ホンダ Nシリーズで随一の売り上げを誇るN-BOX! なぜ他のNシリーズは追随できないのか
MōTA / 2021年11月3日 11時30分
ホンダ Nシリーズは軽自動車で随一の売り上げを誇るN-BOXをはじめ、さまざまなタイプの軽自動車がラインアップされている。しかし、注目されるのはN-BOXのみで、他のモデルは影を潜めている。 なぜ他のNシリーズはN-BOXに追随できないのだろうか。それはN-BOXのキャラクターであるスーパーハイトワゴンならではの装備や機能性にあった。詳しく紹介しよう。
軽自動車の主流はスーパーハイトワゴンだ!
ホンダ N-BOXの快進撃が止まらない。何しろ2021年9月の軽自動車販売台数で依然、1位をキープ。その販売台数は前年比割れしているとはいえ(半導体問題で納期が遅れていることもある)、1万1805台と、2位の日産 ルークスの9708台、3位のスズキ スペーシアの7573台、5位のスズキ ハスラーの5903台を圧倒しているのである。
しかし、Nシリーズには、今ではN-WGN、N-ONEといったハイトワゴン、プレミアムな乗用車もある。N-WGNは同4453台で10位につけているものの(日産軽のハイトワゴンのデイズは11位)、N-ONEはなんと740台で、軽自動車販売台数ランキングの15位にも入らない。よって、Nシリーズの快進撃はN-BOXによってもたらされていると断言していいのである。
そう、現在の軽自動車の圧倒人気はスーパーハイト系と呼ばれる大容量の軽自動車なのである。空前のSUVクロスオーバーブームに乗って、ハスラーがそれになんとか迫っているということだ。
N-BOXは幅広い世代から好評のサイズ感と使いやすさが魅力
N-BOXが売れている理由は、ミニステップワゴンのような堂々とした、かつ好き嫌いが出にくい端正かつ立派に見えるエクステリアデザインが幅広い層にウケている。
そしてなによりも子育て世代からシニアの乗降にも嬉しい両側スライドドアを備えた室内空間のコンパクトカーも真っ青な広さ、そしてシートアレンジ性の素晴らしさといった使い勝手にあると考えていい。同種のライバルが売れているのも同様の理由からである。
N-WGNやN-ONEのリヤヒンジ式ドアとの大きな違いでもある。
N-BOXの後席はMクラスボックス型ミニバン並みの広さを確保
さらに身長172cmの筆者基準で前席に座れば、シートハイト調整最下端位置でも頭上に290mm、その背後のフラットフロアの後席に座れば頭上に250~265mm(後席スライド位置による)、膝周りに驚愕の210~420mm!!という、Mクラスボックス型ミニバン並みかそれ以上の空間が確保されているのだ。
もちろん、後席膝周り空間を420mmになるまで後席を後ろにスライドさせれば、天井高が1200mmもある荷室の奥行きは410mm(後席最前端位置だと600mm!!)になるのだが、そうした室内空間と荷室空間の広さを変える自由度もまた、スーパーハイト系軽自動車の使い勝手の良さに直結すると考えていい。
もちろん、後席を低く畳み、荷室空間を拡大すれば、何と27インチの自転車まで(前輪をフロア側に落とすことで)、そのまま積めるのだから便利このうえなしなのである。これはスーパーハイト系ならではの全高、室内高の余裕、フロアの低さがポイントだから、さすがにN-WGNやN-ONEではできないことだ。
N-WGNは前席頭上に250mm、後席頭上に195mm、膝周りに最大320mm。N -ONEともなると、前席頭上に190mm、後席頭上に120mm、膝周りに200mmと、一気に室内居住空間は狭くなってしまう。
それでもN-WGNなら狭さなど感じることはないのだが、N-BOXと比べたり乗り換えたりすれば、やはりN-BOXほどの広さ、それに伴う快適感は得られない。
子供やペットを乗せるユーザーからも好評のロールブラインドも人気に拍車をかけた
子育て世代のユーザーが子供を後席にチャイルドシートを設置して乗せる、あるいはペットをホンダ純正のホンダドッグシリーズのドッグアクセサリーを使用して後席に乗せる際にうれしいリヤスライドドア部分のウインドーに用意された、直射日光を和らげ、車内温度の上昇抑制にも効果があるロールブラインドも、軽自動車ではスーパーハイト系ならではの装備なのである。
価格が大きく変わらないため、万能なN-BOXが選ばれている
多彩なNシリーズの中でも、N-BOXが、というより万能に使え、ファーストカーにもなりうる、見晴らし視界が気持ちよく、それが運転のしやすさにも直結するスーパーハイト系軽自動車の人気がほかを大きくリードするのは、価格差がそれほど大きくないこともあって、当然のことと言っていいのである。
これはライバルメーカーでもまったく同じだ。そしてそうした小さいクルマでも広さ、使い勝手、機能といった魅力が、かつてのミニバンブームのように、今の軽自動車に求められているということなのだろう。
【筆者:青山 尚暉】
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