今年の1台はどれだ!? 日本カー・オブ・ザ・イヤー2021-2022発表直前! 10ベストカーにエントリーされたモデルをイッキ乗り!
MōTA / 2021年12月9日 19時0分
シボレー コルベット[日本カー・オブ・ザ・イヤー2021-2022 10ベストカー取材会(2021年11月24日/会場:千葉県・袖ケ浦フォレストレースウェイ)] [Photo:日本カー・オブ・ザ・イヤー]
2021年12月10日(金)、今年2020年を代表する1台を決める「日本カー・オブ・ザ・イヤー2021-2022」(主催:日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会)が発表される。第一次選考で選出された上位10車(10ベストカー)の中から日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員60名の票によって決まる。第二次の最終選考に先立ち、11月24日(水)に行われた10ベストカー試乗会が実施された。 選考委員のひとりであるモータージャーナリストの嶋田 智之氏が、改めてこの10台と、K CARオブ・ザ・イヤーのエントリー車2台を乗り比べ。2021年を代表する12台のショートインプレッションをイッキにお届けしよう。
日本カー・オブ・ザ・イヤーは第一次選考で投票された10ベストカーの中から選ばれる
今年も日本カー・オブ・ザ・イヤー発表の季節がやってきた。日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)は、日本を代表するクルマの賞典。自動車評論家、ジャーナリスト、有識者からなる60名の選考委員が今年を代表する1台を選出する。その歴史は古く創設は1980(昭和55)年で、今回が第42回目となる。
賞典選考の流れをご紹介しよう。まず第一次(ノミネート)選考で、ノミネート車の中から、最終選考に値すると判断した10台を60名の選考委員が投票。上位10台がCOTY最終選考の候補車10ベストカーとなる。
そして第二次(最終)選考で、各選考委員が25点の持ち点を10ベストカーのうち5台に配点。その中でも最高評価の1台には10点を与え投票する。こうして決まるのが日本カー・オブ・ザ・イヤー(本賞)となる。日本車が本賞の場合、輸入車で最高得点を獲得したクルマにはインポート・カー・オブ・ザ・イヤーが与えられる。さらにデザイン・カー・オブ・ザ・イヤー 、テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー、パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤー、K CAR オブ・ザ・イヤーの各部門賞も選出。これらは全て2021年12月10日(金)に発表される。
ここからはモータージャーナリストの嶋田 智之さんにバトンタッチし、10ベストカーで日本カー・オブ・ザ・イヤー2021-2022本賞候補の10台と、K CARオブ・ザ・イヤーのエントリー車2台のショートインプレッションをまとめてお届けしよう。
[ここまでのまとめ:MOTA(モータ)編集部 トクダ トオル]
若いうちに乗れば、アナタの人生は違ったものになる「トヨタ GR86/スバル BRZ」
先代の“ここがこうなってたらもっとよかったのに”が綺麗さっぱりクリアになって、スポーツカーがもっとスポーツカーになったというか、リアル・スポーツカーになったというか。トヨタ 新型GR86/スバル 新型BRZの出来映えは、ちょっとばかり感動的ですらある。ドライバーが“楽しい”“気持ちいい”と思えるツボをちゃんと押さえてる。その点では稀代の名車AE86と並べるレベルかも。
若いうちにこういうクルマに触れたら、間違いなく人生は違ったものになる。
レクサス超えの乗り心地とハンドリングだがインフラに課題を残す「トヨタ MIRAI(ミライ)」
水素で走るFCVというECOカーとしての長所をしっかりと伸ばしたり広げたりした、クルマ作りの哲学と技術には感銘を受ける。が、それ以上に1台のプレミアム・サルーンとして極めて真っ当どころか、出来映えも素晴らしい。乗り心地もハンドリングも、プラットフォームのベースとしたレクサスLSを越えたかも、と思えたくらい。
問題は、やはりインフラ。現状ではまだまだで、人様にオススメできないレベルなのだ。クルマは素晴らしいのに。
この先きっと悪路など走らなくても、なぜか欲しくなってしまう説得力がある「トヨタ ランドクルーザー」
日本が世界に誇れるプレミアム系オフローダーとして、全方位的な進化を遂げている新型ランクル。他の強豪たちがラダーフレームを捨てても頑なにそこにこだわり、それでも現在の高級SUVに求められる日常的な快適さを充分に満たしてるのはお見事。過酷な悪路を走ることなどおそらくないのに欲しいと思わせる、その説得力は強力だ。息が長いモデルゆえ長く乗れそうな点も好ましい。
ディーゼルかガソリンか、それぞれ良好なので悩む。
注目は“NISMO”! e-POWERの新たな可能性を教えてくれた「日産 ノート/ノートオーラ」
