新型フェアレディZの実力を検証! ライバルGRスープラとの最大の違いはコスパの高さだ
MōTA / 2022年1月15日 13時0分
筆者であるモータージャーナリストの工藤貴宏さんがいまもっとも気になっている新型車は日産 フェアレディZだという。東京オートサロン2022で日本仕様が公開される予定となっている新型モデルだ。 東京オートサロン2022で日本仕様が公開される予定となっている新型である。今回はそんな新型フェアレディZの強力なライバルとなりそうな同じスポーツカーのカテゴリーに位置するトヨタ GRスープラと比較しながら、新型フェアレディZのコストパフォーマンスの高さを紹介したい。
新型フェアレディZのライバルとなりそうなGRスープラの最上位グレード「RZ」
ところで新型フェアレディZといえば、あのライバルも気になるところ。トヨタ GRスープラである。
その概要を説明しておくと、エンジンは排気量3.0リッターのV型6気筒ターボと排気量2.0リッターの直列4気筒ターボがあり、「RZ」と呼ぶ前者の最高出力はデビュー時には340馬力だったがその後の改良でパワーアップを果たして現在は384馬力となっている。後者は197馬力のベーシック版「SZ」と258馬力の高出力版「SZ-R」が用意されている。
新型フェアレディZのライバルとなるのは6気筒版だが、レイアウトが直列かV型かという違いだけでなく、パワートレインには根本的な差がある。それは、GRスープラにはトランスミッションにMTの設定がないことだ(追加されるという噂もあるが……)。 「モータースポーツの世界を見るとF1はもちろんスーパーGT、そしてWRC(世界ラリー選手権)だって2ペダルだというのに何を時代錯誤なことを言っているのか?」と思う人もいるかもしれないし、確かに速さを求めるなら2ペダルだ。でも、運転はなにも速さだけを求めるわけではない。クルマとの対話を楽しむなら、やっぱりスポーツカーはMTに限る。あくまで個人的には…だが、GRスープラにMTがないのはなんとも惜しい。
新型フェアレディZとGRスープラのボディサイズはほぼ同等と言える
ちなみにボディサイズは、GRスープラが全長4380mm×全幅1865mmでホイールベースは2470mm。6気筒モデルの車両重量は1530kg。
新型フェアレディZ(北米仕様)は全長4379mm×全幅1844mmでホイールベースは2550mm。6気筒モデルの車両重量は明らかにされていないが、GRスープラと同じく1500kg程度だろう。 先代に相当するZ33型に比べて全長を縮めたZ34のプロポーションは、ホイールベースを除けば意外なほどにGRスープラに近いのだった。価格面では新型フェアレディZに軍配が上がりそうだ
いっぽうで、GRスープラの6気筒モデルと新型フェアレディZには大きな違いも存在する。ズバリそれは、価格だ。
GRスープラの価格は、ベーシックモデルの「SZ」で499万5000円。「SZ-R」が601万3000円。そして6気筒エンジンを積む「RZ」が713万円となっている。
対して新型フェアレディZは、日本での価格は明らかになっていないが、北米ではベーシックグレードの「スポーツ」で4万ドル(日本円で約440万円)のタグがつけられた。国内ではベーシックグレードで500万円前後になると思われる。
もちろん、新型フェアレディZのこの価格は400馬力オーバーのV6エンジンを搭載してのものだ。すなわち、GRスープラの197馬力仕様4気筒エンジン搭載グレードとほぼ同じ価格で、新型フェアレディZなら倍付けとなる400馬力超えのV6エンジン搭載車が手に入ることとなる。そう考えると、新型フェアレディZはなんともリーズナブルな価格設定。 周囲を見回しても、500万円台で買える400馬力オーバーのクルマは新型フェアレディZのほかはスカイライン400Rくらいしかない。BMWと共同開発とか、マグナで少量生産されているとか、GRスープラが高額となった事情はいろいろある。そして明確にしておきたいのは、それでもGRスープラを市販へと導いてくれたトヨタには感謝しかないことだ。
「高くて買えない」とはいっても、“ない”よりはずっといい。ただ、新型フェアレディZはそれよりもコスパに優れているというだけである。
ピュアスポーツカーを買える機会はこれで最後になるだろう
そして今、新型フェアレディZが欲しい大きな理由がある。それはGRスープラにも当てはまるのだが、おそらくピュアガソリンの高出力エンジン搭載スポーツカーとして最後の世代だとういうことだ。端的に言ってしまえば、GRスープラも新型フェアレディZも、次(フェアレディZは新型の次)の世代はガソリンエンジンだけに頼るのは非現実的で、モーターを組み合わせたハイブリッドとなるのが必須となるだろう(次の型が存在すれば……だが)。
ヒステリックなまでに二酸化炭素削減が叫ばれる昨今、ガソリンを消費する、というよりは二酸化炭素をバラまくガソリン高出力エンジンのクルマはそう遠くない将来に幕を閉じることは既定路線だ。もちろん、それでもハイパワー車は生き延びるだろう。でも、ピュアな内燃機関ではなく高出力モーターとの組み合わせになるのは間違いない。その切り替わりのタイミングは、すぐそこまで来ている。
ハイパワーが刺激的なターボエンジンで、マニュアルトランスミッションで楽しめて、モーターは組み合わせない。そして、コストパフォーマンスに優れる。
そんな新型フェアレディZに、期待しないわけにはいかないのだ。
【筆者:工藤 貴宏】外部リンク
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