トヨタ RAV4が人気モデルになれた理由とは!? SUVブームだけが要因ではなかった
MōTA / 2021年12月18日 15時0分
コロナによる工場稼働停止と半導体不足というダブルパンチによって思うようにクルマを作れない状況が続いている。そのため新車販売は軒並みダウンしているが、その中でも意外に好調セールスを維持しているのがトヨタ RAV4だ。 2021年度上半期の販売台数は2万6572台で前年同期比116.8%、2021年11月単月では4510台を販売して登録車ランキングでは12位につけている。これはプリウスを上回る販売台数だ。今回はそんな好調のRAV4が人気モデルになれた理由を紹介しよう。
RAV4はターゲットユーザー層が広いためコロナ禍においても順調に販売を伸ばしている
さらに2021年12月に入ってからは、ワイルドテイストのアドベンチャーグレードにハイブリッド4WDを追加設定するとともに、ハイブリッド車全般とPHVのヘッドランプ意匠変更や、ガソリン車のアルミホイール意匠変更といった商品改良も実施。その魅力を高めている。
あらためてRAV4のプロフィールを紹介すれば、グローバル展開をしているトヨタにとって大きな柱といえるSUVモデル。日本向けには2.0リッターのガソリン車と2.5リッターのハイブリッド車、そして同じく2.5リッターのプラグインハイブリッドを用意している。いずれのパワートレインも駆動方式は4WDを中心にFFも用意するといった具合だ。 価格帯は、ガソリン車のFFが277万4000円、ガソリン車の4WDが300万5000円~359万5000円。ハイブリッドはFFが337万4000円、4WDが362万7000円~410万6000円となる。全車4WDとなるPHVは469万円~539万円だ。かなりワイドな広い価格帯となっているが、つまりターゲットユーザーも幅広いというわけだ。上級モデル化が進み、約3年間は日本未発売の時期もあった
そんな風に安定した売れ行きを見せるRAV4だが、かつては日本市場から退場していたこともあった。振り返れば、キムタクのCMでスマッシュヒットを放った初代RAV4が生まれたのが1994年。最初はコンパクトカーのプラットフォームを利用した3ドアの小さなRVだった。まだ世の中ではSUVという言葉も使われておらず、クロカン4WDぽいけれど中身は乗用車ということで「なんちゃってヨンク」などとマニア層からは揶揄されたこともあった。
しかし、そんな乗用車のハンドリングや2.0リッターエンジンながらRVの中では優れた燃費性能を併せ持ったことが世間に評価される。そうしてRAV4はクロスオーバーSUVというカテゴリーを生み出したというわけだ。初代の途中でロングホイールベースの5ドアをリリースすると、そちらが主力モデルとなり、2000年にフルモデルチェンジした2代目では5ドアボディ中心の設定となった。2006年に誕生した3代目では5ドアボディだけのラインナップになった。
さらに3代目では国内向けに2.4リッターエンジンを採用、海外向けにはV6エンジン搭載車も生まれるなど上級化が進んでいった。ちなみに、そのV6搭載RAV4を日本向けに仕立て直したのがヴァンガードというモデルだ。
海外市場に合わせてボディサイズや排気量アップが図られた
こうしてボディサイズ、エンジン排気量とも海外市場のニーズに合わせて成長していったRAV4は、徐々に日本市場のニーズと乖離していく。そのため、2013年に海外でフルモデルチェンジした4代目RAV4は日本に導入されることはなく、いったん日本市場ではRAV4は消えたモデルとなってしまった。
そんなRAV4が3年弱の時を経て復活したのが、現行モデルの発売が開始された2019年のことだ。RAV4の認知度は高いことは認めていても、一度名前が消えたモデルの復活ということで販売にはネガティブではという見方もあったが、さにあらず。帰ってきたRAV4が順調に売れているのは冒頭で記した通りだ。
SUVブームだけでないヒットの理由はお値打ち価格で走りも良いから!
そうした背景として考えられるのは、日本市場におけるSUVブームの盛り上がりだ。初代RAV4の時代とは比べものにならないほど、日本におけるSUV比率は上がっている。その中で、知名度の高いRAV4の復活は高く評価されたといえる。
またグローバルモデルとしてボディが大きくなっていることの評価についても、4代目のときとは状況が異なる。コンパクトカーでさえ3ナンバーを許容できる市場になっていることで、全幅1850mmを超えるRAV4はけっして大きいと批判される時代ではなくなっている。
加えて、2.5リッターハイブリッドというトルクフルでスムースなパワートレインを得たことを合わせて考えると、RAV4はお値打ちなミドル級SUVというキャラクターとしてむしろ高く評価されている。とくにシステム最高出力163kW(222馬力)かつWLTCモード燃費で20km/Lを超えるハイブリッド4WDのコストパフォーマンスは高い。 ガソリン車を含めて4WD中心のラインナップとしたことでハイブリッドの割高感が抑えられているのも人気を支えているポイントだ。日本でも受け入れられるサイズ感になって帰ってきた!
まとめれば、日本市場におけるSUVブームの拡大と、大型化するグローバルモデルへの受容性が高まっているタイミングでフルモデルチェンジを果たしたこと。さらに日本でのヒット要件である好燃費のハイブリッド車を充実させたことが現行RAV4のヒット要因といえる。
さらに、実際にRAV4に試乗すれば、SUV的シルエットからは想像できないほど気持ちのいいハンドリング性能を持っていることも確認できる。このあたりのキャラクターは、初代が持っていたイメージを大きく正常進化させたもので、日本におけるRAV4への期待値を超える仕上がりとなっている。こうした走りの良さもヒットにつながったことは間違いない。【筆者:山本 晋也】
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