カーボン・ニュートラルに近づけるための現実的なチョイスであり、最も楽しいチョイスでもあるe-POWER。ベースのノートやノートオーラもよくできたモデルだとは思う。が、僕が注目したのはノートオーラ NISMO。そのパワーやトルクの出し方の表現は、モーターで走るクルマの利点を膨らませたモノ。走らせていて、素直に楽しい。
制御の仕方次第でe-POWERがスポーツカーにも充分に実装可能であり、新しい楽しさを提供できることを示してると思う。
全ての面でバランス良く高得点を得る“いいクルマ”「ホンダ ヴェゼル」
加減速、ハンドリング、乗り心地、使い勝手、インテリアの質感、スタイリング…。それぞれの得点が高くてバランスも良好。素直に“いいクルマだな”と感じられる。その反面、コレだ! と気持ちが上がるような明確な決め手のようなものには欠ける気もしないでもないけど、先代から大きく変わった新型ヴェゼルが売れる理由はよく解るし、素直に納得もできる。
軽快で自然なFFか、安定感と滑らかさのリアルタイムAWDか悩むところだけど。
とびきりエコなSUVだがモードを切り替えれば“ランエボ”の走りにも変化!「三菱 アウトランダーPHEV」
スタイリングはグッと洗練、インテリアも上質さを増し、3列目シートも用意され、さらにはPHEVのモーター出力も大幅に向上し、魅力を増した新型アウトランダー。けれど個人的にはハイブリッドの技術を走る楽しさに活かしてることが嬉しかった。電子制御と相性のいいモーターの駆動を巧みに変化させ、モードごとに別のクルマを走らせてる気になるくらいフィールと走りっぷりを違えてるのだ。ランエボ感覚(?)すら味わえるのである。
見慣れてきたらクセになる顔!?「BMW 4シリーズ」
シルエットが美しいクーペのスタイリングに、強烈な個性を持った顔の組み合わせ。最初は違和感を持ったものだけど、何度も見て慣れてきたらカッコイイかも……と思わされるから不思議。この顔、クセになるかも。無意識にBMWに期待してしまう走りの部分についても、加速、巡航性、曲がりっぷりともに充分な満足感がある。基本的にはスポーツカーというよりグランツーリスモ色の強いクルマだが、“駆け抜ける歓び”はしっかり味わえる。
2021年に登場した新型車の中でも頂点級の驚き!「シボレー コルベット」
古い人間なので、コルベットにはFRのままであって欲しかった……なんて思いながら試乗したら、そんな気分は一瞬で雲散霧消しちゃうくらい素晴らしかった。いわゆる普段乗りでは扱いやすく乗り心地もよく、自然吸気の大排気量V8はどこから踏んでも速く、重心高の低いOHVであるせいかハンドリングも抜群。ミドシップなのに雨の峠でもコントローラブルだった。
こんなに素晴らしくて1180万円から。これは2021年の頂点級の驚きだった。
往年の重厚な乗り味が帰ってきたことに好感「メルセデス・ベンツ Cクラス」
メルセデスだから出来がよくて当たり前、という色眼鏡はある。僕達もついそう見てしまう。けれど新しいCクラスは、それをやすやすと越える出来映え。何が素晴らしいって、その乗り味だ。人によってはスポーティ過ぎると感じることもあって、個人的にはそこも大きな魅力を感じる部分である。が、パワートレーンは静かで滑らか、乗り味はよく曲がるくせに基本は重厚。“最善か無か”の社是を掲げていた、あの頃のメルセデスが戻ってきたみたい。そこが喜ばしい。
1リッターターボモデルでも実に気持ち良く走ってくれる!「フォルクスワーゲン ゴルフ」
やっぱり最新のゴルフこそ最良のゴルフなんだな、と思わされる。とりわけ3気筒1リッターターボ+48Vマイルドハイブリッドは嬉しい驚き。決してパワフルでバカっ速じゃないけど、峠道に連れていっても曲がりっぷりの気持ちよさ含め、実によく走ってくれるのだ。街中でも高速域でも必要充分以上。デジタルコクピットも慣れれば使いやすい(かも)。ADASの出来も穏やかで安定してて心地好い。まさに社名どおりのピープルズカー、だろう。
乗るたびに感心! 暮らしのパートナーに相応しい存在「スズキ ワゴンRスマイル」
日本の軽自動車の完成度の高さには今さら驚いたりはしないけど、乗るたびにやっぱり感心はする。街乗りレベルの領域では思いのほか活発に走ってくれるし、安定感を持ってスルッと軽快に曲がる。車内は広々で使い勝手もいい。エクステリアもインテリアも気持ちが和むデザイン。しかも、スイッチひとつの電動スライドドアも用意されている。
走ってすごく楽しいというわけでもないけど、暮らしのパートナーとしては最適の存在だろう。
もはや軽の枠を超えた存在に! 良く出来たスモールカー「ホンダ N-ONE」
スタイリングにほとんど変わった感じがなかったことに驚かされたけど、ミニだとかフィアット500がそうだったように、愛されるデザインというのは不変なモノ。そういう領域にいるのかも知れない。ターボ+6MTのモデルは、スピードこそ限られてるけど、スポーティなフィールで走らせる楽しさ、気持ちよさの部分まで満足させてくれる。基本的な出来はいいし、何だか軽自動車というワクを越えて、よくできたスモールカー、という印象。
[筆者:嶋田 智之/撮影:日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会]
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