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何シーズン、何キロ使える? スタッドレスタイヤの寿命を見分けるコツ

MōTA / 2022年2月4日 8時0分

タイヤ

令和4年1月6日、関東南部を中心に大雪が降り、東京23区をはじめ首都圏の道路交通網はマヒ状態となった。その大きな原因となったのはノーマルタイヤでの走行による立ち往生や事故だったことは言うまでもない。しかし、ほぼ降雪の無い首都圏生活者はスタッドレスタイヤへ換装することに腰を重く感じることは確かでもある。そこで、スタッドレスタイヤのメリットとどれだけ使えるのか、そしてチェックするポイントを探ってみたいと思う。

タイヤ

雪道をノーマルタイヤで走るのは自殺行為だ

クルマを使い全国各地へ取材に向かうという仕事柄、私の場合はスタッドレスタイヤを組んだホイールのセットを用意し、シーズンごとに履き替えることを基本としている。所有する車の中にはスタッドレスタイヤセットを用意していないものもあるが、タイヤサイズに対応するサイルチェーンは準備してあり、雪が降りそうな際にはクルマに積載するようにしている。

それと言うのもノーマルタイヤでの雪道及びアイスバーン走行の危険度の高さを知っていることと、これまでに大手タイヤメーカーのスタッドレスタイヤ発表試乗会などに参加したことがあり、スタッドレスタイヤの実力というものを、身をもって経験しているからである。

先日の降雪時に一緒にいたスタッフが、雪が降り積もる前にノーマルタイヤのまま帰宅しようとしたのでそれを阻止した。少しでも降り始めていたのであれば、どこでどれだけ積もっているのか分からないことと、ミュー(摩擦係数)の低くなった路面は目視では判断することが難しく、スリップすれば人身事故や他車との追突することもある。

もし縁石にタイヤをヒットするだけの軽い事故で済んだとしても、足まわりの損傷により立ち往生ということも容易に想定することができる。それほどのリスクがありながら、雪道をノーマルタイヤで走ろうとするのは自殺行為と言える。

令和4年1月6日に雪が降った。写真を撮った時点ではまだアスファルトに雪があるように見えないが、シャーベット状であり、ノーマルタイヤでは危険な状態になっていた。

以前北海道で行われたスタッドレスタイヤの発表試乗会でのカット。大雪が降る中での開催となったが、開発者側としては雪よりもアイスバーン性能をテストして欲しかったということだった。

可能なら季節に応じて履き替えることがベター

タイヤの使用期限は5年と言われている中で、製造から7年近く経ったスタッドレスタイヤを使用していることにクレームがつきそうではあるが、シーズンオフでは暗所で油分がなくならないようラッピングをして保管しているので、お許しいただきたい。

私はおおよそ12月から4月までの間をスタッドレスタイヤに換装してカーライフを送っている。ウインタースポーツなどを楽しむわけではなく、シーズンを通して一度も雪が降らないこともある。あくまでも“保険”的なものだと考え、スタッドレスタイヤにしているのだ。

スタッドレスタイヤというのは雪やアイスバーンに強いだけでなく、気温が低い路面においてもその効果を発揮するので、ドライ路面だったとしても氷点下になる夜間走行や早朝の山間部での安心感があるというのも大きなメリットだと考えているのだ。

先日の首都圏降雪時も何ら問題なく仕事に行けた上に、家族の送迎なども行った。大晦日から元旦に掛けて雪深い八ヶ岳の山間部にある宿で過ごしたのだが、チェーンを使用せずとも上り下りすることができた。過剰な信頼をしてはいけないとは分かっていながらも、スタッドレスタイヤなら雪道、アイスバーンをパスすることができるのだ。

自身でホイール交換を行えるのであれば、私のようにホイールにタイヤが装着されたセットを用意しておけば、シーズンごとに交換することができる。

別のパターンとしては、タイヤショップやガソリンスタンドでタイヤだけを交換してもらう方法がある。ホイールを購入する費用を考えればタイヤ交換工賃は高いとは感じないだろう(参考までに私がタイヤ交換をお願いしているショップでは、20インチ4本組み換え交換工賃が1万1000円だ)。何にせよ安い買い物ではないのでできるだけ長く使いたいという気持ちもある。

交換時期の目安は「プラットフォームマーク」に注目せよ!

矢印で指している所がプラットフォームマーク。これが露出するまではスタッドレスタイヤの性能を発揮できるということ。もちろん使用状況、環境や期間によって性能に差が出るものだが、ひとつの目分量となっている。

果たしてスタッドレスタイヤは何シーズン使えるだろうか。メーカーが推奨するシーズン(期間)も一つの目安にしか過ぎない。クルマの性能や運転の仕方、保管方法によって大きく異なる。それだけに常日頃からの点検が必要。

スタッドレスタイヤをよく見たことがあるだろうか。ノーマルタイヤ(夏タイヤ)の同じく、スリップサインマークが備わっているほかに「プラットフォームマーク」があるのだ。トレッド面に深い溝を持ち、その溝で雪を掻きわけるというスタッドレスタイヤの構造上、溝の深さに関してもノーマルタイヤ以上にシビアだということ。

なのでプラットフォームマークのサインまで摩耗してしまうとスタッドレスタイヤとしての性能はおしまいなのだ。使用されるコンパウンドも違うため、溝の深さだけでなく、時間や使用条件なども注意しなければならないが、このプラットフォームマークは、目視できる大きなポイントなので、スタッドレスタイヤを使用している方は確認して欲しい。

当たり前のことではあるが、夏場にスタッドレスタイヤを使うことはお薦めできない。以前所有していたクルマで1年間通してスタッドレスタイヤで過ごしたことがあったが、路面温度が60度を超える夏場などは確実に腰砕けの感触となる。フルタイム4WDモデルだったので何とか乗っていたが、それでも“我慢”の範疇だったことを覚えているし、タイヤの摩耗にしても早い。適材適所、これはタイヤ選びでも大切なことなのだ。

矢印で指している2箇所のサインは、夏用冬用問わず設置されているタイや摩耗限界を示すスリップサインだ。スタッドレスタイヤの場合、性能を発揮するために溝が深いこともあるが、スリップサインが露出するまで使用することはやめた方が良い。

紫の矢印がスリップサインがある場所を、黄色の矢印がプラットフォームマークがある場所を示している。スタッドレスタイヤを使用している方は、一度確認して見て欲しい。

参考までに最近履き替えたばかりのタイヤは、オールシーズンタイヤと言われるもので、急な降雪時にも対応する設計となっている。トレッドパターンをよく見ると興味深いポイントを見つけることができた。

上の写真のタイヤのトレッド面に、D、W、Sと記されている。それぞれドライ、ウェット、スノーを指しており、使用し摩耗してゆくと、Sから順に文字が消えてゆくというからくりだ。これもプラットフォームマークの一種と言える。

舗装路の場合、ドライがμ(ミュー)=0.8程度、ウエットが0.6~0.4、雪道が0.5~0.2、アイスバーンが0.2~0.1とされている。スタッドレスタイヤは限りなく低いミューに対応するべく開発されている。

[筆者:小松 男/撮影:小松 男・ヨコハマタイヤ]

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