トヨタにもあった!? 意外と知られていないトヨタのハンズオフ機能「アドバンスド・ドライブ」を公道でテスト! 超カンタンかつ高精度な作動に驚愕
MōTA / 2022年1月11日 10時0分
トヨタの高度運転支援技術「Toyota Teammate(トヨタ・チームメイト)」に「Advanced Drive(アドバンスド・ドライブ)」が新たに加わった。これは高速道路などでの走行支援機能のひとつで、本線走行をはじめ車線変更と分岐においても、ハンズオフ(手放し運転)を含む運転のサポートを実施するというもの。完全自動運転時代の幕開けを予感させるアドバンスド・ドライブの機能を、モータージャーナリストの今井 優杏さんが公道上で試してみた。テスト車両はFCVの「トヨタ 新型MIRAI(ミライ)」だ。
メルセデス・ベンツやBMWより数段上の技術力、なのになぜかあまり誇ろうとしない…やけに控えめなトヨタの姿勢
結構スゴイ新技術をシレっと載せてしまう…ちょっぴりアピール下手なトヨタにヤキモキ
かのメルセデス・ベンツが「ハイ、メルセデス」の音声認識システムを搭載した車載型AIをTVCMでガンガンにアピールしていたすぐあと、トヨタはカローラスポーツとクラウンという、控えめに言っても同社の基幹機種と言ってもいいような大事なモデルに「エージェント」という、メルセデス・ベンツの音声認識AIのようなシステムを、DCMという車載通信機とともに搭載した。
ちなみにこれはディスプレイオーディオとセットで販売されたことにより、既存のトヨタ車オーナーからはやや使い勝手の変更面での不満も出たらしいと聞いているが、このディスプレイオーディオ×DCM×エージェントは将来的にトヨタの顧客を守る大事な情報源であり、販売店とのコネクションを築く技術だと思っているから、是非オーナーの皆様も新しい機能を受け入れてほしいと切望している。
トヨタにもあった! ハンズオフ運転可能なクルマのこと、ご存じでした!?
トヨタにも“ハンズオフ”出来るクルマがあるって、知ってますか!?というお話しなのだ。
熱心な読者諸兄におかれましては、おそらく“やっちゃえニッサン”のTVCMで日産 スカイラインが手放し運転できるらしい、とか、ホンダがレジェンドでレベル3の自動運転を市販車で実現したらしいとか、そういうのはよくご存知だと思う。しかしトヨタとレクサスにハンズオフ機能があるってことを知っている人は、かなり少ないように思う。
現在この機能『Advanced Drive(アドバンスド・ドライブ)』は、水素燃料のFCV「トヨタ ミライ」と、「レクサス LS」にしか導入されていないからだ。
ここで話は冒頭に戻る。いかに特別なモデルにしか搭載されていないからってトヨタさん、ちょっと“こっそり導入”が過ぎませんかということなのだ。実に奥ゆかしい。でも興味は有り余るほどある。
というわけで、今回、このアドバンスド・ドライブを試す機会を得たのでレポートしたい。
トヨタの高度運転支援技術「Toyota Teammate(トヨタ・チームメイト)」に含まれる目玉機能がアドバンスド・ドライブだ
アドバンスド・ドライブは、高速道路や自動車専用道路の本線上を走行する際、ナビゲーションで目的地を設定すると、実際の交通状況に応じて車載システムが認知・判断・操作を支援し、車線・車間維持、分岐、車線変更、追い越しなどを行いながら目的地に向かって分岐までの運転を支援する、というもの。
ざっくりとわかりやすく言えば「高速道路でクルコン作動中に渋滞含む一定条件下で手放し運転できますよ」という感じだ。
この機能のためにトヨタ/ レクサスは同社初となるLiDARを採用、それに5台のレーダーと4つのカメラを組み合わせてセンサリングする。
トヨタのアドバンスド・ドライブ、使い方は超カンタンでしかも高精度に機能する
ワンプッシュでシステム起動! の手軽さ
このアドバンスド・ドライブ、実際に使ってみると『やや慎重だな』という印象を受けた。
試乗シーンは横浜みなとみらい近辺。首都高速を含む高速道路である。予めナビに目的地を設定し、料金所のゲートをくぐって高速道路に入る。システムをオンにする操作は、ステアリングホイール右側のメインスイッチをワンプッシュするだけ。他社の同様の機能ではスイッチ+SETと2ステップが多い中、トヨタ/レクサスは潔い選択だと思った。この時点ではレーダークルーズコントロールとレーントレーシングアシストがハンズオンのまま作動する。
しかし、ほどなくしてポン、という電子音に加えて「アドバンスド・ドライブを開始します」との女声アナウンスとともに、メーターの内部がブルーに変わった。これが“ハンズオフOK”のサインだ。
なにげなくやってるステアリング操作って、実は意外と大変だったのね
これらの機能を使い、ハンドルから手を離してみて気づくことがある。それは「ハンドル持つって実はメッチャしんどい姿勢やったんちゃうん?」ということなのだ。
ほんの少しでもハンドルから手を離して一旦リフレッシュできるということが、その後のドライブの快適さをより長く持続させるキモ、と言っても過言じゃないかもしれない。
驚くほどの高精度、そして気遣いも感じられるトヨタのアドバンスド・ドライブ
ハードな曲道や複雑な合流ではまた「ポーン」という電子音とともにブルーの画面がグレーに切り替わってハンズオン運転に戻ることを促されるが、例えば東名高速とか、平坦でなだらかな道なら、かなりのエリアをハンズオフ出来ることは間違いない。
この機能がパワフルな効力を発揮するのは特に渋滞時で、前車に追従して完全停止するところから再加速まで、完全にステアリングホイールに手を添えずにいられるのは相当にありがたいことであった。
ただ、ひとつこれだけはうまく機械とリンク出来ず、難しいと思った操作があった。車線変更と分岐だ。
「アドバンスド・ドライブ」の難点は車線変更と分岐、そしてドライバーの“目視”との関係
追い越し時の車線変更でウィンカーまで自動で作動させる反面、ステアリングの保持を求められる
アドバンスド・ドライブでは、目的地をナビにセットしていれば、分岐や車線変更、追い越しなども行ってくれる。システムが周囲の状況を判断して操作可能、となった場合には、メーター内に操作指示画面が出て、ウインカーのONまで自動で行うのだ。
しかし、このときはステアリングの保持が必須になるのである。
ハンズオフからステアリング操作、そしてハンズオフに戻る一連の動作を決めるカギは“目視”
事実、トヨタの技術者もこの件に関してはデータを集めている最中で、今後はアップデートで改善していくと答えてくれた。
ホンダの同機能はプラス375万円、しかも完全限定販売! トヨタなら55万円のオプションで誰でも手に入る
この価格を考えれば本気で歓迎すべき機能であるし、事実、今後のアップデートによる洗練も大いに期待できると感じた。
[筆者:今井 優杏/撮影:和田 清志・TOYOTA・LEXUS]
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