トヨタの電気自動車戦略は足元からも進んでいた! 街乗り超小型BEV「トヨタ C+pod(シーポッド)」
MōTA / 2022年1月16日 13時0分
トヨタは2021年12月23日、既に2020年12月より法人や自治体向けに限定販売を行っていた超小型BEV(電気自動車)「C+pod(シーポッド)」を、いよいよ一般ユーザーに向けた発売を開始した。全車リース契約での販売となる。とかくEVに対し保守的だと言われているトヨタだが、実は足元から着実に歩みを進めていたのだ。そんなトヨタ C+podにモータージャーナリストの今井 優杏さんがさっそく試乗。その印象をレポートしてくれた。
2021年最大のインパクト案件は「トヨタ 怒涛のBEV戦略」だった!
「トヨタのBEV戦略」だ。
※BEV(Battery Electric Vehicle):バッテリーからの電力のみでモーターを駆動させる電気自動車を指す
トヨタのBEV戦略は足元からも着実に進んでいた
スバルとの協業で発売する予定の「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」(2022年発売予定!)のことじゃない、もう“売ってる”ヤツのことだ。
今回はと、さらに小型の…つまり超・超小型モビリティ「C+walkt(シーウォークティー)」をご紹介したい。
(「C+walkt」は後編にてご紹介する)
2人乗りの小型BEV「C+pod(シーポッド)」が2021年末、個人ユーザー向けの発売を開始
発売開始から一年を経て、実は先日2021年12月23日には個人を含む全ての客を対象に販売開始された、注目のモビリティーだ。
これまでは法人ユーザーや自治体のみに販売を絞られてきたから、一般的な知名度が低いのは仕方ないと言えるのだけれど、今回、販売の門戸が一般客にまで開かれたというのだから、しっかりレポートしたいと思う。なぜならば、すでにかなりの引き合いが来ているのだとか。
なぜか。「C+pod」が非常に小さいからだ。
早くも販売店にはアツい問い合わせが寄せられている!
ボディサイズは全長2490×全幅1290×全高1,550mm。写真を見て欲しいのだが、かなり寸詰まりなルックスだ。街で見かけるとちょっと二度見してしまうような、ヘンテコリンな印象を受ける。
しかしこの寸法のおかげで、最小回転半径はなんと3.9m。もはや曲がれない道はない、通れない小道はない、停められない駐車場はない!というほどの超絶ハンドリングカーでもある。いやむしろ通常のコインパーキングなら縦置き2台停められるのだ。省スペース半端ない。
リチウムイオンバッテリーをシート足元の床下に搭載し、乗った感じもフラットな底床フロアを叶えている。モーターはリアに搭載されている。つまり、鼻がペチャンコなのはそういうことなのだ。
確かに狭いけど…大人2人がキッチリ乗れる室内空間
それもそのはず、室内幅は1,100mm。しかし、そう考えてみるとタイトとはいえ大の大人がふたり、ガッツリと乗車できるものではあるのだ。インパネには白いパネルを採用してあり、視覚的な圧迫感はなく、ガラスエリアもきちっと開放的。普通のクルマと違うのは、振り返ればすぐそこにリアウィンドウがあること。そう、つまり前を向いて乗っていれば、二人乗りEVだということをつい忘れちゃうくらいに“乗った感じ”の雰囲気は悪くない。
味わい濃密! スポーティさは全く無いけれど、これで十分なのだ
街乗り需要に特化し、最高速度は60km/hに設定
ナンバー付きだから、もちろん公道も走行OKだ。この日は横浜・赤レンガ倉庫のあたりをタラっと流す。最近はEVも各社出揃ってきて、それぞれが電気らしいトルクをウリにしたスポーティーなモノが人気だが、「C+pod」はどこか、ゴルフ場のカートを思わせるような、牧歌的な加速でトコトコと街をゆく。
実は「C+pod」、最高速度が60km/hに設定されている。これは超小型モビリティとしての安全を担保するためでもあるし、小さなバッテリーでなんと最大150kmもの距離を走行するための、省エネのためでもある。最大出力は9.2kW、最大トルクは56Nmと、かなり可愛い。
独特の走りに思わず「ニコニコ」しちゃう
そもそもこんな都市部では、平均60km/hで走行できるくらい道が空いていることは少ないし、もともと「C+pod」がターゲットとして見込んでいる、日本の過疎地や山間部では、このまったりハンドル+サスペンションがおじいちゃんおばあちゃんを助けることもあるだろう。コアターゲットの顔を想像すれば、こういう超小型モビリティが俊敏である必要はないのだ。
…とはいえ、もう少し洗練されてくれればもっと人気が出るかもと思ったのは確かなんだけれども。
急速充電は非対応だが、自宅周辺の行動範囲ならこれで十分以上の性能
次回はさらに超小型! 立乗りモビリティ「C+walkt(シーウォークティー)」をご紹介
さて次回は、さらにコンパクトな超小型BEV「C+walkt(シーウォークティー)」に乗ってみた印象をお届けしたい。
[筆者:今井 優杏/撮影:和田 清志・TOYOTA]
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