アルファード圧勝! 日産 エルグランドはどうなる!? 元祖Lクラス高級ミニバンに次の一手はあるのか
MōTA / 2021年9月7日 21時0分
アルファードの売れ行きが絶好調だ。2021年8月の販売台数は6483台で、乗用車販売ランキングは第6位だ(軽除く)。いっぽう、対抗車となるはずの日産 エルグランドはベスト50にも入っておらず、毎月の平均販売台数は500台にも満たない状況にある。かつては好敵手だったはずの2台はすっかり明暗を分けてしまった。元祖Lクラスミニバン「エルグランド」の次なる一手はあるのか、動向を占ってみる。
トヨタを本気にさせた!? 元祖Lクラスミニバン「日産 エルグランド」
「日産 エルグランド」は、1997年に登場したLクラスの高級ミニバンだ。当時は多くのモデルが商用バンの延長線上にあったミニバンの世界に、専用設計の上質な室内と迫力ある外観デザインを与えたことで大ヒットした。トヨタは当時、欧州向けの商用バンをベースにした大型ミニバン「グランビア」を用意。その後加飾を増して豪華さを強調した兄弟車、その名も「グランドハイエース」(あからさまにエルグランドを意識したネーミングだ!)も追加したが、エルグランドの牙城を崩すことは出来なかった。
その後2002年にトヨタから初代「アルファード」が、次いで2004年にはホンダから「エリシオン」が登場するなど、エルグランドは多くの対抗モデルを生むほどの影響力を与えたのだった。現行型エルグランドがヒットしなかった理由はユーザーニーズとの大きなズレにあった
現行型の3代目エルグランドは2010年の登場。縦置きエンジン+後輪駆動のレイアウトから一転、横置きエンジン+前輪駆動に刷新。重心を下げたレイアウトとしたことで、低床化による乗降性の改善と操縦安定性の向上を図った。低く迫力あるフォルムは新鮮な印象を与えていた。ただしそれは、必ずしもユーザーが求めていたものではなかったようだ。
ライバルのアルファードは、むしろ王道を突き進んだ。同じFFレイアウトながら、ベースとなったエスティマとは真逆に、あえて床位置をアップ。着座位置を上げて見晴らしをよくするとともに、大型の箱型ボディを強調させた。クラウン並みの高級なインテリアとも相まって、ユーザーの人気はアルファードと兄弟車のヴェルファイア(2008年に追加)に集中したのだ。 さらに3代目エルグランドの登場から5年後の2015年には、アルファード・ヴェルファイアが3代目へフルモデルチェンジ。高級路線をさらに推し進めたことで、現在に続く完全なトヨタの独走状態へと突入したのだった。度重なるマイナーチェンジで起死回生を図るも、アルファードへのリベンジは果たせず
もちろん日産もそのまま指をくわえていたわけではない。2014年には大規模なマイナーチェンジを実施し、内外装のデザインを大幅改良。特に外観は、メッキ加飾を増やしグリルも大型化することで、迫力と高級感を大幅にアップさせた。
室内についても、3列目シートにスライド機構を追加。座席後ろの荷室も床面を下げることで積載性を向上させたほか、ルーフ形状を改良することで室内高をアップするなど、大きく手が加わった。
さらに2020年10月にも再びマイナーチェンジを行い、先進運転支援機能の追加やフロントグリルデザインの刷新などを行った。さらに個性を強調したカスタムモデルとして、従来のライダーシリーズに代わる新シリーズ「AUTECH(オーテック)」も追加されている。
日本単独でのフルモデルチェンジは厳しいが、アジア市場も視野に入れればリベンジも期待出来る!
度々改良を重ねてきた現行型エルグランドではあるが、デビューから10年以上が経過したこともあって、販売面では苦戦中だ。ライバルのアルファードも次期モデルの噂が聞こえ始めているが、日産 エルグランドに関してはそうした話はなかなか流れてこない。 昨今ライバルのアルファードは、国内のみならず、中国などアジア圏での人気も上昇中。兄弟車のヴェルファイア、さらには国内未導入のレクサス版(レクサス LM)まで登場するなど、市場規模を拡大し続けている。全く元気のない国内需要だけではフルモデルチェンジなど望めないところだが、海外でそこまでの需要もあるとすれば話は別だ。
かつて初代アルファードが果敢に挑んだ状況とすっかり立場は逆転してしまったが、元祖Lクラスミニバンのエルグランドも、フルモデルチェンジでリベンジを果たして欲しい。多くの日産ファンもそうした姿を望んでいることだろう。『言われなくても、もうやってるよ』
そんな声が日産の開発部門からこっそり(?)聞こえてくることを、大いに期待したい。
[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダトオル/撮影:MOTA編集部・NISSAN・TOYOTA]
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