横になっている5歳男児を発見。直ちに店内へ連絡。男児に体調の異常は認められなかった。男児は「両親はどこにいるのか分からない」と話しており、同時進行で店内の防犯カメラ画像を確認した結果、40歳の両親ともに店内で遊技中であることが判明。その後、両親から事情聴取したところ『子どもは自宅に置いてきたと思っていた。車内に乗車していた認識が無かった』とのこと。」
これもなかなか驚く言い訳である。まさか本気で「子どもは家に置いてきた」とは思っていないだろう。しかも未施錠の車内に放置…どんな危険があるかわならない。
事例3 反省の態度は皆無。児相に通告予定
来店客からの通報に基づき捜索した結果、エンジン停止中で施錠され窓(スモークフィルム有り)が閉じられた軽乗用車の後部座席と背もたれの間に、隠すように置かれた籠の中で泣いている生後数か月の乳児を発見。店内放送で母親を特定したが、謝罪の言葉も反省の態度も皆無。厳重注意の上、今後来店を禁止する旨を告げ退店させた。
母親は3時間ほど遊技をしていたが、スモークフィルムと籠の置き場所からその間(1時間に1回)の巡回時には発見に至らなかった。所轄の警察から児童相談所へ児童虐待事案(ネグレクト)として通告予定。
チャイルドシートではなく「籠」というのも怖いが、それを「隠すように置いていた」というのも恐ろしい。
事例4 大当たり中で両親ともに子どもをほったらかしで遊戯
「来店客からの申告で後部座席に放置された女児(3歳)を発見。女児に異常は認められなかった。車両ナンバーから保護者の捜索を開始しようとしていたところ、発見から約15分後、父親が当該車両に現れた。35歳の父親は『母親(30歳)を迎えにきたところ、大当たり中であったため一緒に遊技をしてしまった。一度、様子を見に戻ってきた。』と弁明。
「大当たり中で一緒に…」子どもの存在を忘れる位、夢中になっていたとは驚きだ。
事例5「何が悪いんだ!」と逆切れする40歳代の父親
「来店客からの通報でエンジン稼働中の車内に放置された5歳と生後数か月の乳児を発見。直ちに店内放送にて保護者を呼び出したところ、2回目の放送の後、当該車両に保護者(両親ともに40代)が戻ってきた。保護者から『何が悪いんだ!』などの発言があったが、事故の危険性から子ども連れでの来店をお断りしている旨を説明し退店していただいた。」
もし発見したら、児童相談所全国共通ダイヤル 電話番号『189』へ連絡を!
残暑が厳しいこの時期、車内放置は10分でも危険であり、エアコンをつけていてもアイドリング状態では効き目が弱く、十分に車内を冷やすことができない。エンジンかけっぱなし&施錠ナシでは、誘拐の危険もある。子ども(18歳未満)の車内放置は児童虐待に相当する。児童福祉法第25条の規定に基づき、車内放置されている子どもを発見した場合、全ての国民に通告する義務がある。発見したら、児童相談所全国共通ダイヤル 電話番号『189』へ連絡を!
[筆者:加藤 久美子]
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