コンパクトSUV「トヨタ ライズ/ダイハツ ロッキー」にe-SMARTハイブリッド新搭載! ヤリスクロスのハイブリッドとは何が違う!?
MōTA / 2021年11月5日 19時0分
ダイハツとトヨタは2021年11月1日(月)両社共同開発によるコンパクトSUV「ダイハツ ロッキー」「トヨタ ライズ」を一部改良し、新開発のハイブリッドシステム「e-SMART ハイブリッド」を新搭載した。これまでコンパクトSUV最小のハイブリッド車だった「ヤリスクロス」ハイブリッドとはどう違うのか。国内外の新型車事情に精通する“新車の鬼”ことカーライフジャーナリスト渡辺 陽一郎氏が、トヨタ 新型ライズ/ダイハツ 新型ロッキーの新しいメカニズムから価格までとことん解説する!
ヤリスクロスなどが採用するハイブリッドシステムと異なり、e-SMARTハイブリッドは100%モーターで駆動する
コンパクトSUV「ヤリスクロス」など、トヨタ車が多く採用するTHS II(トヨタハイブリッドシステムII)は、エンジンとモーターが両方とも協調しながらホイールを駆動する。発電機とモーターを搭載するので、e-SMARTハイブリッドのように、発電とモーター駆動を同時に行うことも可能だ。走行状態に応じて複雑に制御している。
「e-SMARTハイブリッド」は、従来のトヨタ式に比べ役割分担が明確! エンジンの効率も極めて高い
加速時には、大量の発電が必要だから、エンジン回転を高めることもあるが、通常の走行では効率を追求できる。そのためにe-SMARTハイブリッドは、最高熱効率が40%に達する。
e-SMARTハイブリッドのカタログ燃費も28km/L(WLTCモード燃費)と優れている。この燃費数値は「ヤリスクロス」のハイブリッド(2WD)モデル、27.8~30.8km/Lと同等だ。
100%モーター駆動のe-SMARTハイブリッドは運転感覚も上質だ
トヨタのTHS IIも燃費効率が優れ、加速も滑らかだが、アクセル操作と速度の増減に若干の時間差が生じることもある。例えば登坂路に差し掛かって緩やかにアクセルペダルを踏み増した時、エンジン回転数が先に上昇して、その後で速度が追いかけるように高まる。こういった違和感もモーター駆動の制御を上手に行えば生じにくい。
日産のe-POWERにも、スマート(あるいはスポーツ)/エコ/ノーマルという切り替え機能が備わり、スマートやエコを選ぶとアクセルペダルを戻すと同時に強めの減速が生じる。eスマートハイブリッドのスマートペダルも同様の制御になる。
1.2リッターノンターボ、1リッターターボ、そしてe-SMARTハイブリッドの3タイプに増えたトヨタ 新型ライズ/ダイハツ 新型ロッキーのパワートレイン
e-SMARTハイブリッドのほかに、同じ直列3気筒1.2リッターを搭載するノーマル(ノンターボ)タイプも加えている。従来のエンジンは直列3気筒1リッターターボのみだったが、改良後のターボは4WD専用になり、2WDは1.2リッターノーマルタイプとe-SMARTハイブリッドになった。
つまりトヨタ 新型ライズ/ダイハツ 新型ロッキーでは、合計3種類のパワーユニットを揃えている。
ヤリスクロスやホンダ ヴェゼルのハイブリッドとの価格差約37万円に対し、e-SMARTハイブリッドは約28万円に抑えられた
コンパクトSUVのほかの車種を見比べてみると、トヨタ ヤリスクロスでは、ハイブリッドの価格は同じグレードの1.5リッターノーマルエンジン車に比べて37万4000円高い。ホンダ ヴェゼルのハイブリッドモデル、e:HEV(イーエイチイーブイ) Xも、ノーマルエンジンのGを37万9500円上まわる。
ロッキー ハイブリッド Xの価格は211万6000円なので、ハイブリッドシステムを搭載するSUVでは最廉価だ。ヤリスクロス ハイブリッドは、最も安価なXでも228万4000円だから、ロッキー ハイブリッド Xはさらに約17万円下まわる。
安いけれどe-SMARTハイブリッドのシステムは本格派のストロングハイブリッドだ
このようなハイブリッドを28万9000円の価格アップで実現できた背景には、ダイハツの親会社となるトヨタとの連携もある。バッテリーパック、駆動と発電に使われるモーター・ジェネレーター、減速機能などは、THS IIのパーツを使っている。ハイブリッドシステムのユニットは構造も含めて別設計だが、構成要素は大量に生産される(仕入れられる)トヨタのTHS IIと共通化され、コストを抑えた。
ノーマルとe-SMARTハイブリッドの価格差は28万円! トヨタ 新型ライズ/ダイハツ 新型ロッキーの損得勘定を考えてみる
一部改良で装備面もさらに充実
今回のトヨタ ライズ/ダイハツ ロッキーのマイナーチェンジでは、e-SMARTハイブリッドと1.2リッターノーマル(ノンターボ)エンジンの設定に加えて安全装備も充実した。衝突被害軽減ブレーキなどは夜間の歩行者にも対応しており、標識を認識して表示する機能にも、最高速度と一時停止を加えた。路側逸脱警報、ふらつき警報も追加している。
燃費だけで考えれば1.2リッターノーマルエンジンも十分に優秀だ
例えばライズ Zの価格は、e-SMARTハイブリッドが1.2リッターノーマルエンジンよりも28万9000円高いが、購入時に納める税額はe-SMARTハイブリッドが7500円安い。そのために実質差額は28万円に縮まる。
レギュラーガソリンの価格が1リッター当たり155円(2021年11月現在の169円は高すぎる)、実用燃費をWLTCモード燃費として計算すると、28万円の実質差額を燃料代の節約で取り戻せるのは14万kmを走行した頃だ。
1.2リッターノーマルエンジンのWLTCモード燃費も20.7km/Lと優れているため、取り戻せるまでの距離も長くなる。
それでも、e-SMARTハイブリッドには、前述の通りスマートペダルが装着され、モーター駆動だから加速感も滑らかで上質だ。ライズとロッキーを買う時は、販売店で乗り比べて判断したい。
乗り方に応じて選びたい! トヨタ 新型ライズ/ダイハツ 新型ロッキーのオススメグレード
用途や好みに応じて選び分けられるラインナップが完成したので、トヨタ ライズ/ダイハツ ロッキーは今後も堅調に売れそうだ。
[筆者:渡辺 陽一郎(カーライフジャーナリスト)/撮影:ダイハツ工業・トヨタ・MOTA編集部]
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