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販売不振のタントにクロスオーバーモデル追加か!? スズキの成功を受けダイハツも検討を開始

MōTA / 2021年11月22日 16時0分

ダイハツ タフト レイクブルーメタリック

ダイハツの軽スーパーハイトワゴン「タント」の売れ行きが伸び悩んでいる。軽の中でも最も売れ筋なスーパーハイトワゴンのカテゴリーだが、ホンダ N-BOXやスズキ スペーシアなどを前に苦戦中。さらにここ最近はコロナ禍による部品供給遅れや半導体不足の影響も重なり、2021年度上期の販売は厳しい状況にある。打開策として考えられるのが、流行りのクロスオーバーモデル追加だ。ライバルのスズキがいち早く取り入れ、スペーシアの販売増に効果を上げているこの手法。タント販売増の切り札となるか。タントクロスオーバー(仮称)について徹底予想する。

ダイハツ 新型タント/タントカスタム

2003年、軽スーパーハイトワゴンジャンルの先駆けとしてデビューした初代タント

ダイハツ タントの初代モデルが登場したのは2003年。車高やホイールベースを最大限まで拡大させた高効率なパッケージングとし、規格のボディサイズで制限される軽の空間効率を最大限高めた。その斬新なスタイルや抜群の使い勝手から主にファミリー層から支持を集め、大ヒット作となった。

2007年12月にフルモデルチェンジした2代目タントからは、後席左右をスライドドアとした。さらに他社にはないセンターピラーレス「ミラクルオープンドア」(助手席側のみ)も採用し、乗降性を大幅に改善している。

ライバルのスズキも2008年に「パレット」(2013年のモデルチェンジで「スペーシア」に変更)を出したものの、タントの人気には太刀打ちできなかった。

試乗を開拓したタントだが、後発のN-BOXやスペーシアにシェアを奪われることに

軽スーパーハイトワゴン市場で現在TOPシェアを誇る「ホンダ N-BOX」

軽スーパーハイトワゴンジャンルで、圧倒的な人気を誇っていたタント。2011年にホンダが対抗車「N-BOX」を出し、日産や三菱なども参戦するとさらに市場規模は拡大し、熾烈な販売合戦も繰り広げられた。ここ数年は、軽販売ランキング上位の多くが、軽スーパーハイトワゴンで占めるようになっている。

市場を開拓したタントだが、近年は後発のN-BOXやスペーシアに次ぐ第3位のポジションで甘んじている状況だ。2021年度上半期(2021年4月~9月)の軽自動車販売ランキングでは、1位 ホンダ N-BOX(9万453台)、2位 スズキ スペーシア(5万8144台)、3位 ダイハツ タント(4万7933台)の順となっている。この順位は、2020年度(2020年4月~2021年3月)から変わっていない。

2019年7月にフルモデルチェンジした現行型(4代目)「ダイハツ タント」(写真は「タントカスタム」)

ちなみに2019年度(2019年4月~2020年3月)は1位 N-BOX、2位 タント、3位スペーシア。タントはこの年の7月に現行型(4代目)へとフルモデルチェンジしており、その影響も大きかった。ちなみに現行型N-BOX(2代目)のデビューは2017年9月。スペーシアも2017年12月にフルモデルチェンジしており、3台の中でタントは一番新しいモデルなのだが、新型効果も長続きしなかったようだ。

スズキとダイハツ、半期で1万台の販売差はクロスオーバーモデルの有無にあった!

スズキ スペーシアのクロスオーバーモデル「スペーシア ギア」

ただしスズキは現行型スペーシアで、新たな試みをしていた。デビューから1年後の2018年12月、派生モデル「スペーシア ギア」を追加していたのだ。ジムニーやエスクード、そしてハスラーなど、スズキが得意とするSUVモデルのテイストを軽スーパーハイトワゴンの世界にも投入したクロスオーバーモデルである。

SUVテイストのスタイルを採用した「スペーシア ギア」, ノーマルの「スペーシア」と比べると随分とイメージが異なることがわかる

SUVテイストのスタイルを採用した「スペーシア ギア」, ノーマルの「スペーシア」と比べると随分とイメージが異なることがわかる

スペーシア ギアは、折からのアウトドアブームに伴うSUV人気とも相まって、新たな需要を開拓。スズキによれば、直近のスペーシア販売の中では“ギア”が2割ほどを占めているという。2021年度上期で、スペーシアとタントのおよそ1万台の差にも、効果をあげているのは間違いないだろう。

「タント クロスオーバー(仮称)」の設定をダイハツも検討の模様

クロスオーバースタイルで2020年のデビュー早々に人気を博した「ダイハツ タフト」

という訳ですっかり前置きが長くなった。ダイハツ社内でも当然ながらスペーシアの手法と効果は話題となっており、タントへの採用も検討されている模様である。

ダイハツの軽SUV「タフト」のような樹脂フェンダーや前後バンパー装飾を加え、専用ボディカラーなどと共にクロスオーバースタイルを演出するというものだ。

ただしこれが次期モデルに対する検討か、あるいは現行型から実施されるのかは、現段階でははっきりしない。

2022年にも予想されるタント初のマイナーチェンジで追加設定か

写真は「スズキ スペーシアギア」,ルーフレールや専用2トーンカラーなどでもイメージは大きく変わるものだ

写真は「スズキ スペーシアギア」,ルーフレールや専用2トーンカラーなどでもイメージは大きく変わるものだ

タントは直近で2021年9月に一部改良を実施済み。来年2022年の改良時には、デビュー3年後のマイナーチェンジとなる。

MOTAではこのマイナーチェンジのタイミングにあわせ、タント販売増のカンフル剤として「タント クロスオーバー(仮称)」が投入されると予想するがいかがだろうか。

最大のライバルであるホンダにも、このクロスオーバースタイルの設定はまだ設定がない。2017年のデビューから既に4年が経過しており、このタイミングで追加される見込みは薄い。あるとしても、2年後に予想されているフルモデルチェンジ時だろう。だとすればなおのこと、早急に導入することで市場シェアを獲得できる可能性が高まる。「タント クロスオーバー」の情報は引き続き追っていきたい。新たな情報がわかり次第、またご紹介することにしよう。

[まとめ:MOTA(モータ)編集部 トクダ トオル/撮影:和田 清志・茂呂 幸正・小林 岳夫・ダイハツ工業・スズキ・本田技研工業]

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