大人気ミニバンのトヨタ アルファードVSトヨタ ヴォクシー! 3列目シートにはどんな違いがあるのか?
MōTA / 2021年9月19日 17時0分
ミニバンを買う。それは多くの場合、5名を超える多人数乗車のために3列目席が必要だからのはずだ。SUVやワゴンに3列目席のあるクルマがないわけではないが、それはもう緊急席、補助席、子供専用席という代物であり、近所のチョイ乗りならともかく、ロングドライブともなれば、大人が快適に座っていられるはずもない3列目席であることがほとんどだ(一例としてマツダ CX-8を除く)。 で、ミニバンの3列目席に大いに期待したいところだが、それでは、今、人気爆発中の2021年1〜6月の乗用車販売台数ランキングで、堂々の3位、8位に位置する大人気ミニバンであるトヨタ アルファード(3位)と、そのスケールダウン版とも言えるトヨタ ヴォクシー(8位)では、3列目席にどんな違いがあるのだろうか? クルマのパッケージについてこだわり、クルマの各部の計測を手掛け続けて早35年!?の筆者が解説したい。
アルファード3列目席の快適性は、2列目席の形状によっても大きく異なる
いきなり3列目席そのものの話をするのは早い。3列目席があるということは、3列目席に乗り降りしなければならず、その容易性(乗り降りのしやすさ)から語るべきなのである。
アルファードの場合、両側スライドドアから3列目席の乗り降りにかかわる、乗降間口幅(ウォークイン幅)は、2列目席の仕様によって微妙に異なる。2列目席を前方スライドさせた際の間口幅は、ベンチシート550mm、ベーシックなキャプテンシートのリラックスキャプテンシート320mm、上位キャプテンシートのエグゼクティブパワーシート320mm、最上級のエグゼクティブラウンジシート355mmとなる。3列目席により乗り降りしやすいのは、ベンチシート、エグゼクティブラウンジシートということになる(それ以外でも問題なし!!)。
ヴォクシーはどうかと言えば、2列目ベンチシート480mm、キャプテンシート380mmとなり、どちらもこのクラスでは乗降間口幅が比較的に広いことになる(セレナ230~340mm、ステップワゴン350mm)。 合わせて、スライドドア開口部とステップ高も3列目席の乗り降りの容易性にかかわってくる。アルファードはスライドドア幅780mm、高さ1310mm、ステップ高350mm、フロア高450mm(階段を2段上がる感じで、掃き出しフロアではない)。ヴォクシーはスライドドア幅760~805mm、高さ1260mm、ステップ高360mm(階段を1段上がる感じの段差のない掃き出しフロア)。両車に微妙な差はあるものの、実際問題としては、どちらも3列目席(もちろん2列目席でも)の乗降に不満が出ることはないが、フロアが低く、足運びしやすいのは、極薄燃料タンクを採用した、ホンダも真っ青な低床フロアを実現したヴォクシーになるだろう。シートそのものの比較ではヴォクシーも負けていない!
さて、いよいよ3列目席そのものについての比較だが、シートの仕立てについては、アルファードがシート座面長460mm、シート幅1130mm、シートバック高600mm。フロアからシート座面前端までの高さを示すヒール段差330mm。ヴォクシーはシート座面長460mm、シート幅1130mm、シートバック高520mm。ヒール段差360mm。2列目席下の、3列目席の乗員のつま先が入る空間はどちらも文句なしだ(ここは足の置きやすさという点で重要)。
この筆者の実測数値で分かるのは、意外にも、アルファードとヴォクシーで、シート座面長は同等、シート幅はヴォクシーのほうがやや広いということ。しかし、注目すべきはヒール段差で、ここが高いと、椅子に座っている感覚となり、着座、立ち上がり性がよくなり、またより自然な姿勢で座れることになる。この点でも、ヴォクシーは負けてはいない。ただし、シートクッション厚み、かけ心地の良さという点では、さすがに国産車の真のキング・オブ・ミニバンと呼べるアルファードが勝り、よりソファ感覚のゆったりとしたかけ心地が得られる。
もっと言えば、アルファードの場合、走行中、荒れた路面でのシート振動の少なさは、高級感あふれる豪華な2列目キャプテンシートより、3列目席のほうが優れていたりする。
理由は、アルファードのキャプテンシート、それもより豪華なエグゼクティブパワーシートとエグゼクティブラウンジシートはロングスライドし、重く、重心が高いため、シートの取り付け部剛性の面で不利だから。なのでシートバックには振動を吸収するダンパーが仕込まれていたりするのだが、特にひじ掛けの振動は消し切れず、ひじ掛けに肘を置くと目立つ傾向にある。ところが、3列目席は5:5分割のシート1脚が比較的軽く、スライド距離が短く、左右端がボディ側に接しているため、走行振動が出にくいというわけだ。実際、ある日、アルファードに4人乗車で東京~大阪間を走らせたのだが、出発時点では優雅に2列目席に陣取っていた2名が、気が付くと3列目席に移動しているではないか。こちらもけっこう快適だから……との理由だった。
つまり、アルファードクラスの大型ミニバンともなれば、3列目席は決してハズレ席ではなく、大切なゲストを迎えるにも遜色ないシートということになる。この時代の新しい生活様式の下、車内の密を避けたミニバン移動、という点でも、これはより安心できる乗車フォーメーションとも言えるのではないだろうか!?
