ランクルシリーズでダントツに売れているのは“プラド”だった! デビュー11年目を迎えたランドクルーザープラドの人気が維持される6つの理由
MōTA / 2021年11月14日 13時0分
1951年の初代モデル誕生から70周年を迎えた2021年、トヨタの四輪駆動車「ランドクルーザー」シリーズが改めて注目を集めている。中でも、フラッグシップのランドクルーザー(ランクル300)がフルモデルチェンジし話題を呼んだ。しかし現在日本で安定的に売れているのは、実は圧倒的に「ランドクルーザープラド」のほうである。優れたブランド力やリセールバリューの高さなど、デビュー11年目を迎えたランドクルーザープラドが今なお根強く支持される6つの理由について、国内の新車流通に精通するモータージャーナリストの鈴木 ケンイチ氏がレポートする。
ランドクルーザーは現在3つのシリーズがラインナップ! 国内で最も売れているのは断トツで“プラド”だった
この夏(2021年8月2日)、トヨタの新型ランドクルーザー(ランクル300)が発売され、ネットなどでは、その話題が大いに盛り上がっているようだ。ちなみに、ランドクルーザーは同じ名前の中で3系統のモデルが存在する。ひとつは、1951年に登場したランドクルーザーの始祖BJシリーズの直系となる「ヘビーデューティ」な70系(日本国内での販売は終了)。フラッグシップとして、最新の技術を積極的に採用する「ステーションワゴン」系。そして、日常の使いやすさをカバーする「ライトデューティ」系のランドクルーザープラドだ。
ランドクルーザーは、この3つのシリーズを世界約170か国で展開し、累計で1000万台が販売されてきた。今回、8月に登場したのはフラッグシップのステーションワゴン系で、新型はランドクルーザー300と呼ばれる。しかし、日本で一番に売れているランドクルーザーは、実のところ「ステーションワゴン」ではない。話題の300系ではないのだ。ナンバー1は、「ライトデューティ」のプラドなのだ。
過去4年を振り返ってみると、その販売実績は以下のようになる。
ランドクルーザーシリーズにおけるプラドの新車販売実績[2018~2021]
<販売年/ランドクルーザー(シリーズ全体販売台数)/ランドクルーザープラド販売台数/プラドの割合>2018年/2万9420台/2万5810台/約88%
2019年/2万8480台/2万5820台/約91%
2020年/2万6300台/2万4640台/約94%
2021年1~10月/2万8230台/2万6570台/約94%
※筆者製作・1ケタは四捨五入[データ:トヨタ自動車調べ]
つまり、日本で販売されているランドクルーザーのうち、ほぼ9割がランドクルーザープラドなのだ。現行プラド(第4世代、150系)は、デビューが2009年9月。つまり、今年で11年目となるモデルだ。それなのに、いまだに年間2万台のペースで売れている。まさに驚くべき人気と言えるだろう。
ちなみに、日本ではプラドが9割を占めるが、中東の販売ではステーションワゴン系がほとんどだという。アフリカは70系が中心で、ステーションワゴン系が少々。オーストラリアは、70系、ステーションワゴン系、ランドクルーザープラドが均等に売れているという。3系統があることで、世界の幅広いニーズに応えることができるのが、ランドクルーザーの強みでもあるのだ。
ブランド、サイズ、多様な使い勝手、価格、先進装備、リセールバリュー …ランドクルーザープラドが支持される6つの理由
では、そんなランドクルーザープラドは、いったい何が良いのか?まず言えるのは、基本はランドクルーザーの他のモデルと同じだということ。過酷な使用条件下における卓越した走破性・信頼性という基本性能が備わっている。「必ず帰ってくることができる」というクルマなのだ。つまり、トヨタSUVの頂点に君臨する「ランドクルーザー」という名を名乗る資格がある。そして、ランドクルーザーという名声、ステイタスは、何よりの魅力と言えるだろう。
2つ目に挙げられるのが、プラドならではの特徴だ。まず、重要なのは、そのサイズだ。ステーションワゴン系である新型ランドクルーザー300は、全長が5m、全幅は2mに限りなく近づく、大型のSUVだ。それに対して、ランドクルーザープラドはもう一回り小さい。ミニバンのベストセラーであるアルファードと比べると、プラドは幅が3cm大きいけれど、全長は12cm短く、全高は10cmも低い。日本国内での取り回しも、アルファード程度ということになる。5人乗り仕様もあるが、基本は7人乗りの3列シートというのもランドクルーザープラドの3つ目の特徴だ。しかも3列目シートが床下に収納できる。つまり、7人乗りのミニバンのようにも使えるし、5人乗車と割り切れば荷室も広く使える。フレキシビリティに富んだ使い方ができるのだ。
また4つ目の魅力として、価格も挙げられる。ステーションワゴンの300系は510万円以上という価格帯に対して、プラドは366万6000円から。150万円も安いのだ。正直、価格が違い過ぎる。ちなみにアルファードの価格も360万円から。つまり、ミニバンのアルファードの対抗馬として見ることもプラドは可能なのだ。 そして5つ目は装備面。ここ最近になって注目を集めている先進運転支援システムもプラドはしっかりと装備されている。度重なるマイナーチェンジや一部改良により、現在のプラドはプリクラッシュセーフティ(衝突被害軽減自動ブレーキ)やACCといった安全装備も用意されるなど、絶えずアップデートが図られている。これもプラド人気を支える理由のひとつだろう。最後に挙げたいのはリセールバリュー。ランドクルーザープラドは、他のランドクルーザーシリーズ同様に中古車相場が高いというのも嬉しいポイントなのだ。なんと、車歴10年という古い車両でも200万円以上の価格でプラドの中古車が売買されている。つまり、下取りも高いというわけだ。これも新車購入の追い風になるのは間違いない。
ランドクルーザープラドは、大人数が乗れて荷物もたくさん積める実用性の高さを誇る信頼のブランドだった
まとめてみると、ランドクルーザープラドは、“トヨタのフラッグシップSUV”“世界で認められたランクル”というブランド力があり、ミニバンと同じ多人数乗車と、ミニバン以上の広い荷室がある。サイズは大きいけれど、取り回しはアルファードと同程度。もちろん、信頼性と悪路走破性、丈夫さは世界最高クラス。しかも下取り価格も高い。大人数も荷物もたくさん積みたいという人にとって、これほど嬉しい特徴のあるSUVはなかなかないのではないだろう。だからこそ、プラドはデビュー11年目でありながらも堅調に売れ続けているのだろう。[筆者:鈴木 ケンイチ/撮影:和田 清志・TOYOTA]
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