コンパクトミニバン「フリード」とMクラスミニバン「セレナ」、クラスの違うミニバン2台が商談の現場で競合する理由
MōTA / 2021年9月30日 20時35分
ホンダの人気コンパクトミニバン「フリード」のライバルと言えば、トヨタの「シエンタ」だが、意外にもボディサイズも異なる上位クラスのミニバンとも競合するという。その代表格が「日産 セレナ」。値引き額などを考えると、価格差は思いのほか縮まるという。
ボディサイズはふたまわりくらい違うフリードとセレナだが、価格帯は思いのほか接近している
ホンダのコンパクトミニバン「フリード」は、1.5リッターガソリンモデルと、同ハイブリッドモデルがあり、価格帯は199万7600円から327万8000円まで。ボディサイズは全長4265mm×全幅1695mm×全高1710mmだ。 これに対して日産のMクラスミニバン「セレナ」は、2リッターS-HYBRID(マイルドハイブリッド)と、1.2リッター e-POWER(ストロングハイブリッド)が用意される。ボディサイズは全長4770mm×全幅1740mm×全高1865mmと、フリードに対しふたまわりくらい大きい。ただしセレナの価格帯は257万6200円から419万2100円までと、実はフリードと重なる部分もあるのだ。
2種類のハイブリッドを用意するセレナ、廉価なSハイブリッドならフリードとかなり近い価格帯に
具体的にフリードとセレナを比べてみよう。フリードの売れ筋モデル「フリード HYBRID G Honda SENSING」(FF・7人乗り)の価格は258万3900円。
対する日産 セレナの売れ筋モデル「セレナ e-POWER ハイウェイスター」(FF・7人乗り)は329万3400円と、70万円以上の開きがある。
ところが同じセレナでも、S-HYBRID(いわゆるマイルドハイブリッド車)の「セレナ ハイウェイスター」(S-HYBRID・FF・8人乗り)なら、275万8800円と、およそ18万円差まで縮まる。
20万円弱の差額でふたまわり大きなボディサイズと広い室内空間が得られるのならと、比較検討のテーブルに載る訳だ。
コンパクトミニバンをラインナップしない日産はセレナ1台で全てを網羅せざるを得ない!
ステップワゴンよりもフリードの売れ行きが好調なホンダ
東京近郊のホンダと日産のディーラーでそれぞれ話を聞いてみた。
ホンダA店の営業スタッフは『うちのお店でミニバンを求めるユーザーは、ステップワゴンよりもフリードのほうが多い』と話す。実際に全国の販売台数ランキングでも、近年はフリードが優勢な状況が続いている。
5人乗り仕様の「フリード+」については比較的指名買いが多いものの、多くの場合、シビアに他社との比較検討をするユーザーがほとんどだと営業スタッフは苦笑いする。一番多いライバル車はシエンタだが『セレナやヴォクシーと競合するケースも多い』という。コンパクトミニバンがラインナップにない日産は、セレナ1台で広範囲に対応せざるを得ない状況
日産B店の営業スタッフは『うちにもコンパクトミニバンが欲しい』と嘆く。かつては日産でも、コンパクトミニバン「ラフェスタ」「ラフェスタハイウェイスター」があった。この代替ユーザーも、現在はMクラスミニバンのセレナをオススメしている。またホンダ同様に『フリードやシエンタと比較検討するケースも少なくない』という。
このようにコンパクトミニバンを持たない日産の場合、セレナ1台で広範囲のユーザーの囲い込みをしているシビアな現状があるのだ。
コンパクトミニバン並みの見積りになるなら「セレナ」という選択肢もアリだ
そんなセレナは現在、都市部を中心に値引き幅が拡大中との情報も寄せられている。営業スタッフも、他メーカーが対抗馬と知れば、なおのこと勝負を仕掛けてくる。それは同クラスの「トヨタ ヴォクシー」「ホンダ ステップワゴン」だけでなく「フリード」であっても同様だ。価格差のあるフリードに対しても、思いのほか接近した見積りが期待される。商談の際には『予算的にはフリードなのだが、価格差が縮まるのならセレナも検討したい』といった姿勢で臨むのが良いだろう。
[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダ トオル/撮影:Honda・NISSAN]
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