実際の使用場面を想定するとエグゼクティブラウンジシート以外のアルファードが良さそうだ
では、身長172cmの筆者が実際に両車の3列目席に座ってみるとどうか。アルファードは頭上に145mm、2列目席を最後端位置にセットした時の膝周り空間はベンチシート255mm、リラックスキャプテンシートとエグゼクティブパワーシート130mm、エグゼクティブラウンジシートは0mm(2列目席最優先のパッケージ)となる。
もっとも、3列目席のスライド量は460mmもあり、2列目席の前方スライドと合わせると、膝周り空間をグーンと広げることが可能だ。
一方、ヴォクシーは頭上に160mm(サンルーフなし)、、2列目席を最後端位置にセットした時の膝周り空間は40mm。ちなみに、最大300~600(ロングスライド時)mmある2列目席の膝周り空間を、あえて筆者の着座基準で200mmまでシートを前方にスライドさせると、3列目席の膝周り空間は160mm(シエンタFUNBASEの後席と同等)と、大人でも無理なく座れるスペースが確保される。
そうは言っても、アルファードの3列目席の掛け心地はもはや世界のミニバン最上の部類。しかも2列目キャプテンシートなら2-3列目スルー(乗降性にも寄与)はもちろん、前方見通し性の良さによる解放感もたっぷり(ここはヴォクシーも同じ)。基本、運転席に運転手、助手席に秘書、2列目席に主役のVIPが乗り、3列目席はVIPの手荷物置き場前提!?のエグゼクティブラウンジシートを別にすれば、膝回りスペースにも余裕があり、足元広々。夜間、まるで飛行機の機内を彷彿させる約1.5mもの天井LED照明のムーディな演出を100%堪能できるのも実はこの3列目席なのである。
というわけで、3列目席を頻繁に使うのであれば、アルファードのエグゼクティブラウンジシート仕様以外のグレードが、3列目席の居住性、快適性、シートのかけ心地という点でベストだが、3列目席の乗員が主に子供、というなら、ヴォクシーの3列目席でも不満など出るはずもない。なお、3列目席に足腰が弱ったシニアを乗せるのであれば、立った状態から腰を落とす距離、座った状態からの立ち上がりやすさの面で、ヒール段差がたっぷりあるヴォクシーのほうがやや有利と言える。
ちなみに、ヴォクシーの初期モデル(エアログレード)の3列目席のシートファブリックはお尻が前後に滑りやすかったのだが、今では改善されている。【筆者:青山尚暉】
外部リンク
- 【新型カローラ クロスと新型レガシィ アウトバック比較】価格は約90万円! 先進装備は断然レガシィ アウトバックだが、トータルのコスパはカローラクロスに軍配か!?
- マツダ CX-8は全6つもUSBポートを完備! しかもUSBケーブルが断線しない工夫も素晴らしかった
- 爆売れハリアーの弱点は“身内のライバル”にあり!? 人気SUV「トヨタ ハリアー」を脅かす高級ブランド「レクサス」新型NXの存在
- 日産 ルークスが軽自動車で初となる安全性能評価で最高評価「ファイブスター賞」を獲得! 決め手は夜間安全性能だった
- レクサスが定額で乗れる!? レクサス版サブスクサービスは本当にお得か KINTO for LEXUSを徹底検証
この記事に関連するニュース
-
メルセデスの超高級ミニバンはどれだけ豪華? 新型Vクラスの「プラチナムスイート」に試乗
マイナビニュース / 2024年11月25日 7時45分
-
ホンダ「フリード」新旧比較で見るヒットの法則 ちょうどいいサイズ感はそのまま熟成が進んだ
東洋経済オンライン / 2024年11月21日 11時30分
-
147万円!スゴい「エスティマ」発見! まさかの「重厚感×ファンシー」を両立!? 超カスタムされたトヨタ「元祖高級ミニバン」が凄い!
くるまのニュース / 2024年11月6日 20時10分
-
新型「“両開き”ミニバン」に大反響! 「前後スライドドア便利そう」「まるでホテル」「強度は大丈夫?」の声も! ガバッと開く「MIX」中国で発表!
くるまのニュース / 2024年11月6日 14時50分
-
スペーシア ギア vs N-BOX JOY!最新軽スーパーハイトワゴンのドッグフレンドリーポイント比較【青山尚暉のわんダフルカーライフ】
レスポンス / 2024年11月4日 18時30分
ランキング
-
1関西財界訪中団、邦人の安全確保に懸念 短期ビザ免除再開に期待も 投資意欲は持続
産経ニュース / 2024年11月25日 18時19分
-
2「トイレ流せない…」水道代にも値上げの波 千葉で水道代を2割“値上げ”方針 住民からは悲鳴も【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月25日 21時9分
-
3トヨタ、北京の営業拠点閉鎖 中国合弁、天津に集約へ
共同通信 / 2024年11月25日 20時22分
-
4災害に備えて家に食料を蓄えていますが、出先の対策が全くできていません…。普段から何を持ち歩けばよいでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月24日 3時50分
-
5〈サイゼリヤのメニューに異変?〉「値上げして良いからメニューを充実させて」との不満投稿に広報の回答は?
集英社オンライン / 2024年11月25日 17時44分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください