ハイエースの牙城を崩せ! 日産 新型キャラバン マイナーチェンジの見どころは、外装よりも上質さを増した内装にあった!
MōTA / 2021年10月30日 10時0分
日産は2021年10月20日(水)、商用1BOXバン「NV350キャラバン」のガソリンモデルをマイナーチェンジし、車名もシンプルな「キャラバン」に変え発売を開始した。ディーゼルモデルについては少し間を置いたのちに遅れてマイナーチェンジする予定。永遠のライバルであり、トップシェアを維持し続ける「トヨタ ハイエース」の牙城を崩すべく、内外装やメカニズムなど多くの改良を実施しライバルとの差別化を図った新型キャラバンを徹底解説する。
ガソリンモデルから先行してマイナーチェンジを実施した新型キャラバン
今回先行してマイナーチェンジしたのはガソリンモデル。ディーゼルモデルはしばらくの間、旧「NV350キャラバン」が併売されることになる。新型キャラバンの先進運転支援機能は、カメラとミリ波レーダー併用型にアップデートし、歩行者検知機能などを装備。外観デザインでは、日産の新CIロゴを配するフロントグリルやバンパー周りを刷新し、より力強い印象となった。
直列4気筒 2リッター「QR20DE」型エンジンと組み合わされるトランスミッションも新型では7段ATにアップグレード。動力性能や燃費を改善させた。カタログ燃費は従来型の10.0km/Lに対し10.5km/Lに向上した(共にJC08モード燃費)。
最高出力は130ps(96kW)/5600rpm、最大トルクは178Nm/4400rpmで、こちらの数値に変更はない。なおMTモデルは今回のマイナーチェンジで姿を消している。
いっぽうの王者「トヨタ ハイエース」で同じ2リッターガソリンモデルを比較してみると、「1TR-FE」型エンジンは最高出力136ps(100kW)/5600rpm、最大トルクは182Nm/4000rpm、カタログ燃費も10.9km/L(JC08モード燃費)と、スペック上はいまだに優位に立つ。組み合わされるトランスミッションは6速ATを基本とする。外装よりもむしろ注目したいのは、質感を高めた新型キャラバンの「内装」だった!
今回の新型キャラバンのマイナーチェンジでは、実は外観以上に内装の変化が大きかった。 従来型の写真と見比べるとわかる通り、ステアリングホイールを変更。D型の新形状となった。またシフト周りの形状も刷新され、質感を大幅に高めた。メーター中央のカラー液晶メーターも5インチに拡大されている。さらにドライバーにとってうれしいのが、シートの刷新だ。座面部が2層ウレタン構造化されたうえ、体を面で支える「スパイナルサポート機能付シート」となり、座り心地向上のみならず疲労軽減にも大きく寄与する変更となっている。さらに寒冷地仕様には、ハイエースに設定がないシートヒーターも設定されるのも地味ながら大きなアドバンテージとなる。
また新設の最上級グレード「GRANDプレミアムGX」には、より上質な専用内装が与えられた。これは、ハイエースの上級グレード「スーパーGL」に設定される、より上質な特別仕様車「DARK PRIME II(ダークプライムツー)」の人気の高さを受けての対抗策だ。
ハイエースも地道な改良の積み重ねで王者の座を死守
ハイエースも、地道に改良を重ね続けている。2017年12月の一部改良では衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense(トヨタセーフティセンス) 」を標準化。2020年5月の一部改良では、キャラバンに先行されていたパノラミックビューモニターやデジタルインナーミラーを新採用している。いっぽうでハイエースは、乗用車では絶滅したステッキ式のパーキングブレーキを相変わらず継続採用されているのが面白いところ。ちなみにキャラバンは足踏み式で、これも最近は数を減らしているものだ。
キャラバン、ハイエース共に未採用! ACC(全車速追従型クルーズコントロール)の早期装着を期待したい
近年乗用車の世界では、電子制御式パーキングブレーキの採用が拡大している。スイッチ操作で軽く解除できるほか、オートホールド機構とセットなら渋滞時でも疲労軽減に役立つ。今後両車にこの電子制御式パーキングブレーキが採用されるとすれば、新型キャラバン、ハイエース共にいまだ搭載されておらず、ユーザーからも要望の声が大きい全車速追従型のアダプティブクルーズコントロール(ACC)とセットのタイミングとなるだろう。ACCは、1日の走行距離も長い商用車だからこそ欲しい装備だ。先進運転支援機能には欠かせないレーダーやカメラといったセンサー類は両車とも既に乗用車同等のものがしっかり備わっているのだが、いまのところACCが装備されるという情報は伝わってこないのが残念なところ。商用車特有の重量積載物の有無による制御の加減が難しいのだろうか。今後の技術革新を待ちたい。
[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダトオル/撮影:島村 栄二・茂呂 幸正・NISSAN・TOYOTA]
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