日産の軽「ルークス」が王者N-BOXに勝った! 購入層の決め手は「安全性能」にあり
MōTA / 2021年11月19日 11時30分
2021年10月、軽自動車界にちょっとした異変が起きた。同月の新車販売ランキングで、1位常勝だったホンダ N-BOXが3位に転落。ライバルの日産 ルークスは先月同様の2位をキープしたのだ。勢力図が塗り替わったのか、はたまた短期的な現象なのか。その背景を探ってみよう。
2021年10月、軽自動車の販売ランキングに変化が起きた
全軽自協(一般社団法人 全国軽自動車協会連合会)調べによる「軽四輪車通称名別新車販売確報」によると、2021年10月の軽乗用車販売台数ランキングベスト3は、1位 スズキ ワゴンR(販売台数:8808台・前月比:116.3%、以下同)、2位 日産 ルークス(8696台・89.6%)、3位 ホンダ N-BOX(7442台・63.0%)となった。前月2021年9月のランキングは、1位 ホンダ N-BOX(1万1805台・89.2%)、2位 日産 ルークス(9708台・204.9%)、3位 スズキ ワゴンR(7573台・144.7%)で、N-BOXとワゴンRが入れ替わった格好である。
ワゴンR躍進の理由は、2021年8月末に新登場した派生モデル「ワゴンR スマイル」に寄るところが大きい。詳しくは別記事でご紹介しているので、ご興味の方はそちらを見て頂くとして、今回注目したいのは日産 ルークスについてだ。
各社が激しくしのぎを削る人気ジャンル「軽スーパーハイトワゴン」
現在、軽自動車の販売で主流となっているのは、車高を高め後席にスライドドアを備えた軽スーパーハイトワゴンと呼ばれるジャンルである(前出のワゴンRシリーズは、それより少し背の低い「ハイトワゴン」ジャンルに属する)。軽スーパーハイトワゴンは広大な室内空間が支持され、特にファミリー層から人気が高い。2019年の12月から2021年9月まで、全軽自協のランキングで連続1位をキープしていたホンダ N-BOXをはじめ、スズキ スペーシア、ダイハツ タント、そして日産 ルークスなど、各社のライバル車同士がランキング上位で常にしのぎを削っている状況にある。
各モデルのモデルチェンジ時期は、N-BOXが2017年9月、スペーシアが2017年12月、タントが2019年7月、そしてルークスが2020年3月にそれぞれ発売されている。そう、並居るライバル車の中で最も新しいモデルが日産 ルークスなのだ。
普通乗用車から軽へ乗り換えるユーザーに対し、安全性の高さで訴求し成功したホンダ
近年の軽自動車は、これまで軽を乗り継いできたユーザーだけでなく、ミニバンやセダンなど小型・普通乗用車から移行(ダウンサイジング)してくるユーザーが急激に増えている。中でも、室内空間が広く実用性の高い軽スーパーハイトワゴンは特にその傾向が強いと各社は口を揃える。そうした新規ユーザーに対し、乗用車同様の先進運転支援技術「HondaSENSING(ホンダセンシング)」を標準装備し、安全性能の高さでアピールしていたのがホンダ N-BOXだった。軽の不安を払しょくすることで、販売へつなげた。
後発の日産も第三者機関の高評価を後ろ盾に安全性をアピールする
後発組のルークスも、高速道路で運転支援を行う機能「プロパイロット」をはじめ、日産の乗用車で培われた多数の先進安全技術を搭載し、強豪N-BOXに真っ向から対抗してきた。その結果、国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)による自動車アセスメント「JNCAP」において、自動車安全性能2021の最高評価「ファイブスター賞」を獲得。特に予防安全性能評価では軽自動車初の満点を獲得するなど、第三者機関からの高い評価を得ている。
日産の販売店でもこの点を強調したセールス活動を強化。自社の代替ユーザーを中心に強く訴求することで、ここ数か月は販売力を高めた模様だ。
日産の三日天下か、それとも勢力図が塗り替わってきたのか… まだまだ軽自動車の動向から目が離せない!
ただし現在、各メーカー共に半導体不足や部品メーカーの生産遅れなどで生産調整を余儀なくされており、王者N-BOXは特にその影響を強く受けている状況にある。日産の好調ぶりが短期的なものなのか、あるいは勢力図が塗り変わり始めているのか、現段階でその判断を下すのは難しいところだ。なおホンダ関係者に取材したところ、同社の生産調整もようやくひと段落し、年末にかけ販売台数も徐々に戻るだろうとのこと。11月以降の販売ランキングでN-BOXがどこまで戻してくるのか、そしてルークスもどこまでこの勢いを保つのか、今後の動向にも引き続き注目していきたい。
[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダ トオル/撮影:茂呂 幸正・NISSAN]
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